VOICE:2016年
  「リーダー」 副将 津川智之
 

 今年度東京大学ラグビー部の副将を務めます、津川智之です。まずは、昨年度東大ラグビー部を応援し支えてくださった皆様、この場を借りて御礼申し上げます。有り難う御座いました。そして、本年度も宜しくお願い致します。
 
Voice…
 東大でラグビーをやる意味は何か。昨年までの自分であれば「ラグビーが楽しくて好きだから。」と答えるでしょう。しかし、今はそれだけが理由ではありません。
 
 これまでのラグビー人生を振り返ってみますと、多くの時間をリーダーとして過ごしてきました(中学2~3年、高校3年で主将)。ラグビーというスポーツはよく分からず、とりあえず声だけは誰よりも出そうとしていた中学時代。シード校撃破を目指して、個性がぶつかるチームをまとめようとした高校時代。多くのかけがえの無い出会いや経験をしました。
 中学時代、人生で初めて主将という役職をいただいた私は、自分がチームで一番偉いと思っていました。私は、チームが自分の思い通りになることが当たり前だと思っていましたから、チームメイトが思い通りにならなければ怒鳴り散らしていました。
 しかし高校では、チームメイトの誰もが自分の主張を持っていて、そのぶつかり合いが何度もありました。そのような中で、チームには自分だけが存在するのではないのだと言う事に気がつきました。その一方で、私は中学時代のように強くものを言う事が減りました。高校時代は、チームメイトと冷静にコミュニケーションが取れるようになったのと同時に、核心をつくような厳しい一言を発することができなくなった時期でもありました。高校2年の頃から、リーダーシップとは何だろうか、良いコミュニケーションとは何だろうか、そんなことを考えるようになりました。
 大学に入ってからも、多くの人々に出会い、様々な学びを頂きました。リーダーとは最前線で体を張り続ける存在であるという事。リーダーとは正しい事を正しいと言えて、間違った事を間違っていると言える事。リーダーとは仲間に嫌われようとも結果への道筋を示し続ける存在であるという事。挙げようと思えば切りが有りません。副将としてのシーズンが始まり、監督やコーチ、スタッフの方々だけでなく、今は同期や後輩たちからも、多くの事を学ばせてもらっています。それでも、まだまだリーダーとは何かと言う疑問には答えが出ません。グラウンドを離れている時間には「もっとこうすればチームが良くなるのではないか、あいつの成長を助けられるのではないか、自分が成長できるのではないか」そんなことばかり考えています。今は「リーダーの定義なんて、人類の永遠のテーマとかそういう類いのものなのではないだろうか(笑)」という風にも思います。きっと死ぬまでリーダーとは何かを考えながらも、その時その時自分が思うリーダーシップを発揮していくことが重要なのかなと思います。
 
 私たち東大ラグビー部は、社会においてリーダーになっていくべき集団だと思います。長い時間をかけてリーダーになっていく、そんな人生の中のたった一年ではあるかもしれません。しかし、この一年は私にとって、リーダーになるという意味で、大きなチャンスだと認識しています。
 
東大でラグビーをやる意味は何か。
「真のリーダーになる為。」
今は、はっきりとそう言い切れます。
 
多くの方々に支えられて今の自分がいます。いつかそんな方々に恩返しができるよう、まずは今年一年を全力で駆け抜けたいと思います。
宜しくお願いします。
 
2016年2月6日
東京大学ラグビー部副将
津川智之