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ラグビー部リレー日記
ボール・イン!
投稿日時:2025/12/17(水) 19:00
明るくイケメンの片桐からバトンを受け取りました、猿渡です。今年の春、片桐が2年間のブランクを経て復帰してくれたことが本当に嬉しかったです。同期が減ってしまった中、片桐がいることで同期やチームの雰囲気が明るくなりました。1年生の頃と全く変わらない片桐のキャラクターが僕は大好きです。一つ補足すると、僕は今のところ禿げていません。また、髪が薄いことが悪いことだとも思っていません。そのような考え方は、父や祖父をはじめ、僕の親戚の大半に対して失礼にあたるからです。
最後のリレー日記を書くにあたり、内容についてかなり考えました。読んでくれる人が主に東大ラグビー関係者であることを鑑みて、東大生が好きそうなフォーマットで書いてみることにしました。誤りなどあれば、ご指摘をお願いします。
最終リレー日記最後のリレー日記を書くにあたり、内容についてかなり考えました。読んでくれる人が主に東大ラグビー関係者であることを鑑みて、東大生が好きそうなフォーマットで書いてみることにしました。誤りなどあれば、ご指摘をお願いします。
ラグビー人生に対する振り返りと反省および感謝
猿渡崚正
要 旨 私のラグビー人生は怪我に悩まされたものであり、ラグビーに対する後ろ向きな感情もあった。しかし、素晴らしい仲間のおかげでラグビーを楽しむことができ、今の自分がある。ラグビーを通じて出会った皆さんに、心より感謝申し上げる。
キーワード ラグビー、仲間、感謝、肩脱臼、ヘルニア、痛かった
1. はじめに
私はこれまで高校と大学で計7年間ラグビーをプレーし、今月末で引退となる。しかし、ラグビーに対する自身の考えや所感はこれまでほとんど明らかにしてこなかった。本稿では、私自身のラグビーと仲間への思いを表明する。
2.1 大学でラグビーを続けた選択とその結果
大学ラグビーの結果について振り返ってみると、自分自身もっと努力すべきところがたくさんあり、怪我にも悩まされてしまった印象である。たくさんの人が読むこのリレー日記で自分のラグビー人生を公開するのが恥ずかしいので詳述は避けるが、高校でラグビーを始めてからの7年間のうち、6年程度はずっと怪我に悩んできたように思う。高校はなんとか乗り切ったものの、大学では肩、腰、腰と計3回の手術を余儀なくされた。もともとラグビーは高校だけで辞めるつもりでいた。新歓のとき東大ラグビー部への入部について一緒に悩んだはずの石澤が、実は入部済のサクラだった[1]と知ったのもずいぶん後のことだった。
結局毎シーズンのうち、半分から2/3程度しかグラウンドに立てなかった。今日は腰を悪化させずに練習/試合を乗り切れるだろうか、というマインドではやはり厳しい。2年生から対抗戦に出してもらって様々な経験を積み、勝利も敗北も味わってきた。自分のミスで負ける経験もして、責任とはどういうことか、身をもって学んできたはずだったが、自分たちの代で決めた目標の勝利を手繰り寄せることができなかった。特に同期にはずっと助けてもらってきただけに、申し訳ない気持ちが残っている。
2.2 ラグビー部に入った意義
恥ずかしながら、ラグビーを始めてからずっと、辞めようかなと思いながら過ごしてきた。苦労して受験した末に入った高校や大学で、生活の多くをラグビーに費やすことへの悩みもあった。特に大学の後半では肩や腰の不調によってラグビー(特にコンタクト)への怖さを感じてしまうことも多く、そんな自分に対する失望感もあったように感じる。そもそも、ラグビーというスポーツそのものが大変キツい。ラックの勝負が決したら一回みんなで休憩する「Don’t use it」的なルールが導入されればいいのに、などと考えているが、今のところラグビー界は正反対の方向に進化を続けている。
やや話がそれてしまったが、この7年ずっと待ち望んできた引退の日が、残り10日ほどに迫っている。引退して時間ができたらやりたいことは、表1の通りである。
表1 ラグビー部引退後の時間でやりたいこと

こうして考えてみると今まで部活のためにできなかったことが見えてくるが、同時に部活でしかできないことも見えてくるように思う。そして、部活を続けて良かったなとも感じている自分に気づかされる。
2.3 ラグビーを通じた出会いへの感謝
上記の通りラグビーにマイナスな気持ちを持つことがどちらかといえば多い僕が、なぜ何年もラグビーを続けてきたのか、それはひとえに仲間の存在があったからである。嫌なことも仲間のために耐え抜こうと思えたし、落ち込んでしまったときに仲間に励ましてもらってなんとか立ち直ってきた。そんな仲間に出会えた僕は本当に幸せで、皆には感謝してもしきれない。「部にいることを目的にするな」等とよく言うが、良い仲間がいるだけに勝ちたいという思いが(実は)あり、それが今の悔しさの源でもある。ラグビーを通じた人との出会いは、本当に貴重なものであった。特に同期には本当に感謝している(図1)。
自分にとってかけがえのない仲間がいて、仲間がいるからラグビーができて、ラグビーをしているから仲間になる。結局、痛くて怖くて辛いラグビーが、自分の人生にとって大切な存在になってしまい、今ではラグビーそのものへの感謝や敬意までも抱いている。

図1 大切な同期 (a)2022年6月 (b)2024年7月
3. 謝辞
大西さん
僕の東大ラグビーは大西さんとの出会いから始まり、2年間教えて頂いたラグビーや哲学が僕の大切な財産になりました。入部した頃に期待してくださったような対抗戦での大暴れができなかったことが本当に心残りですが、それでも今の自分がいるのは大西さんのおかげです。ありがとうございました。
一聡さん
ラグビーを楽しむとはどういうことか、身をもって教えてくださり、楽しくこの2年間を過ごすことができました。小さなスキルからラグビーの原理原則まで、何でも惜しみなく教えてくださる姿を尊敬しています。いつもありがとうございます。
杉本さん
スクラムの基礎からサインプレーまで、ラグビーについてたくさんのことを教えていただきました。毎週本当に面白い貴重なコーチングありがとうございました。
工藤さん
どこかが痛いとき、工藤さんがいらっしゃる安心感は絶大でした。特に肩や腰のことについては変化が起こるたびに相談に乗っていただき、とてもありがたかったです。将来の腰痛や肩痛に備え引退後も教えていただいたケアを続けていこうと思います。
笠原さん
フィットネスがとてもきつかったですが、おかげで毎回少し自信をつけて復帰できました。ありがとうございます。
青山先生
体のことを気にかけてくださり、また鼓舞してくださったこと、感謝申し上げます。推薦書など私的なお願いも快く引き受けてくださり、大変助かりました。4年間ありがとうございました。
川出さん
優しく丁寧なご指導のおかげで、スキルの上達がみられたように思います(パスやキャッチなど、上手くなった、と言い切ることができないのが申し訳ないです)。体のことも常々気にかけてくださり、大変感謝しております。
けんたろう先生
先生に誘っていただいてラグビーを始めたことで、僕の人生は大きく変わりました。高校生という時期に先生にご指導いただいたこと、本当に感謝しています。転任して偉くなられたと伺ったので、仙台に帰った際にはぜひお会いして、おすすめのおいしいお酒をごちそうになりたいです。
二高ラグビー部同期の皆
高校時代を一緒に過ごせて本当によかったです。大切な思い出ができました。久しぶりに集まれるのを楽しみにしています。
先輩方
部に誘ってくださったこと、優しく厳しくグラウンド内外で指導してくださったこと、食事に連れて行っていただいたことなど、感謝してもしきれないことばかりです。同時に様々なご心配、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした。
後輩の皆さん
部で楽しくラグビーができたのは、皆さんのおかげだと思っています。金銭面に余裕ができたら、なるべく還元させていただきたいと思っています。
東大ラグビー部OB、OGの皆様
皆様のご支援により、何ひとつ不自由のない大変恵まれた環境でラグビーをすることができました。貴重なコーチ陣や充実した医療体制なども含めて素晴らしい環境をご用意くださっていること、感謝の念に堪えません。全員にお会いできる機会もなかなかありませんので、この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
医療関係者の皆様
練習に来てくださったSBC東京医療大学の上岡先生と学生の皆さん、執刀してくださった田崎先生、聖路加国際病院、西多賀病院の先生方、その他これまでお世話になった医療従事者の皆様、本当にありがとうございました。今後はなるべく病院のお世話にならないよう、健康に留意して生活していきます。
同期の皆
4年間本当にありがとう。迷惑をかけることも多く、特に今年あまり貢献できなかったことは申し訳ないです。みんなに出会えて僕は本当に幸せだと思っています。今後もよろしくお願いします。途中で別の道に進んだ仲間にも、会える機会があれば嬉しいです。
家族へ
苦労して入れてもらった高校・大学でラグビーをさせてくれて、本当にありがとうございます。金銭的負担と大変なご心配をおかけしてすみません。今後もよろしくお願いします。
このほかにも、これまでのチームメイトやコーチ、対戦相手、レフリー、応援してくださった方、ラグビーを通じてお世話になったすべての皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
4. おわりに
最後のリレー日記は、往々にして後悔や不満に満ちた暗いものになりがちである[2]。勝利を求め、犠牲を払ってスポーツをしてきた以上それは当然だと思う。自分の至らない点について開き直るわけではないが、取り組みが不十分、結果が出ない、集団が一枚岩になれない、色欲に溺れている人がいる、といったことは、人間である以上容易に起こり得ることである[3][4]。ただし個人的には、反省や後悔の表明はこの場ではなくても良いと考えている。僕にはあと10日間だけ仲間とラグビーをする時間が残っていて、大切な試合が控えているから、今後の人生にむけての反省はそのあとでも遅くはないように思う。残り少ない期間、部が少しでも明るくなればと考え[5]、あえて真面目さを前面に押し出さないリレー日記にしたつもりである。後から恥ずかしくなってしまったら、文章を書き直すかもしれません。
毎日楕円球を追っている間に、中学を出たてだった僕はいつのまにか22歳になってしまった。この日々が終わる今年の12月28日は、間違いなく僕の人生における大きなターニングポイントのひとつになる。2試合勝ってその1日を最高のものとして終えることが、今の一番の目標である。五体満足に生んでくれた両親には申し訳ないけれど、もう少しだけ自分の体に無理をしてもらおうと思っている。
次は、同じ工学部フロントローの細谷にバトンを渡します。1年生の頃はすかしたタイプだと思っていましたが、4年間で彼の素晴らしさに気づくことができました。いつもありがとう、本当に楽しかったです。これからもよろしくお願いします。
5. 参考文献
[1]石澤諒馬. "東京大学運動会ラグビー部リレー日記 第52話「復活の爆炎」". 2025. https://www.turfc.com/blog_detail/id=2371. (2025-12-17閲覧)
[2]"東京大学運動会ラグビー部リレー日記2024/12". 2024. https://www.turfc.com/blog_my_top/blog_id=21&date=2024-12. (2025-12-17閲覧)
[3]東京大学ラグビー部会報委員編. 『東京大学ラグビー部会報 第92号』. 東京大学運動会ラグビー部. 2025.
[4]伊藤明 (2022). 『恋愛依存症 苦しい恋から抜け出せない人たち』. 株式会社実業之日本社.
[5]学年ミーティング議事録. 2025-01.
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