ラグビー部リレー日記

自信

投稿日時:2018/12/12(水) 23:39

同期の数少ない未経験組として入部時から苦楽を共にしてきた芝村からバトンを受け取りました、4年の清水です。蛇足かもしれませんが、一橋戦のタックルよりも強く私の印象に残っている場面があります。それは対抗戦二戦目の武蔵大学戦、26対7でリードして折り返したハーフタイム、前半に肩を外して交代した同期でもう一人の未経験者である鎌田と話したシーン。芝村のためにも後は頼む、この試合必ず勝とう、鎌田とそんなことを話したあの時が、私の対抗戦のハイライトです。


 これまで、私はリレー日記で部活や自分自身とは関係ないテーマばかり書いてきてしまった。最後のリレー日記は、自分のことについて書こうと思う。


 「自信」というものは難しい。持ち合わせる人間にとっては取るに足らないものだが、持ち合わせない人間には重たいテーマだ。
私は昔から、とにかく自信のない人間だった。テストで良い点を取っても、周囲から認められても、東大に合格しても、そんなことは全く自信になってくれなかった。
 だからこそ、大学では自信が欲しくてラグビー部に入った。根が臆病者な自分でも体を張れるようになれば、4年間ラグビーをやり切れば、自信が持てると思った。

 だが、そう簡単には行かなかった。
 1年生の頃は、全てがぼんやりした霧の中にある感覚だった。自分が4年生になってスイカを着ている姿は全く想像もつかなかったし、そもそも自分は本当にラグビーが好きかさえ確信がなかった。本当に情けない話だが、部活に参加しながらも、自分の中の不安を直視する勇気がなかった。
 2年生は怪我の連続だった。膝の靭帯を切り、復帰直後に股関節を壊し、治ったと思ったら次は足首を壊し、さらに逆の足首まで怪我をした。次々にチャンスをつかみ、Aチームで活躍する同期を見ていることしかできない、そんな状態が3年生の夏頃までずっと続いて本当に苦しかった。何の成果も出せずに時間だけが無為に過ぎていく、その一方で身体は次々に壊れていく。自分がラグビー部にいる意味が何一つ見いだせず、入部当初の気持ちなど完全にどこかへ置き忘れ、本気で部活を辞めようと考えたことも一度ではなかった。
 結局、私は部を辞めなかった。そして残された1年半に向けて二つのテーマを決めた。「今日が最後だと思って」「ダメ元でもいいから、試しに自分を信じてみる」と。
 運はこちらに回ってきた。2017年の対抗戦は初戦からスイカを頂き、途中からはスタメンも務めることができた。長らくラグビーの練習から離れていた私にとってこの時期は本当に大変だったが、それでも毎日、毎試合が夢のようだった。何よりそれまで怪我まみれの自分を信じてくれた、先輩をはじめとしたチームメイトのために戦えるのが心底嬉しかった。チームとしては悔しい戦績だったが、自分自身としては大いに自信になったシーズンだった。
 しかしシーズンが終わり冬オフに入ると、自信はまたどこかへ行ってしまった。新年度は学生主体のチーム運営を掲げ、同期達は実際のプレー以外の部分でも活躍している。ラグビー経験も浅く、組織論など全く知らない私は強い無力感に襲われた。昨シーズンで私が自信だと思っていたのは、対抗戦でスイカを掴むことができたという結果のみ、それに頼り切る薄っぺらなものだった。

 今年の春シーズンが始まってからは、とにかく試合に出続けることでチームに貢献しようとしてきた。東大は例年春シーズン、怪我人が続出して試合のメンバー構成すら難しくなることが多い。自分に今からできるのは、練習でも試合でも常に稼働状態にあることだと考えた。残念なことにいつまで経っても下手くそなプレーヤーのままで、しょっちゅう同期からプレーについて指摘され、試合翌週のミーティングではだいたい非難の対象となっていたが、それでも一度も離脱することなく春シーズンを過ごすことができた。
 そんな中で、ふと自分の存在意義は「なんとかなること」を示すことではないかと思った。大学からラグビーを始めた未経験者でも、怪我が重なっても、不器用でも、自信がなくても、きっとなんとかなる。共に部活に取り組む周りのためにも、そして自分自身の今後のためにも、それを体現できれば少しでもラグビーをやってきた意義を残せると思って秋の対抗戦シーズンを戦ってきた。
 今年の対抗戦戦績は4勝3敗で、チームとしての目標を達成することができた。私も結局最後まで離脱することなく対抗戦を終えられた。数字や実績としての結果は誇るべきものを残せたと思う。しかしそれ以上に、チームとしてラグビーに取り組む目的を考え、目標達成に向かって努力し、また自分自身の中でも自分なりの目的や目標を考えたことがもたらした充実感の方が大きい。今自分の中にある自信は、昨シーズン後のものとは違うと断言できる。大学でラグビー部を選んで本当に良かった。


最後までお読みいただきありがとうございました。次は誰よりも寡黙に、そして愚直に己と闘ってきた藤平へバトンを回します。
 

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