VOICE:2000年

「ケガ」 福崎 耕平

自分は今、ケガのリハビリ中である。

去年の9月25日。Jr.選手権 VS筑波大。右膝を負傷した。

以前、同期の岩田が言っていたことを思い出す。

「ケガをするときは、自分の行いに至らないところがあるときだ。」

彼が国立高校時代の恩師に言われた言葉らしい。今になって考えてみれば、なるほどそのとおりのような気がしてきた。

 その週、自分は学科の測量実習のため東京大学山中湖寮で合宿をしていた。ただ、週末の筑波戦には出場予定であったので、合宿を早退させてもらうことになっていた。1週間、他のメンバーと同じ練習が出来ないわけであり、その穴埋めをすべく測量の合間を見て筋トレやクロスカントリーなど、自分なりにこなしたつもりであった。 そして、帰京して臨んだ筑波戦で負傷した。自分では、あの負傷は事故だと思っていた。むしろ、そう思いこもうとしていた。自分を責めたくはなかったから…。

 3年の秋シーズンは結局棒に振り、4年生となった。最高学年ということ、ケガにより自分の大学生活におけるラグビーはあと半年程度しか残されていないこと、様々な因子が自分の意識を変えていくのが分かった。嫌いだった筋トレに積極的に取り組むようになり、自分に足りない部分を補う努力をした。

 復帰が近い今になって、ケガの事を思い出すことが多くなった。あのケガは本当に事故なのか?そうではない気がしてきた。様々な伏線があるような気がする。

 膝下に入ったタックルは確かに相手を誉めるべきだが、それ以上に自分がそれにあたり負けない姿勢をとり、筋力があれば回避できたはず。嫌いだった筋トレをしっかりこなしていればどうなっていただろう。

「ケガをするときは、自分の行いに至らないところがあるときだ。」

この言葉が思い出される。まさにそのとおりの気がしてきた。少なくとも自分の場合には当てはまる気がしてきた。

 これからは、二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、しっかりと筋トレすることはもちろんであるが、ケガを通して学んだことを忘れずに練習に精進していきたい。半年以上もの長い間、貴重な練習時間を無駄にしてしまったわけだが、その中で学んだことを無駄にしてしまわないためにも、今後に生かして練習できなかった空白の時間を取り戻したい。