VOICE:2026年
  「自分事」 主将 鵜木幸大
   
 
Tackle the Elite。最初にこの言葉を聞いた時は、カッコ良いなと素直に感じた。エリートの概念を覆す。社会的にエリートと言われる東大生がその概念を覆すのはロマンだ。

 東大生にとって運動会の部活といえどもただの学生スポーツ。スポーツで飯を食って行く人はほぼゼロ。応援してくださっているのも保護者とOB,OGの皆さんがほとんど。スイカを着て泥臭く身体を張っていることはおろか、試合の勝敗すら世間の人は誰もそんなことは知らないしこんなことを気にしていられるほど世間は豊かではない。では何のために勝つのか。何のために勝つ努力をしなければならないのか。

 3年前、東大ラグビー部にいる価値をチームで考えた時、人それぞれだと結論付いた。人それぞれだから互いに尊重しようと。入部の理由も生きてきた環境も違うから東大ラグビー部にいる価値が違うのは当然なのかも知れない。ただ僕は決してそんなことはないと断言する。多かれ少なかれ苦労して東京大学に入学し、東大ラグビー部に入部しようと自ら決めた。キラキラしたキャンパスライフを送る人を横目に、血と汗で汚れながら1日の大半を部活に費やす我々が東大ラグビー部にいる価値は「自分の成長のため」だ。

 応援してくれる人への恩返し、歴史を変える、社会を変えると言うのはかっこいいし実際に出来たらこの上ないのは間違いない。だからこそチームとしてそれを掲げて挑戦することは意味がある。

 一方で、個人に限ってはそんなことはない。たったの4年間の挑戦において出来ることは限られている。限られた時間を最大限使うために自分の成長を考えよう。対抗戦でチームを勝たせる自分のため、対抗戦で活躍する自分のため、試合に1秒でも多く出場する自分のため、仲間と共に喜ぶ自分のため、社会人となった自分のため、死に際に良い人生だったと思える自分のため。死に物狂いで努力しよう。仲間を励まし、共に乗り越えるのもチームがよくなり勝つことにつながる点で言えば自分のためになる。一時的な快楽に浸りたい自分のためではなく、目先の利益のためでなく、もっと先の大きな目標を達成する自分のために努力をしよう。まずは様々なことを自分事として捉えることから始めよう。

 Tackle the Elite。ラグビーエリート相手に果敢に挑むことだけを指す言葉ではない。すべてのことにおいて、自分の現状に満足せず、成長し続ける。この言葉を体現した人間になることが選手としての僕の目標だ。全員が同じ方向を向いて自分のために努力し続ける。この各人の努力をまとめ上げ、勝つ集団を作ることがリーダーとしての目標であり、役割であると思う。

 様々なことを自分事として考え、自分を信じて、自分のために努力をする。全員が最大限努力をし続けた先では目標は達成できる。ラグビーを愛し、共に努力する仲間を信じ、今シーズンを最高のものにすることを誓う。


2026年2月28日
東京大学運動会ラグビー部 主将
鵜木幸大