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ラグビー部リレー日記
さる・らさる
投稿日時:2023/11/09(木) 16:37
猿渡さんの肩と引き換え(?)に最強の肩書を手に入れた1年の原井です。名ばかりの肩書にならないよう、二兎を追って二兎とも得られるよう頑張ります。
猿渡さんといえば、いつぞやの新入生歓迎会で、アロハシャツにサングラス、洒落た帽子で登場した時は別人かと思うくらい面白かったです。「4年に一度じゃない、一生に一度」の出会いが見つかることを祈ってます。
さて、北海道というド田舎からこの4月はるばる東京にやってくると、田舎者を貶めることしか興味がない首都圏関西圏の方々に方言の話をよくされます。とはいえ、北海道は明治期に全国各地から人が集まり開拓された土地で、イントネーションがほぼ標準語なので、方言という方言はないんだね、とつまらなさそうな顔をされます。しかし、18年北海道に住んでいて当たり前のように使っていたけど東京に来てから全く通じなくて毎回頭を抱える、ぜひとも標準語にしてほしい、いえ、しなければならない便利な表現があります。
それは「さる」「らさる」です。
みなさん勘違いされるかもしれないので一応念のため書いておきますが、猿渡さんが「さる」わたりさんと間違われがちだとか、わがまま鵜木くんの出身校が「ラサール」だとかは関係ないです。念のため。
ちなみに、北海道の人にこの方言を聞くと「〇〇ささる」という形で紹介されがちですが、厳密には未然形活用の助動詞「さる」「らさる」です。原則、未然形がアの段で終わっていたら「さる」、そうでなければ「らさる」を使います。ただし、サ変動詞には「ささる」という形になるので完全に間違いではないのですが。
そんな細かい文法のお話をしたところで何が何だかパルプンテ(https://www.youtube.com/watch?v=J0F0e8jd5xk&t=2139sより)だと思うので、意味をご紹介します。
“自分はそんなつもりなかったんだけど、勝手に(向こうの都合で)そうなってしまった”です。
は??となっている非道民ばかりだと思うので例を見てみましょう。
満員のエレベーターでボタンの前にあなたが立っているとします。何かのはずみで後ろの人にぶつかられて誰も降りない階のボタンを押してしまいました。そんな時には
押ささった
が「正解」です。これが正しい日本語です。(圧
押しちゃった。だと、私が押そうとして押したんじゃないよ、のニュアンスが伝わりません。
押すつもりがあって(自分が降りる階を勘違いしたなどして)押しちゃったのと訳が違うからです。
一方、満員のエレベータではなく、自分がただボタンに寄りかかってうっかり肘などでボタンが押されたとしましょう。
この時も、押ささった、が使えます。
確かに他の誰でもなくあなたのせいでボタンが押ささりましたが、自分は押すつもりがあったわけではない、仕方がないんだ!というニュアンスが出ます。
ある種責任逃れの表現ですが、別に自分に非が無いとか、申し訳ない気持ちが全くないとかではありません。
ペンを持ってて人にぶつかられて「書かさった」
LINEの送信ボタンにうっかり触れてしまって「送らさった」
見るつもりはなかったけど、視界に向こうから飛び込んできて(突然カーテンが開くなどして)「見らさった」
外に汚れたブルーシートを放置しておいたら雨が降って「洗わさった」
など色々便利です。伝われ!
その行為による結果の良し悪しは関係ないし(悪い結果の時に使うことのほうが多いけど)、実際に自分に責任があるかどうかも関係ありません。コアにある一番大事なニュアンスは、自分は意図していない、ということです。
また、ここから仕方ないでしょ許してね、といった意味も生まれたりします。
ところで今Wordで原稿を打っているのですが、変換は全然出てこないし、間違いだと思われて下に赤い波線をたくさん引かれてイライラしてます。
「おささった」の変換に「長去った」とか「尾刺さった」とかを提案されます。
まあ、Wordが標準語(?)に対応していないのはさておき。
さる、らさるを否定語にするとまた面倒なことが起こります。
わかりやすく、「ボタンが押ささらない。」を例に取ります。
自分は物理的にはボタンを押しているんだけれど、機械の不調でボタンが押した判定にならない
自分は押したつもりなんだけど、うまく押せていなくて、結果として押したことになっていない
こんな時に「押ささらない」といいます。
ざっくりいうなら、押してるんだけど、押したうちに入らない、といった感じです。伝われ。(2回目)
「さる」「らさる」は、単純に結果・最終状態がそうなったのか、なっていないのかで肯定と否定を使い分けます。
自分は意図していないという意味は、肯定文だろうと否定文だろうと共通しています。
さっき面倒とか書いたけど、意外とシンプルだなあ。さすが標準語。うんうん。
ペンが「書かさらない」も、書く動作はしているけれどインクが入っていない、タッチペンが反応してくれないなど、ペンまたは紙やタッチパネル側の都合で、書けない、書いてはいるのに書いたことになってくれない、という状況を指します。
自分は送信ボタンを押しているが、ファイルが重たくて「送らさらない」
動画を見たいのに電波が悪くて「見らさらない」
一度に大量に洗濯しすぎて、洗濯機にかけたはずなのに汚れが取れてなくて「洗わさってない」
などなど
自分はしようとしているけど、向こう側の問題で意図せずそれができなくなっている、といった感じです。
伝われ(3回目)
この表現をマスターするともっと面白いことが言えます。
このラーメン美味しすぎてどんどん「食べらさる」
という感じです。食べてるのは自分だし、意図せず食べてしまう(突然口元にラーメンが飛んでくる)こともありえないので、本来適切な表現とは言えないですが、箸が勝手に進んで止められない、みたいな感じです。
ああ、食べらさる、という広告が札幌の地下鉄には貼ってあります。(確か北海道米ななつぼしの広告だったはず。)スクリューパスを知らないラグビー部員はいないのと同じくらい、道民には常識表現なのです。
他にも、友達にわざとぶつかりに行って
ごめんぶつからさった笑笑
と言って、自分のせいじゃないよ、仕方ないでしょ、みたいな感じを出す嘘?冗談?もよく言い合ったりします。
全日本国民は早く「さる」「らさる」に早く対応した方がいいです。してくれ。しなさい。しろ。
ほんの少しだけ強めの思想を披露してしまいましたが、せめてリレー日記をご覧の皆さんにはこの表現が伝わってくれて欲しいです。検討の加速をお願いします。
次は同期スタッフのみくにバトンを渡します。みくは夏休み以降、部のお買い物にインスタの更新、試合中継など大変な仕事を受け持ってくれて脱帽です。
が、一つ苦情を入れさせてください。
みくとは部室で麻雀を2回したことがありますが、1回目はみくが聴牌に気付かず1巡待ってツモ切りリーチしたら一発ツモドラ3で6000オール。2回目もただのリーチにツモドラ3で2000-4000の親被りをしました。
頼むからドラを3枚引かないでください(切実)。
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