ラグビー部リレー日記

やり直し

投稿日時:2026/03/25(水) 14:23

 古瀬さんからバトンを受け取りました、新2年の川口です。古瀬先輩はかなり長い間DLで努力していて、去年はポジションが違うこともあってあまり関わりがなかったのですが、今年に入って一緒にDLとして練習をすることで優しく、ハードワークする先輩の性格なようやくわかってきた気がします。同じセクションであることやほぼ同時期に復帰予定であることなどから勝手にシンパシーを感じています。ぜひこれから仲良くしてください。







 さて、私は特殊な文章をこのリレー日記では書いてきたのだが、今回は少し真面目というかお固い文章でも書いてみようかと思う。







 自分の言動や選択を後悔したことはあるか。こう尋ねられたときにNOと言える人はいないだろう。人間誰しもIFを追ってしまうものだ。だが、実際にやり直しができるようになったとして果たしてどれほどの人がやり直しを選択するだろうか。
 そもそも論としてたった一回で何かが大きく変化する、いわゆるターニングポイントは人生においてほとんど存在しない。大抵のことは良くも悪くもコツコツ積み上げてきた言動によって繰り返された微修正の結果として現れる。だが極稀に、たった一回で人生を大きく変えてしまう出来事もこの世には存在する。



 

 

 私にとってそれは大学生活における家探しという形で現れ、そこには三つの選択肢が存在した。

 

 一つは学生寮だった。そこは愛知県出身の学生を支援する学生寮で、朝夕の食事付きで立地も良かった。総合的に考えれば破格の家賃だった。しかし、どちらのキャンパスからも三十分強かかるという点が私にとってはネックだった。

 

 残りの二つはアパートだった。駒場キャンパスから近いという条件に当てはまるものの中から二つが候補に挙がった。

 

 一つは大学から徒歩二、三分という近さで、築十年程の建物だった。値段も寮と同程度で風呂トイレ別、東向き、室内洗濯機と、とても魅力的だった。母親はこの物件を強く推していた。だが、ワンルームというのが田舎の一軒家で育った身からすると不満だった。

 

 もう一つは大学から徒歩十分強で築五十年程の物件だった。値段も他二つの一、五倍ほどで、目の前にバス停はあるとはいえ北向きかつ大通り沿いで室外洗濯機と欠点も多かった。これだけ聞くと一軒目のアパートの方が良いように思えるが、この物件には唯一無二の強烈な長所があった。同価格帯のほかの物件の二倍以上の専有面積を誇っていたのだ。東京でも広々空間で過ごせると思い、心は沸き立ったが、当初の予算をオーバーしていたため、母親には渋い顔をされた。



 

 

 最終的に私は寮や一つ目のアパートではなく最後の物件に住むことに決めた。実家に住んでいた頃の家事の免除や通学のしやすさという特権よりも家の広さを選択した。結論から言うと、この選択は思っていたほど賢い選択ではなかったようだった。

 

 大学まで徒歩圏内なため急いでいるときも自分の努力次第では挽回可能だったのは良かった。また、実は近くにあるコンビニとバス停の恩恵によくあずかった。想像通り、家の広さで不満を持つこともなかった。

 

 しかし、家の近さは時間感覚の油断のもとになった。電車通学だった高校時代から時間の活用方法が大きく変化し、対応を余儀なくされた。また、部活後同期と食事に行くときの電車移動で交通費が想像以上にかさんだ。さらに、家が広い分掃除しなければならない場所も増加し、それが日々のストレスの元になった。

 

 私は今では寮にするべきだったと非常に後悔している。私にはきっかり時間で行動を制限する電車通学のほうが向いていたと感じる上、今となっては家の広さよりも家事の少なさのほうが魅力的だ。想像以上にかさむ交際費や食費、交通費も寮なら幾分かマシだっただろう。



 

 

 しかし、私はもし決断の時に戻れるとしてもこの選択を変えることはない。今の結論は、一人暮らしをしてみたことによって得たもので、親元を離れて生活するのであれば必ず直面し、考えなくてはならない問題だったと思っている。極論、住む家が違ったら大学生活も大きく変わっていたかもしれず、むしろ私は大学生活の変化というリスクの方を恐れている。

 

 人生における後悔の中で、実際にやり直したいと言い切れるものはどれだけあるのだろう。過程の後悔に関しては、そういう運命だったと言える。恐らく、今の記憶を持ったままタイムスリップでもしない限り変化は起きないだろう。結果の後悔に関しては、神のみぞ知る類のものものだ。結果の積み重ねで今があると考えれば、現在と真っ向から対立するような結果など世界に存在し得ないだろう。ただ、こと選択の後悔に関しては、他と異なる。IFが真剣に語られうる上に、予想図も描きやすい。他とは異なり、IFがIF足りうると言える。

 

 ただ、選択の後悔に関して、やり直しを真剣に選択する人はどれほどいるのだろうか。今の人生を捨ててIFの一生を過ごすと決断できる人はどれほどいるのだろうか。私は幸いにも住居選びというある種しょうもない後悔しかない。やり直しが視野に入るような大きな選択が無かったことを誇るべきか悲しむべきかは分からない。だが、そんな私でも未来のやり直しに関してたった一つ確信していることがある。恐らく私は一生やり直しを考えることはない、ということだ。







 次は新4年の伊藤佑樹先輩にバトンを渡します。伊藤先輩とはマネジメントセクションのお風呂係でいつもとてもお世話になっています。その他にも様々な場面での献身にとても感謝しております。また砂川と3人でご飯でも食べたいな。ぜひ考えておいてください。

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