VOICE:2020年
  「スポットライト」副将 山口恭平
 
 2019年、日本開催のラグビーワールドカップで、ラグビー日本代表が大きな注目を浴びた。アイルランド戦勝利や、悲願のベスト8進出で日本中が盛り上がり、テレビでもラグビー選手が出演しているのが当たり前になった。多くのラガーマンが、ラグビー日本代表を尊敬し、誇りに思っていると思うが、それは、ラグビーに光の当たらなかった時代を知っているからではないだろうか。光の当たらなかった環境で血の滲むような努力をした日本代表を知っているからこそ彼らの凄さを感じられるのだろう。

 スポットライトが当たっているところで頑張れるのは当たり前だ。大きな舞台の上で、注目されて、目立っていれば誰だって頑張ることができる。しかし目立たないところではサボろうが手を抜こうが気にもされない。だが、そんな光の当たらない環境の中で、報われるか分からない努力を積み、どれだけ意地を張れるかが1番の勝負の分かれ目だ。

 ラグビーだってそうだ。試合中にボールを触っている時間なんて80分の内のたった数秒である。グラウンドに立っている30人のうちでボールを持っているのはたった1人だけだ。ボールを持たない目立たない場所でどれだけ体を張れるか、走れるか。そんなスポットライトの当たらない場所でラグビーの勝敗は決まってくる。
 
 東大ラグビー部も今は光の当たっている時代とは決して言えない。対抗戦Bに降格してから一度も昇格出来ておらず、入替戦に出たことすらない。学内でもアメフト部、野球部、ラクロス部などに比べても結果を残し、目立っているとは言えない。俺たちが順位を落とそうが、練習せず遊んでいようが、誰も気には止めないだろう。だがそんな環境だからこそ俺たちの人間としての真価が問われているのではないか。

 待っているだけではスポットライトは回って来ない。東大ラグビー部が光を浴びるには、俺たちが東大ラグビー部の歴史を変えるしかない。
 

2019年2月18日
東京大学運動会ラグビー部副将 
山口恭平