VOICE:2007年

「私にとってラグビーとは」  松川貴志


 このたび再開されるVoiceの第一回目を担当することとなりました新2年の松川です。よろしくお願いします。
 
 先日の再集合日、須賀主将から部員全員に向かって、このような問いが出されました。
 「あなたにとってラグビーとは何ですか?」
 今回は、この問いに対して、僕なりに答えてみたいと思います。
 
 僕は中1でラグビーを始めて以来、中学、高校とずっとラグビーばかりやってきました。特に高校の頃には、ラグビーをするために学校に行っていたようなもので、それはまるで水か空気のように、生活とは切っても切れないものでした。
 それでも、大学でラグビーを続けるかどうか、かなりの葛藤がありました。大学でラグビーをやることについて、今でも疑問を全く感じないわけではありません。他にやりたいことだって、行きたいところだって、たくさんあります。そんな時にはラグビーが足枷のように感じられることも、ないと言えば嘘になります。
 でも、僕はラグビーを続けています。それにはさまざまな理由がありますが、まず、楽しい仲間がたくさんいることです。みんなと遊ぶためにグラウンドに来ていると言っても言い過ぎではないと思っています。
 もちろん、ラグビーという競技自体も面白いです。走って、投げて、捕って、当たって、叫んで・・・個人がここまでいろいろな動きを要求されるスポーツはそう多くないと思います。それだけでも面白いし、またラグビーは、実はかなり個人の自由度が高いスポーツだと思います。もちろんセットプレーなどはありますが、ひとたびボールを持てば、例えばプロップがスピード勝負を仕掛けても良いし、ウイングが思い切りぶち当たっても良い訳で、ディフェンスに関しても、自分の才覚で動ける余地がかなりあります。一瞬の判断力、これは「勘」と言い換えても良いと思いますが、その瞬間その瞬間に自分の全てを試されているようで、とても面白いと思います。もちろん、「団体競技としてのラグビー」も忘れてはいけません。協力して協力して勝った時には、個人競技では味わえない喜びがあります。
 さて、ここまで長々と書いてきましたが、僕がラグビーを続けている最大の理由は別にあります。
 ラグビーを始める前は、僕はわがままで、偉そうで、他人のことなどまるで考えないで、嫌なことからすぐ逃げて、怖がりで、人には文句ばかり言って、そのくせ一人では何一つできない、張り倒してやりたくなるような子どもでした。それがラグビーを始めるようになって、少しづつ、少しづつ変わっていきました。今でもそんなに変わっていない部分もありますが、果たしてラグビーを始めていなかったら、あるいは、中学で辞めていたら自分がどうなっていたのか、全く想像できないし、したいとも思いません。僕はラグビーに育ててもらいました。妥協しないことや逃げないこと、続けることの大切さ、弱くても、小さくても勝てる可能性があること、人を尊敬することの大切さを、ラグビーから教えてもらいました。また、両手では抱えきれないくらいの素敵な人々との出会いや、思い出の数々を与えてもらいました。僕はラグビーに大して、あまりにも多くの恩があります。こうやってラグビーを続ける以上は、まず自分が楽しむこと、そして見てくれている人々を一人でも多く喜ばせることができたら良いと思っています。これが、僕なりの答えです。