ラグビー部リレー日記

科学の力

投稿日時:2025/06/30(月) 20:54


 俊足とハードコンタクトで大活躍のスター玉置からバトンを受け取りました、4年の猿渡です。玉置はアグレッシブなキャリーを続ける姿が本当にかっこいいです。明日の試合も楽しみにしています。


 今年3月に腰の手術を受け、先月無事復帰することができました。この間、病院の皆さん、部の皆さん、家族など、たくさんの人にお世話になりました。本当にありがとうございます。現在一時的にDLに戻ってしまいましたが、今年ラグビーができることへの感謝を忘れずに頑張ります。


 進振りに失敗したのか後期学部に進学してから多忙な日々を過ごしていますが、大学で勉強しなければ一生知らないままだったのだろうなと思う言葉によく出会います。日常生活で使う言葉とは大きくテイストが異なり、インパクトのあるものが多いです。かっこいい言葉やかわいい言葉に出会うと嬉しくなり、少しだけ勉強しようかなという気持ちになります。大学に入ってから習った、印象的な言葉をいくつか紹介します。理解できていないものも多いので、誤りなどに気付いた方がいれば教えてください。


①「シュレディンガー方程式(Schrödinger Equation)」
 大学に入って最初の方で習い、かっこいいなと思った記憶があります。原子や分子において、電子がどんな軌道・エネルギーで存在しているかを求める方程式です。物質の性質を考える際などに重要なようです。簡単に解けるシュレディンガー方程式の例として授業で登場した「無限に深い井戸型ポテンシャル」も響きがかっこいいです。詳しくは忘れてしまいました。


②「デス・マーチン酸化(Dess-Martin Oxidation)」
 強そうだなと思いますが、アルコールを穏やかに酸化する反応です。日常生活のどんなところで役立つのかはよく分かりませんが、院試にでるかもしれないと聞きました。DessさんとMartinさんが開発したためにこの名が付いており、化学反応の名前の付け方としてはシンプルです。もちろん日本人の名前が付いた化学反応もあり、2010年のノーベル化学賞は、「鈴木―宮尾カップリング」、「根岸カップリング」が受賞理由となりました。このリレー日記では、「○○―××カップリング」という便利なフレーズを使って部内の色々な人をいじろうと思っていたのですが、自分の部内での立場を考えてやめることにしました。


③「強い力(Strong Force)」
 こちらも科学用語ですが、それらしい言葉を用いず、伝われば良いというような姿勢が逆にかっこいいと感じます。この世の中に存在する力は元をたどると4種類に分けることができ、強い方から順に「強い力」、「電磁気力」、「弱い力」、「重力」となるのだそうです。詳しいことは分からないものの神秘的な感じがします。もし強い力が弱い力より弱かったらどうなってしまうのだろう、などと考えていると夜すぐに眠れます。


④「MAPキナーゼキナーゼキナーゼ(mitogen-activated protein kinase kinase kinase)」
 言葉のつくりは「トゲアリトゲナシトゲトゲ」と一緒です。「キナーゼ」は、特定の分子にリン酸とよばれる物質をくっつける働きをもつ物質です。「MAPキナーゼキナーゼキナーゼ」は、MAPキナーゼという何かをリン酸化するものをリン酸化するものをリン酸化するものということになります。これらは細胞が指示を受け取る際に使用され、がんやアルツハイマー病とも密接な関わりがあるそうです。


⑤「π-π相互作用(π-π stacking)」
 英語名である「パイパイスタッキング」と呼ぶ人が多い印象です。男子中学生の間で流行りそうな語感だなと個人的に思っています。「π電子」によって芳香環同士がシート状に重なりやすくなる効果のことです。例えば、私たちが持つDNAの中でも、パイパイスタッキングが働いているそうです。また、スタックしてしまっている人が身近にもいる気がして心配です。


 次は、同期の細谷にバトンを渡します。彼がフロントローに転向してから、一緒に練習することが増えてとても嬉しく思っています。。大学でも一緒になることがときどきある、大事な友達です。


参考文献
Peter Atkins, Julio de Paula著. 中野元裕, 上田貴洋, 奥村光隆, 北河康隆 訳 (2022).「アトキンス物理化学(上)第10版」. 株式会社東京化学同人.
Jonathan Clayden, Nick Greeves, Stuart Warren著. 野依良治, 奥山格, 柴咲正勝, 檜山爲治郎 監訳 (2021).「ウォーレン有機化学(下)第2版」. 株式会社東京化学同人.
NovelPrize.org. “Nobel Prize in Chemistry 2010 Press Release”. https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2010/press-release/ .(参照2025-07-05).
伊東明 (2021). 「恋愛依存症 苦しい恋から抜け出せない人たち」. 株式会社実業之日本社.
Bruce Alberts, Karen Hopkin, Alexander Johnson, David Morgan, Martin Raff, Keith Roberts, Peter Walter 著. 中村佳子, 松原謙一, 榊佳之, 水島昇 監訳 (2022). 「Essential細胞生物学(原著第5版)」. 株式会社南江堂.

 

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2025年7月

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