VOICE:2002年

「春シーズンを終えて」  宮原克典


 年の僕にとって今年の春シーズンは実質的に初めての春シーズンだった。1月の練習始めから数えて約5ヶ月の間にいろいろと考えた事があった。そして、正直、精神的に辛かった時もあったが、そんな時にホームページのVoiceを読んではたびたび勇気付けられてきたことを思って、今回、自分のVoiceを書いてみることにした。

 

 今回の春シーズン、僕は去年とは全く違う気持ちでスタートを切った。去年、まがいなりにもAチームの一員として対抗戦を戦った者として、チームを盛り上げていこうと決心していた。しかし、シーズン初めから明治学院大・九州大・国際武道大に三連敗し、その決心は次第に気負いへと変わり、僕は一人でこれでは秋に間に合わないんじゃないかと焦ってしまっていた。春合宿も同じような気持ちで過ごし、技術的には少なからず進歩できたと思うが、僕は何かが煮え切らない気持ちでいっぱいだった。


 転機となったのはソウル大戦だった。この試合、1年生の椿原をSOに迎えて、僕はインサイドセンターへとポジションを変えていた。どうせやったことないポジションなんだから、と思った途端に心の靄は一気に晴れ渡り、この試合ではそれまででベストのプレーができた。水上さんがいつも「開き直れ」と言っているのはこういうことなんじゃないかと思う。そして、それからの練習・試合は、依然として勝ててはいないものの、ひとつひとつ進歩を実感できる、価値あるものになったと感じている。同時に、ラグビー自体が前よりも、(或いは子供の頃のように、)非常に楽しく感じられるようになった。

 

 ところで、今年の春シーズンはけが人が非常に多かった。特に上級生にケガ人が続出し、その穴を1年生が埋めるという、考えてもみなかった状態が続いた。受験生活明けでラグビー部のこともろくに分からないうちから1年生はよくやってくれたと思う。入部していきなり毎週のように試合をやっては、毎日のように練習をしてと本当に大変だった思う。そして、それでも辛いからと言って逃げ出したりせずにここまでがんばってくれて本当にありがたく思う。

 

 このように僕にとってこの春シーズンはとても有意義だった。後悔すべきことは何もないと思っている。しかし、このままでは秋になっても勝てないと思う。上級生も下級生も僕自身も含めてまだまだ甘いと思う。もっと自分に厳しくなって、もっと仲間に厳しくなって、そうしたらもしかしたら勝てるのかもしれない。去年の青学戦、最後のワンプレーで逆転トライを奪われて東大は目の前にあった勝利を逃してしまった。あの時、抜かれたのは僕だった。練習でも試合でも何度も抜かれたコースを止められず、結果的に去年の4年生の4年間の努力をフイにしてしまったのだ。同じ思いをもう誰にもして欲しくないから、対抗戦までの残り3ヶ月を全力で過ごしたい。そして、2年生・1年生のみんなにも同じ気持ちでやっていって欲しい。僕は依田さんのために、岡田さんのためにこれからの3ヶ月間を突っ走っていきます。