Jr.コーチブログ (旧)

変化

投稿日時:2012/09/25(火) 20:14

私は「投げやりな批判」が好きではない。何かにつけて他人の問題に口をはさんでは「あれは悪い」「こんなんじゃだめだ」とか言っておきながら、自分の中に何の解決策や代替案がないタイプの批判のことだ。しかも、その発言に匿名性があるとなおさらだ。
ネット社会はこうした匿名性の強い「投げやりな批判」を加速させ、世の中にこうした批判を満たしたと思う。日本人は、どちらかというと行動規範に縛られがちで、人と同じ行動をとりやすいと思うから、こうした批判を口にする人間は多いんじゃないかと思う。

ラグビー部について話を戻す。
私は部に対する「投げやりな批判」が好きではない。部の成長を考えれば、批判されることはもちろん重要で、そういった厳しい声があることはとても大事だと思う。だけど、そういう批判しか言わないのを聞いていると心の奥底で「あの人はたぶん、批判をすることで『自分の時はそんなんじゃなかった、もっとすごかった』と自己満足や自己陶酔に浸っているんじゃないか」と少し思ってしまう(ほんの少しですよ)。本当に人を応援する気持ちがあるのなら、答えを用意しなくてもいいから軌道修正のヒントくらい与えてあげようとするだろうに、とほんの少し、ほんの少しだけ思ってしまう。



「今の4年生は頑張りが足りない」



そういう言葉を聞いた時、正直私は悔しかった。
1年先輩だけど彼らと一緒にいるのが4年目だからなのか、それとも去年自分がチームに首脳陣として携わっていたからか、理由は正直分からない。だけど、まるで自分のことのように心の底から悔しかった。
確かに、この批判に納得できてしまう部分もある。4年生はいわゆる漫画に出てくるようなハツラツ主人公タイプの人間がいない。外から眺めていると、静かだなーと思ってしまうこともある。
だけど、それと「頑張ってない」というのは話が違うんじゃないか。
こいつら普段から実は●●しててすげー頑張ってるんですよ、とか書き始めると負けた気持ちになりそうだから書かない。だけど、一橋戦については書いておく。

去年、一橋には34-0で勝った。いろいろな方が昨年のベストゲームと評して下さるようにすべてがかみ合っていた試合だった。
90周年の東大、対抗戦最終戦、勝ち越しがかかる大事な試合。そんな中で勝てたことは私の代のメンバーにとって小さな成功体験となって今も残っている。

今年、一橋は創部90周年を迎えた。90周年の分、去年完封された分、明治学院にあとちょっと敵わなかった分、必死になって戦ってくると思った。一方で、初戦を12-12で上智と引き分けた、91年目の東大。4年生は必死だったんだと思う。プレーにそれが出ていたと感じた。

下級生がミスを犯したとしても、それを自分たちで何とかしようとする気迫、執念。何度となく執拗とバッキングに走り、タックルをして相手のチャンスをつぶした岡崎。相手に連続攻撃をくらい、ピンチの時にジャッカルで相手の息の根を止めた大熊。小さな体で一本一本必死にキックチェイスに走り続けた持田。普段は口数が少ないのに大きな声を出してBKを統率する豊田。LOのスローミスで相手にボールをとられた後、すかさずターンオーバーしてチームを救っていた松永。大きな体で足も全然早くない悠史が見せた執念のセービング。1年生NO.8立山がタックルされて倒れた後すべてオーバーで越えて見せた井上。試合には出られなかったけれど、声を張り上げて応援し続けた荒巻、桑江。そして、雨でずぶ濡れになりながらも部員のために必死に頑張る森山さん。
4年生が輝いていた。頑張っていた。
それに呼応するかのように、思い切ったプレーを次々と見せる下級生。
下級生がミスったら、4年生が代わりに何とかする。その次は、下級生が4年生を助ける。
4年生がプレーで引っ張る。今度は下級生が大きな声を出してチームを盛り上げる。
外からは、喉がおかしくなるんじゃないかと思うくらい音量のでかい声援が聞こえる。

間違いなく一つの「チーム」だった。
4年生が引っ張って、周りがそれに応えてたと思う。
12-0 完封勝利。
私は嬉しかった。もう、本当に嬉しかった。
確かに、雨で一橋のBKが自分たちの得意とする大外を攻めれなかったし、雨に助けられた部分が大きいのかもしれないけど、FWのやってきた努力がカタチとなって現れていたからこそ勝てた。それが嬉しい。


「投げやりな批判をする」のはある意味今の日本人のスタンダードだ。だから、「投げやりな批判はしない」というのはスタンダードな日本人ではないことになる。そこにrefresh the worldがある気がする。
今の日本を変える力は、無意味な批判よりも、カラを破ろうとする気迫と執念だと思う。

次は2週間後の武蔵大戦。今度はBKで勝ったと言われるくらいにBKに奮闘してほしい。
そして、次は見に来た人をもっと感動させてほしい。

今年の4年はまだまだこれから頑張ると思います。

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