ラグビー部リレー日記

愉快な4年間

投稿日時:2025/12/26(金) 22:13

2年生の時から全授業を一緒に受けていたのに僕と残りの単位数の桁が違う金大くんからバトンをもらいました、4年の領木です。怪我で色々と苦しかった4年間だったと思いますが、それでも明るく部活に来ていた金大は本当に尊敬しています。来年も遊ぼうね。
 

僕はこの最後のリレー日記を読むのが大好きだった。1年生の時にジュニコの代の日記を読んで以来、毎年この時期が楽しみで仕方がなかった。部員たちが抱える葛藤や覚悟、表には出さない想い。それを知ることができるこの場所は、僕にとってラグビー部の深さを象徴するものだった。だからこそ、最後は僕も自分なりに、飾ることのない4年間を振り返りたい。
 

ラグビー部に入った理由は、シンプルで、ラグビーが大好きだったから。海外育ちの僕にとって日本の部活は憧れだった。父の影響で幼稚園の時に2年間ラグビーに触れていたこともあり、合格発表の日に父から大西さんの記事が送られてきたとき、僕は勝手に運命を感じて入部を決意していた。
 

1年生の頃は、とにかく楽しかった。甲斐さん、今塩屋さん、ルーシーさんたちとのジュニア練の居心地が良すぎて、ラグビー部の練習はタッチフットと2対3だけだと思い込んでいたほどだ。それでも、根が負けず嫌いな僕は「同期の誰よりも輝く」ことを目標に掲げた。春シーズンではベンチ入りを果たしたものの、最初にスタメンを掴んだのは同期の宮田。残りの春シーズンと夏合宿でも出場時間はわずか10数分。最後の京大戦でメンバー入りした石澤を横目に、選外となった自分を不甲斐なく思い、悔しさで胸が一杯になった。それでもB戦ではラグビーと勝負の楽しさを全身で感じ、4年生たちの最高に熱い背中を間近で見ることができた。充実した1年目だった。
 

2年生になり、「全試合Aでスタメン出場する」と誓った。ポジション争いをする先輩の動画を何十回も研究し、オフは増量と筋トレに捧げた。今の下級生は信じられないかもしれないが、毎朝6時にはグラウンドに立ち、ボールの空気入れや掃除をこなす、自分でも驚くほど真面目な部員だった。 努力の甲斐あり春からスタメンの座を掴んだが、パフォーマンスが伴わず、九大戦でスタメンを外されてしまった。今思えばよくあそこまで我慢して自分を試合に出してくれていたと思うが、悔しすぎて、安富さんに練習動画などを見せ、なぜ自分を出すべきかを直談判した。あの時の思いが、「二度とベンチスタートはしない」といういいモチベーションにはなった。 また、苦手だったタックルの克服にも励んだ。暇さえあれば金大を捕まえて練習に付き合ってもらった。その甲斐あって対抗戦では納得のいくプレーができたと思っていたが、名古屋戦の週、ある先輩に「人がいたら、げんとは試合に出てないよな」と漏らされた。その言葉で猛烈に火がつき、名古屋戦では意地の3トライを挙げた。 このように、2年生の時はとにかく悔しさをバネにがむしゃらに頑張って、個人としては非常に満足した1年だった。


その一方で、同期との差も感じた一年であった。怪我、実力、コーチとの相性など色々と理由はあったと思うが、シーズンを通して出場し続けた同期がいなかったのはなにかと複雑だった。シーズン中に大西さんに下級生の出場時間の少なさを指摘され、僕は頑張らないとなと思ってそのmtg直後にタックルの練習をしていた。その横で試合に出ていないのにふざけて遊んでいる同期の姿を見て、失望したことは未だに忘れらない。もっと自主練すればいいのに、もっと貪欲に練習に取り組めばいいのになどと思ってはいたが、彼らにアプローチして巻き込む力がなかった自分も弱かった。
 

そして、3年生。正直に言えば、ラグビーが最も楽しくなかった1年だ。 大西さんがチームを去り、指導者不在で始まった春シーズン。チームが緩むのではないかという不安は的中した。山学との合宿中、ユニットでボコボコにされた後の休憩時間にビデオも見ず談笑する4年生の姿。それを見て、僕は絶望のあまり練習を2日間無断で休んだ。 「なぜ3年の僕がサインを考え、モールを研究している横で、最上級生がふざけているのか」そう憤っていたが、結局は勇気を持って周囲に働きかけられなかった自分への言い訳に過ぎなかった。
 

それから春シーズンの終わりあたりで初めて本当に部活を辞めたいと思った。グラウンド外でも色々とチームに迷惑をかけたが、それとは別にただただラグビーがつまらなくなった。その当時の自分は1年や2年の時の貪欲さを失っていて、試合で自分に与えられた仕事をこなし、穴にならないようにさえすればスタメンで出場し続けられていた。そんな状態でも試合に出ることができたのが自分のラグビーに対する気持ちを失わせていた。所詮東大ラグビー部という弱小組織で、たまたま実力ではなく人数の関係などで試合に出ることができ、それで満足していただけだっだ。自分は結局その程度の人間だった。今までは大西さんという常に限界を突破することを求めてくる人がいたが、そのような人がいなくなった途端慢心して、自ら成長を追い求めることを辞めていた。また自分の弱いところが出てしまった。そんな状態でも僕を試合に選んでいただいていたあきお、寿太郎さん、原さんには今となっては本当に申し訳ないと思っている。その後の夏合宿も対抗戦も必要以上のことはせず、常に80点のパフォーマンスを出せばいいと思っていた。
 

そして迎えた最終学年。副将になった。自分がどのようなリーダーになるべきか模索していたとき、一聡さんとのミーティングで言われた一言が刺さった。 「今年のチームは、どれだけげんとが成長するかだからな」 と言われた。話すのは得意ではないし、歴代の副将のように品行方正でもない。せめてグラウンドでは先頭に立って体を張ろうと決意した。足が速いわけでも、体が特別強いわけでもない。だからこそ、一番分厚く、一番痛いところに、誰よりも先に突っ込んでいくと決めた。杉本さんに練習後に付き合ってもらい、苦手だったキャリーを磨き、基礎的なパスやキャッチをやり直した。 振り返ってみれば、4年間で最も成長でき、ラグビーが楽しかった1年であった。
 

結果として、僕たちの代は目標を達成できず、ギリギリでの4位。悔しさはもちろんあるが、今年の対抗戦は最高に楽しかったと言い切れる。 打倒東大を掲げた上智との初戦、悔しさで記憶が飛んだ成城戦、最高に気持ちよく勝てた一橋戦、2年前のリベンジを果たした学習院戦、最強のFWに真っ向から打ち当たった成蹊戦、そして勝てると本気で信じられた明学戦、創部初の入替戦進出を決めていた強敵武蔵との最終戦。 全ての試合にドラマがあり、一つひとつの勝負に没頭でき、後悔は全くない。


対抗戦は終わったが、幸いにも、まだワクワクする勝負が残っている。京大戦だ。 入学以来、一度も勝っていない相手。去年は歴史的な大敗を喫した。どうなるかなんて分からないけれど、楽しみで仕方がない。 自分のラグビー人生のフィナーレに相応しい試合にする。一個一個の勝負に没頭し、先頭に立って体を張る。 絶対に勝ちます。
 

こうして振り返ると、自分について色々なことに気付かされた4年間だった。 つくづく、自分には周りを巻き込むほどの勇気も力もなかったのだと思う。勝ちたいという思いは誰よりも強く、そのためにラグビーを研究し、自主練も欠かさなかった。けれど、どうしても周りを巻き込むことができなかった。20年かけて培われた他人の考え方を変えるのは無理だと思っていたし、しつこく言って煙たがられるのも嫌だった。 そんな不安を飲み込んで人に対してアプローチできるのが、杉浦さんや杉本さんのような本当のリーダーなのだろう。試合に出ていた人間として、周りを巻き込むのは僕の責任だった。そこから言い訳をして逃げていたことが、4年間で唯一の悔いだ。もっと勇気を出して、東大ラグビー部に良い文化を残したかった。
 

だが、それと同時に、心の底から楽しかったし、人として成長できた4年間だったと思う。特に怪我もなく、この3年間は脳震盪で出られなかった1試合を除いて全公式戦にほぼフル出場することができた。ラグビーの楽しさをたっぷり味わえたこの4年間は自分にとって一生の財産だ。
 

最後に感謝を述べたいと思います。


大西さん

大西さんがいなかったらここまでラグビーを楽しめていなかったと思います。本当に怖かったし、いまだに街中で大西さんの車を見るたびに吐き気はしますが、大西さんとの2年間で学べたものは一生忘れません。引退したらおいしい焼肉に連れて行ってください。
 

一聡さん
一聡さんとの出会いは刺激的でした。一聡さんのお陰でラグビーをもっと頑張ろうと思えたし、ラグビー以外でも人生のあらゆる生き方を学ことができました。特にこの1年間はお世話になりました。来年は暇なんで一緒に遊びましょう。


鳥飼さん、笠原さん、中垣さん

お忙しい中練習に来ていただいてありがとうございました。色んな世界を見せてくれて、非常に刺激的でした。お陰様で練習に行く楽しみが増えました。飲みに連れて行ってください。
 

青山先生、川出さん、東大ラグビー部OB、OGの方々

不自由なく4年間やり切れたのは皆様のサポートのおかげです。本当にありがとうございました。
 

杉本さん、永山さん

毎週水曜日が楽しみでした。高いレベルの世界でプレーしてたお2人の話しや指導を聞くとワクワクして、もっと頑張ろうと思えました。特に杉本さんにはこの1年間本当にお世話になりました。一緒にラインアウトについて考える時間が楽しかったです。
 

関さん、岩下さん

お腹空いてた時にいっぱい美味しいご飯食べさせてくれてありがとうございました。特にこの1年間は色々と付き合ってくれて感謝です。
 

後輩

あんまり模範的な副将ではなかったと思いますが、それでも付いてきてくれてありがとう。来年も応援してます。暇なんでいつでも呼んでください。


先輩
敬語も使えず生意気でしかなかったと思いますが、ラグビー部に入って続けられたのもそれを許容してくださった先輩方のおかげです。特にあきお、辻、一木さん、安富さんには感謝しています。また一緒にできて楽しかったです。


同期

4年間お世話になりました。ちょうどいい距離感が良かったです。引退しても何かに誘ってください。


毎試合欠かさず観に来てくれて、応援してくれてありがとうございました。お陰様で頑張れました。あと数年間はお世話になります。
 

次は我らが大将福元にバトンを渡します。この1年間僕がプレーに集中できたのも彼がmtgの資料を作ってくれたり、チーム運営してくれていたおかげです。本当にありがとう。京大戦では思う存分一緒に暴れましょう。

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