VOICE:2023年
  「勝つために」副将 安富悠佑
   

 今年の目標は入替戦出場に決まった。ということは、対抗戦での勝ち方を考える必要がある。


 経験も才能もない俺等がどうやって勝つのか。少なくとも、合理性ではないはずだ。合理性で勝てるならば、東京大学が20年間一度も入替戦に出ることができない、なんてことにはならない。

 そもそも、東京大学運動会ラグビー部という存在が非合理的だ。合理的に考えるならば、一生懸命勉強をして大学に入ったのだから、ラグビー部には入らずに、好きな勉強に打ち込むべきだろう。ラグビーで勝ちたいならば、推薦があり大学選手権にも出場しているチームに所属すれば良い。

 しかし、やる前から負けを享受して楽しむことは決してできない。俺は、このまま入替戦出場という目標も達成できずに、それでも良い思い出だったと振り返るのは絶対に嫌だ。なんとしてでも明学や日体に勝ち、入替戦出場を成し遂げたい。これは、目標を決めた時点で共通認識だろう。

 勝てる可能性は、闘争心にある。ラグビーの重要な要素として、肉体同士の接触がある。この接触時に、勝利への執着心をむき出しにすれば、相手は必ずひるみ、これを制することができる。要は、80分間終始気合の入ったコンタクトを続ければ、必ず勝てる。非常に困難な事だが、困難だからこそ効果がある。

 ただ、この点に関して、1つ不安要素がある。4年生の少なさだ。学生スポーツにおいて、最上級生への心理的依存が大きいことはしばしばある。しかし、今年のラグビー部に関していえば、最上級生である4年生の数が少ない。3年生以下が少ない4年生に頼っていては勝てない。3年生以下は全員、俺が一番闘争心を持ってチームを引っ張っていくということを意識してほしい。この自覚が、勝つためには必要だ。

 以上が率直な胸の内だ。とにかく、俺は勝つために練習し、勝つためにこの文章を書き、勝つために生きている。この文章が、勝ちに向かって役に立つことを願う。



2023年2月10日
東京大学運動会ラグビー部 副将
安富悠佑