VOICE:2000年

「みんなへ」   関口 大樹


 1年くらい前からVOICE書けって言われて、現役のとき何度か書いてみたけどなかなか照れくさくて書けなかった、いくらカッコいい事言っても実際何も出来なかったらカッコ悪いし。
 やっと引退して、なかなかみんなに(特に後輩に)言えなかったこともあったし、納会では長く話すとだるいだろうと思ったのでとにかく文章にまとめてみようと思いました(宋さんの話は長いと思う、もう少し後の人のことや会全体のことを考えようよ、まあ周りを気にしてあまり言いたいことをいえない側の自分から見るとちょっと羨ましいけど)。結構長くなると思うけど暇があったら読んでも見てください。
 自分はこの1年間、特にこの1年間はこだわりを持ってラグビーに取り組んできた。それは一言で言うならば「恩返し」だった。
 
 自分は今年やっと、ドサクサ紛れで1本目になった。いや、春なんかは人数が足りないから1本目になれたと思っていたし、夏合宿で自分が対抗戦に出られるとは思えなかった。とにかく「自信」が足りなかった。結局今でもあんまり無いけど。


 春シーズンでも秋シーズンでも、「このままでいいのか」と言ったような不安が顔を出し、その度に自問自答し、自信のなさからなかなか前向きな答えが出せず、何度も気持ちが折れそうになった。そんな時に、心の支えみたいな物になったのが、自分をここまで支えてくれた(本人達はそんなこと思ってないだろう)先輩達の存在、思い出だった。自分に厳しく、どんなときも一生懸命練習・筋トレをしたり、辛いときには声をありあげて気持ちを盛り上げてくれたり、4年で1本目なのに最後まで練習をしていたりする姿を見て、自分ももっと頑張ろうと思ったものだった。


 分かりにくい部分ではあると思うのだが、自分にはそんな姿から一際強い何かが感じられた。そして、その何かを感じつづけてきたお陰で、何度やめそうになっても(3年の時)ここまでやってこられたのだと思う。もう、その人達とはプレーできないと思い(何人かはできてよかった)寂しさを感じたのと同時に、ここで自分が折れたら自分が卑怯者になってしまうと思った。ここまで支えてくれた人達に対し、何か「恩返し」をしたいと思ったが、先輩はもう居ないし、自分が何ができるかを考えたら、今度は自分が後輩達に何か、形に残るものであれ残らないものであれ何かを与え、先輩達の気持ちと言うか心意気のようなものを伝えることだと思ったし、それが今年1年間自分に与えられた大きな義務だと思った。


 そのような理由で、グラウンドには早く出ようと思った。ライン引きも率先してやった。ランパスなどでは声を一番出してやろうと思ったし、とにかく下級生の前を走ろうと思った。なるべく最後まで練習をしていようと思った。一見地味で、非効率的な手段だったと思うが、じぶんは大芝のような才能もないし、「コーチとケンカする」と言ってしまえる宋のような強気さも(人気も)ないし、深津みたいにあれほど「ラグビーが好き」とも言えないし、別所みたいなふてぶてしさもない(別所ゴメン)。ならば何ができるかと考えた結果があれだったし、自分はそんな姿に特に心を打たれてきた。行動で何かを伝えられる先輩になりたかった。また、それが上の立場の人間のあるべき姿だと思っていた。


 自分の姿を見て後輩達が少しでも何かを感じてくれたら、そして後輩に伝えてくれたら嬉しい限りであるし、そうやって先輩達の「意志」を伝え、累積していった後輩達は絶対強くなると思う。そしてそれが、「伝統」となるのではないかと思うし、自分はそれを伝える義務があると思った。この1年は「自分が強くなりたい」と言う気持ちともう一つ、部のために、みんなのために、という義務感2つでラグビーに取り組んできた。


 これを読んだ人がどう感じるかは分からないけれども、自分は何を言われようとこれは間違っていなかったと思う。目標がどれだけ達成できたかは疑問ではあるけど、この1年の練習・試合の1つ1つのプレーがみんなへのメッセージのつもりだった。


 だいぶ大げさでまとまりのない話になったのだけど、本心はこんな感じです。だからどうしろとか特に文句は言いません。ただ、1つだけ言っておきたいことは、ライン引きとか、決められた仕事はちゃんとやろう。上級生がサボってると(誰とは言わないけど)下級生がマネをしてしまうから。なあ、岡田君よ。


 いろいろ長く書いてしまったけれども、4年間ラグビーが出来たことに、ラグビーを通じていろいろなことを教えてくれたコーチ・先輩・同輩・後輩・OBの方々、あとかんとくには本当に感謝しています。僕がみんなへ言いたい最後のメッセージは「ありがとう」です。みんな本当にありがとう、そして頑張れ。


 FWのみんなへ。僕は2年間しかFWをやってなかったけど、FWのみんなには特に頑張って欲しいと思っている。これから相当辛いだろうけど、どんなに辛い時でも目標を見失わずに頑張りつづけて欲しい。そうしたら何かがきっと見えてくると思うから。がんばれ。