ラグビー部リレー日記

来年から、爆発するために

投稿日時:2021/08/19(木) 18:00

いかつくて怖いタイプの巨体というよりは優しいオーラを醸し出すタイプの巨体の持ち主、いしけんさんよりバトンを頂戴しました1年の奥山です。いしけんさんには練習前後に僕が練習についていけているか声をかけてくださり、どれだけの安心感を与えて頂いたかわかりません。

明日から入院します。先月22日に前十字靭帯を断裂してしまったため、4日後の手術とリハビリのためです。廣瀨先輩しかり、前十を切った直後にリレー日記のバトンが回ってくるのはどうしてなのでしょうか。今回は地元での手術を目前に控えた今、想うことを書きます。部員のみなさんとはしばらく会わない日がこれからも続くので貴重な自己発信の場と勝手に捉えさせて頂きます。どうぞ最後までお付き合いください。


怪我をしたのはまだ練習を始めて3か月も経たないうちだったが、ここだけの話、高校ラグビー部で主将を務めていた時よりも真剣にラグビーに取り組んでいた。ラグビーは高校まででいいかなと思っていた受験期の自分からしたら考えられないほど夢中だった。実際、入部時の想像を遥かに超える質の高い強化体制のもと、ウエイトや食事にも拘り始めた結果、体はどんどんデカくなったし、技術面でも成長を感じられた。何より朝練がある日の前夜はワクワクが止まらず、今までで一番ラグビーを楽しめていた。より成長できる環境でプレーしたかったから、杉浦主将に「自信持って、早くシニアに上がって来いよ!」と声をかけて頂いたから、上級生との練習に合流することを決意し、スイカジャージを目指して歩み始めた。
けれどその矢先、先述の通り前十を切ってしまった。

怪我をしてしばらく東京に残っていた時は、積み上げてきたものが全て瓦解してしまった気がして何もかもがどうでもよくなった。人生初の一人暮らしで苦労しつつも着実に増やせていた体重は、たった1週間のうちにあきらさんに「奥山、ちっさくなったね。」と言われるほど減ったし、実際1週間で4kg痩せた。
たくさんの先輩方に期待を込めて頂いて、「怪我しないやつが一番成長する(から怪我するなよ)」とことあるごとに言われたことが脳裏をよぎり、自分を責めたて全く眠れず夜中に何度も目が覚めてしまった。
手術日が決まらず、先行きが真っ暗ななか、練習をサブグラウンドから見るだけの時間は思っていた以上にきつかったから、期末テストを全部受け終えて、早く実家に帰りたいと思っていたし、練習時間中もどうせ手術するからと術前リハを適当にこなして過ごしていただけだった。
カレンダーを見てまだ受傷して1か月も経ってない事実を知り、時の流れの遅さに絶望しそうになった。
実家で妹に勉強を教えることやリハビリをすることしか日課がない日々を自分が送っている今この瞬間も、上級生たちは対抗戦に向けて文字通り死に物狂いで強化集中練習に取り組んでいるし、同期、特に未経験で始めた奴らなんかは僕が復帰する頃には試合の経験値も積んで、見違えるほど強くなっているのだろうと思うと自分の無力さと共にやるせない気持ちでいっぱいになる。

でも。それは1週間ほど前までの話。

やるせなさは抱えつつも、ラグビーから完全に遠ざかった日々を過ごしていると、理由はわからないけれども少しずつポジティブな感情も生まれてきた。
AIG損保がTwitter上でALL BLACKSの選手らがどう怪我に向き合っているのかを紹介した動画に出会った。世界のトッププレーヤーである彼らは怪我をした時、ビデオ解析やプレーヤーへのアドバイスなどを進んでやるというのだ。そこには、ライバルが更に活躍できるよう、またチームが一番いい結果を出せるように少しでも貢献しようとする真摯な気持ちが垣間見える。僕もまだ今は、そして多分これからも同期が良いプレーをしたり、活躍したりしているのを見ると、嬉しさより、悔しい気持ちが勝ってしまうが、彼らが更に上達できるように、できるサポートはなんでもしていきたいという気持ちが芽生えた。
執刀医を務めてくださるお医者さまに手術の説明を受けた際、術後のリハビリがとても大事だと言われた。そして2日前、國枝さんがリレー日記で紹介されていた高校ラグビー部の先輩、廣瀨さんの行動。今まで一緒にプレーした記憶はないけれど、熱心に勧誘してくれたし、僕が今後取るべき行動を、身をもって示し続けてくれると思うととても心強く思えた。来シーズンこそは、火山灰が入り混じる土のグラウンドで大雨の日も練習した者同士、芝生のありがたみを感じつつ一緒にスイカを着て試合に出たいです。
この怪我も自分より体の強い先輩と衝突した結果起きたものだからある意味仕方なかったなと、開き直れるようになった。実際、体が強く機能性も高い先輩方の多くは全ての練習に参加し、試合でも活躍している。この期間はちょっと長すぎるかもしれないが、怪我を二度としない強く、しなやかな体を作り上げるために神様が与えてくれた時間かもしれない。
テレビを見ていると戦争やコロナで家族や友人を亡くした遺族の方々のこの上ない悲しい想いが伝わってくる。そのようなニュースを見た者が持つ感想としては不謹慎すぎるかもしれないが、前十を切っても生きている以上、それはかすり傷に過ぎないんじゃないかと思うようになった。それに加えて僕にはまだ大好きなラグビーをする時間が残されている。悲嘆にくれるのは、贅沢すぎる行為だ。前を向いて歩かなければならない。

目前には手術、リハビリという今まで経験したことのない大きな壁が立ちはだかっている。けれども、生まれてからここまで自分を支えてくれた方々。家が遠いのに夜練後、駅前のスーパーでの買い物を手伝ってくれ、今では僕を暇させまいと練習のフィードバックを求めてくる同期の辻。前十断裂の報告をした数秒後に慰めのLINEをくれた、僕と1年生の全く同じ日に前十を切るも今はスイカを背負う3年の財木さん。松葉杖をついてキャンパスから家に帰っている時にばったり会い、重い荷物を自身のチャリ籠に乗せてくれ、立ち寄ったスーパーでは昼食を奢ってくださり、そのまま家までついてきてくださった時、「代われるもんなら代わってやりたいけどなぁ」とポツリ呟いてくださったジュニアコーチの虎さん。二回も靭帯を断裂してもなおプレーヤーとしての道を諦めなかったジュニコの川端さん、4年の魚住さん。他にもあげるとキリがないがちょっとした気遣いや優しい言葉で僕を感激させてくれた先輩方、同期のことを思い出すとこの壁は破壊してでも、どんな形でもいいから乗り越えなければならないと強く思う。

乗り越えた先にある自分はどのような姿だろうか。高いモチベを持つ今の自分の想像より成長していないかもしれない。だけど、せめてラグビーできないという悔しさを誰よりも知り、ラグビーできる幸せを誰よりも感じられる人間になっていたい。それは、復帰時チームの最底辺にいる自分、チャレンジャーとして常に高みに手を伸ばし続ける自分を押し上げてくれる原動力となってくれるだろう。

もちろん、その過程でもう二度と一緒にプレーすることのない4年生が対抗戦で躍動し、目標を達成する姿が見たいです。数える日数しか一緒に練習してない1年の自分が言うのもおこがましいですし、勝手なことを言うようですが、今年のチームならいけると思います。華麗なプレー、泥臭く前進するプレー、熱いハート、全部瞼に焼き付けます。
そして最後に同期へ。先日、僕が通院のためにキャンセルしたミーティングで決めた俺らの代の目標、話し合いには全く関わらずあとから聞いただけだけど、心の底から一緒に成し遂げたいと思える目標だった。来年から爆発できるように、僕も皆の向上心を見習って、これからを過ごしていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次は同期スタッフのようこちゃんに回します。上では熱いこと書きましたが、今は素直にようこちゃん含め同期のみんなに早く会いたいです。
 

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