VOICE:2022年
  「変革」副将 松元暢広
  「変革」。シーズンの始まりに出すにはあまりにも耳触りのいい言葉であり、意味あるものにするのはあまりにも難しいことである。

昨年度、東京大学ラグビー部は杉浦主将の下で4勝3敗を収め、対抗戦B4位となった。サイズ的に見ても技術的に見ても自分が所属している3年間の中で一番チームの完成度は高く、入替戦出場が目の前に見えている代だったように思えた。しかし負けた。入替戦には出場できなかった。何かを変えなければ上には上がれないことが明確であった。

何を変えなければいけないのか。
まずはラグビー部としてではなく人としてのことである。挨拶やマナー、遅刻など本当に当たり前のことから見直していこう。これができればラグビーが強くなるなんてことはおそらくない。しかし、この部分が見逃されているのが東大ラグビー部の現状であると思う。人として粗雑である人間が多い、そしてそれを甘んじて受け入れている組織に強くなれる未来はない。

次にトレーニングについて。
本当にその練習、トレーニングは自分のラグビーに繋がっているのか、それを今年チームに問い続けていきたい。一つ一つの練習に、勝負にこだわり、全力で勝ちに向き合えているか、それが練習を意味あるものにする。柔軟一つとってもどのプレーにつながっているか考えながら行ったほうがそれは有用さを増す。その時間をゴミにするのか、目標のための礎にするのか、それは俺たち次第だ。

まずは何か小さなことからでいい。起きる時間を5分早くする。グラウンドに来る時間を10分早くする。間食の回数を一回増やす。絶対にゴミ拾いをしてから帰る。そんな小さなことでいい。個人の行動の小さな変化がチームに変革をもたらす。

そして最後に一番変わらなくてはいけないのは4年生、俺たちだ。冒頭に書いたように「変わる」なんて言うだけならば非常に簡単である。チームが変わるためには、まずは4年生が、そして俺自身が変わっていかなければならない。本気で下級生がついてきてくれるように最も自分に厳しくあるのはチームの空気を作り出す4年生であるべきだ。自身の弱さに向き合ってそこを変えていくのは難しく、厳しいことであるかもしれない。だけどその厳しさを超えて、目標を達成して「変化した」ラグビー部を俺は見たい。そんな一年間に俺はしたい。そのための俺自身の覚悟と決意としてこの文を記す。

使い古された言葉かもしれないし、時間がかかるかもしれないが、声を大にして言っていく。
変えるなら、変わるなら今だ。

2022年2月8日
東京大学運動会ラグビー部副将
松元暢広