VOICE:2019年
  「主体性」副将 河合純
   
シーズン開始前に一度、同期の一人に怒られた。「リーダー陣なのだからもっと自分たちから動け」と。

 自分は、今まで主体的に動いた事があっただろうか。 中学受験をすると決めたのは自分だったかもしれないが、結果的に行った中学は親に受けてみたらと言われた中学だった。中学に入ってからラグビーを始めたのも、友達がラグビー部に入ると言ってラグビー部に誘ってきて断る理由もなかったからだった。高校2年の春には先輩が引退し、最高学年になったが自分はリーダーの立場にいたわけではなく、同期のキャプテンや副キャプテン、コーチに引っ張られ、ただついて行っただけだった気がする。大学に入ってからバイトも始めたが、これも友達からの誘いで始めた。

 アメリカ人の作家であるエラ・ウィーラー・ウィルコックスが残した言葉に以下のようなものがある。

 「世の中には2種類の人間がいる。努力する人とその努力に頼る人である。」

 この言葉を聞き、先ほど書いたことを振り返ると自分は常に後者の人間であり、主体的に行動することはなく、誰かに頼ってばかりの行動をしていたように思える。

 チームがうまくいくには、メンバーの一人一人が主体的に動くことが重要だと言われたりする。しかし、そのチームを引っ張るリーダーが主体的に動かなければ、他のメンバーが主体的に動くわけもない。特に自分と同じようなタイプの人間がチームにいるとしたら、なおさらである。

 ただ、今まで人に頼ってばかりいた人間がそんなすぐに主体的に動けるように変われるかと言われると、正直なところ厳しい。しかし、ありがたいことにこんな自分でも副将に選んでいただいた。いうならば、この1年自分を変えられるチャンスをいただいたと言っても過言ではない。2年前の副将で、ハーフ団の先輩でもある萩原さんは以前このvoiceで「少しずつ乗り越え、少しずつ乗り越えて、変わっていこう」と書かれていた。まさしく自分も同じ状況なのだと思う。少しずつ、本当に少しずつでもいいから変わっていき、主体的に動けるようにならなくてはいけない。そうなることで、チームとしても個人としても一つ上の段階に成長できると思う。



2019年3月5日
東京大学運動会ラグビー部副将
河合純