VOICE:2012年
 
合宿日記 磯崎智大
 

8/9 合宿初日


今年も合宿日記の更新担当となりました。合宿初日。今合宿の個人目標は3つ。スキル向上、ゲーム理解度の向上、上級生としての態度。
1日およそ7000円、つまり合計13万円近くを払って、大学生3年の夏休み、8月をほぼまるごと費やして、合宿をする。もしも東京にいるならば、そして合宿をしていないならば、さらに1日7000円も使っていいのならば、花火大会やお祭りに行ったり、海や山や、海外に旅行して、もしくはクーラーの聞いた部屋でアイスを食べながら読書していることだってできる。
それでも僕らは自らの積極的選択としてここに来て、正体不明の虫が飛び交う真夏のグランドで、練習し続けるわけだ。だとすれば、ここに来なかったとしたらあったであろう自分の生活よりも、ここで過ごす時間が自分にとって、充実して、楽しくて、終わった後で心からよかったと思えるものでないと、僕は気がすまない。
他責するのも、評論家になるのも、口だけ立派なことを言うのも、簡単だ。自分はさておき、責任転嫁し、さぁみんな頑張ろうと言う。でも実際、自分が重責を担うこと、本当にがんばることは、恐らく予想以上にムズかしい。
だからこそ、僕の個人目標の最後は上級生としての態度。僕はラグビーはまだまだ下手だけど、一生懸命な人の背中は上手いや下手を通り越した何かを示すと思うから、自分のスキルの進歩を約束するとともに、周囲の仲間へささやかなインパクトを与えたい。

 

 

                    

 

 

8/11 合宿3日目


ファーストターム最終日。vsOB戦。三年生の怪我による離脱が多い中で、彼らの分まで自分がやらなければ。それから、将や平松の前で情けない姿ではいけない。さらに、絶対負けたくないOBも数人いらっしゃったので、個人的には相当な気持ちが入って試合に臨んだ。
でも、結果は散々だった。セットが遅れる、ブレークダウンで負ける。そして、ラックでペナルティーを誘発。さらに、前半のラックで引き倒されて首を痛め、後半、ポイントにクラッシュした際にトドメをさされて負傷退場、病院送り。僕は一体何をやっているんですか。という感じで、試合後、悔しくてわけが分からなかった。
何よりもチームに迷惑をかけるし、自分もどんどん遅れてしまう。さっさと直して、強くなって復帰し、その分を取り返す。
明日のオフではしっかり休んで、なるたけ早く復帰したい。

 

 


 

 

8/14 合宿6日目


怪我人としての日々は本当に本当につまらない。長い間怪我をしながら、懸命にリハビリをしている他の選手を心から尊敬する。全力で走ろうと思うと首が張る、コンタクトはできない。何をするにも痛くないかな、とビクビクしながら。腹筋しかやることなくて腹筋ばっかりしてたら腹筋がつって、腹筋もできなくなって。あー俺何しにきてるんだろうって嫌気が差して。イライラしてグランドの草をむしってたら勘太郎に笑われた。でもまぁこういうのを我慢するのも部活の一部。明日からも腐らずやってきちんと治していきたい。

 

 


 

 

8/16 合宿8日目


今日の練習はIBMの作田さん、西山さんがいらして、白熱したものになった。
とても厳しいメニューが課され、練習の雰囲気には鬼気迫るものがあった。僕は怪我でほとんど参加できなかったが、あまりにきつそうで、参加者に対して正直一層引け目を感じてしまった。
今日思ったのは怪我人の倫理?。。これって、とても難しいと思う。完全に治るまで本当に復帰してはいけないのか。自分の身体なら壊れることを承知で自己責任で強行復帰したっていいのではないか。自分のチャンスだってなくしてしまうし、成長もとまってしまう。それに、完全に治ってもしも、対抗戦でるよ、なんてことになれば、それはなんだか都合が良すぎる気がする。あれだけ辛い合宿第二タームを半分くらいやっていないのに。一方で、壊れたら迷惑かけるし、トレーナーさんに申し訳ない、とかも考えてしまうし、本当に治らなくなったらと思うと正直怖い。
菅平に行くためにどうしたらいいんだろう。そう考えてしまう。