Jr.コーチブログ (旧)

<<前へ次へ>>

2013年Jr.コーチ発足

投稿日時:2013/03/13(水) 08:00

2013年度シーズンも始動からすでに1か月が経ってしまいましたが、せっかく貴重な発信の場を作ってもらったので、昨年の宮野さんに引き続き今年もJr.コーチブログを書いていきたいと思います。

本年度は、平成25年卒の大熊将平、豊田広祐、松永知之、持田公孝、そして私鈴木悠史の5人で1年生の指導にあたります。
宜しくお願い申し上げます。

ブログらしく少しばかり私の近況を報告させていただくと、3週間ほど前に卒論を無事提出してからというもの、やることが何もなくて何をしていいのか全く分からないという状況に陥っていました。
遠くに旅行に行ったりバイクを買ったりするようなお金もないので、しかたなく筋トレをしたりしていますが、「こいつ引退したのになんで筋トレしてんの(笑)」という感じで後輩に若干引かれてしまいました。そんな感じです。

さて、先日東大前期入試の合格発表が行われ、ラグビー部も毎年恒例の胴上げによって合格者の祝福をさせていただきました。
見事合格を決めた新入生の方々、本当におめでとうございます!

私は5年目ということで胴上げには参加できませんでしたが、今年指導していくことになる新入部員がこの中から出てくるかもしれないのかと思うと、テレビでニュースを見ながらワクワクせずにはいられませんでした。
それと同時に、まっさらな状態の新入部員を1年に満たない時間で1人前の選手に育てていかなければならないというJr.コーチとしての重責も、いよいよリアリティをもって感じられるようになってきました。
東大ラグビー部が今後さらに上のステージ―今年のチームは必ずや対抗戦A昇格を果たしてくれると信じています―で戦っていく戦力を養うため、そして、これまでOBの皆様をはじめとする関係者の方々からの御恩を、今度は後輩たちに返していくため、この責任ある役割をまっとうしていきたいと思います。

この記事を見て少しでもラグビー部に興味をもってくれた新入生がもしいたら、気軽にグラウンドまで遊びに来てください。
たくさんのフレッシュメンとともにラグビーができる日を心から楽しみにしています。

次回は他の誰かが更新してくれると思います。


応答セヨ!こちら○○

投稿日時:2012/11/05(月) 17:09

本日も試合観戦記をお送りいたします。
今回の観戦記はH2卒の川本さんにお書き頂きました。

―――――――――――――――――――――――――――――
後半27分。それまで簡単な場所からのキックも含めことごとく外していた成蹊のプレースキッカーがグラウンド左端からのゴールを大方の予想に反して決めて観客の歓声とため息が交差する。
これで9点差。「ひょっとしたら本当に勝てるかも」との中年OBの希望にも似た思いが遠のいた瞬間だった。
 
逆に言うとそれまでは「勝負」になっていた。
成蹊は東大が惨敗した武蔵、成城にそれぞれ59-0、81-0と圧勝している。でも今日の東大は武蔵戦(見に行けなかったが、見たOBの間では「大丈夫か?」とメール上で心配げな声が飛び交っていた)と成城戦(これは見に行きました)で見られた(聞いた)ディフェンスの綻びを見せなかった。幾次にも渡る成蹊のアタックで一線防御が一瞬綻んでもFBの江村くんをはじめとした二線防御が何とか食らいついた。
 
ディフェンス以外でもエリアマネジメントは堅調でがっぷり4つとはいかずとも4割くらいは敵陣でプレーできていたのではないか。そしてこれまでも武器の一つだったスクラムは今日も安心して見ていられた。たまに突っかけで姿勢が浮いても何とか抑え込んでいて、その安定ぶりはダイレクトフッキングやSHが出来るブラインドWTBの木下くんがNo.8に入る奇策が不要と思えるほど。
 
実際それまでは「よし!」「ナイス!」という歓声の多くは東大の観客から上がり、「わぁ~バカ~!」「ダメだ~」という声は基礎的なミスを連発していた成蹊側の観客から上がることが多かった。
 
そして試合自体は東大が開始早々PGで先制し、その後も敵陣に攻め込むなど一進一退の状況が続く。前半は結局東大がワントライ、成蹊は2トライを決めて8-10で折り返す。その後も双方に何回かチャンスは訪れたものの共に決め手に欠き冒頭の後半27分まではスコアは全く動かずジリジリとした時間が続くことになる。
 
 
でも勝てなかった。。。
 
 
ラインアウトのノットストレートが頻発したとか、カウンターでミスが多かったとか戦術面でも幾らでも原因らしきものはあげつらうことは出来るだろう。
 
でもそういうことは監督やコーチを含めた首脳陣の指導で修正してもらえればいいので敢えて一中年OBの視点で言わせてもらえば、グラウンドの15人全員が相手を、対面を1対1で上回る決意を持っていたかどうかを問いたい。
 
80分のラグビーのゲームは所詮1対1の勝負の積み重ね=局面(フェーズ)の総和である。
 
一人ひとりが常に相手よりも早く、強く、そして前へ出られれば当然ながら試合には勝てる。タックルの踏込み、ブレイクダウンの押し込み、コンタクトでの一歩、球際のスピード、スクラムやモールでのプッシュ。これらを相手より確実に強く、早くこなせただろうか?その結果相手より一歩でも前に進めただろうか?
 
残念ながら1対1での勝負で勝っていたとは言い難い。タックルしても一歩押し込まれ、ブレイクダウンでも10㎝ずつ後退した。当初は1対1でのマイナスを集散で補っていたものの接点で負ければ当然スタミナも奪われ、フォローする人数も徐々に減り、後半最後の綻びにつながっていったような印象だった。
 
中年OBはラグビーにおけるチーム対チームの戦いが戦略と組織の統制で決するとすれば、個人と個人の勝負は意地で決まると勝手に思っている(少なくとも対抗戦Bでは素質の差はほとんどないはずだ)。
 
意地があるなら今シーズンの残り少ない時間で自分が何をもって勝負するのか、勝つにはどうするのかをとことん突き詰めて欲しい。練習や練習試合を「こなす」のでなく課題意識や目標を持ってやって欲しい。川島くんのようにコンタクトの瞬間に相手のタックラーの推進力をいなして逆に前へ進むにはどうすればいいか?松木くんのように球際でスピードを落とさずに突進するにはどうすればいいか?ブレイクダウンで・・、タックルで・・一人ひとりが自分の課題を明確に持ってほしい。
 
試合の雌雄を決する前に1対1の勝負で勝つ。中年OBは残りの試合でそんな皆の「意地」を見たいと思っています。
 
川本一郎 H2卒
―――――――――――――――――――――――――――――

川本さんは今シーズンの対抗戦のほぼすべての試合に足を運ばれており、また、フロントパートを主催されているなど、「現役に近いOB」だと私は存じています(もちろん、現役2年の川本君のおじさんにあたる方であることは言うまでもなく)。
本当にお忙しい中書いて頂きありがとうございました。
(無理を言って試合後に書いて頂きました、すみません。。。)


最近、思うんです。
応援してくれる人の数だけ、人間は強くなれるんじゃないかって。
当たり前のことかもしれないけど。
別に、「OBに感謝しろ」とかいう辛気臭いことが言いたいわけではありません。
ただ単純に、相手の気持ちに対して120%で応えることが大事だと思うんです。
自分のために。

公園でバットを振っているのを見て、ある人が彼のために力になってあげようとピッチャーになって球を投げる。
そう声を掛けるのには勇気がいるけれど、彼のために。

そこで彼がバットをどう振るかで、その彼の未来は変わります。

もし、彼が全然やる気がなかったら。
ある人はいつか球を投げることをやめるでしょう。
自分が手伝っても彼の力にはなれないと見放すでしょう。

でも、彼が本気で向かってきたら、本気で気持ちに応えてきたら。
ある人はより彼が成長する術を考えます。それが、彼をバッティングセンターに連れて行くのか、より重いバットをプレゼントするのか、言葉で彼を救うのか、それはある人次第だけど。

相手の期待を超える、そのことで相手が期待するハードルが高くなる、そしてまたそのハードルを越えていく。
別に相手のためじゃない。あくまで自分のために。
今までの自分の100%が、いつの間にか90%になっていて、気づいたら80%になっている。
そうやって自分を押し上げていく。
期待してくれる人の数だけ、人は成長できる。



最近、チームの雰囲気が良くなってきている。
「もしかしたら」という期待を私は抱いている。
川本さんが「『意地』を見たい」という期待を抱いているのと同様に。
幸い、この部活はそういう期待に満ちている。

さあ、掴みかけている手応えを確信に。
 

サポート

投稿日時:2012/10/28(日) 11:57

今日は成蹊戦ですね。
雨の中の戦いが予想されますが、だからこそ東大らしさを発揮してもらいたいものです。

ブログの更新が遅くなってしまい申し訳ありませんが、本日はトレーナーの印牧(かねまき)さんの声をお届けいたします。

______________________________

トレーナーの印牧です。
東大ラグビー部に関わり、早いもので5年目を迎えております。 現在、週二日ほどグラウンドに行かせて頂いていますが、詳細は省きますが、関わってきた中で感じてきたことを書かせて頂きます。 
僕はラグビー経験があるわけではないので、あくまで一人のトレーナーの意見として聞いてください。  
では早速。
 
まず東大ラグビー部の特色として、部員主体で活動しているというところがありますが、そんな東大ラグビー部に関わりながらラグビーを少しずつ理解していくなかで、どんどん強くなるある思いがあります。
単純なことですが、自身の身体に対する関心を持って欲しいなというとです。それは、ケアをしてほしい、姿勢を意識してほしい、身体を大きくする努力をしてほしいなどといったものです。この思いは現場に中心となって関わり始めた去年から特に強くなりました。
 学生のうちは机に向かう時間が多いでしょうから、姿勢が悪くなりやすいと思います。東大生は特にそういった印象がるので姿勢をどうにかしたいと思っていました。
また、食事やトレーニングに対する意識の低さも気になっていました。ウェイトの時間や、栄養補給の時間よりも全体のスキル練習の時間・個人練習の時間が優先されてしまう実情でした。ラグビー選手の身体が大きくなっている現代のラグビーで、東大ラグビー部が高いレベルを目指すのであれば、変えていかなければならないことだと思っていました。 もしAグループに昇格したとして、このサイズのまま戦うとなったらと考えた時はゾッとしました。こういった問題を変えるためには、言えば分かるかなと思っていましたが、なかなか上手くはいかないもので、週二日でどう変えていったら良いのか悩んだ時間は長かったかと思います。
 
しかし、去年から変化が見え始めました。 シーズン中でも筋力を維持するためのウェイトの時間は確保され、部室に大量のカステラが常備されるようになり、練習後の早めの栄養補給がしやすくなりました。そういった環境の変化は今年も継続されました 。
しかし、選手の行動が伴わなければ結果は付いてきません。
カステラが存在しても練習後に話をしたり個人練習をする部員がたくさんいました。個人練習は大事な事かもしれませんが、優先順位を考えるといかがなものかと思うので、まず栄養補給と意見をぶつけてきました。
ただ、このような選手とのギャップは週二日行ってるだけで埋まるものではありません。、ここで活躍してくれたのがマネージャーの方々です。
 
我々が関われない時間に積極的に選手に関わってくれました。
そのお陰か選手の意識も高まり、例年よりも体重の減少を最小限限に抑えられています。特にFWの意識が高まったと感じます。(実際のところ、例年はコンディションシートの記載がいまいちなので比べるデータがありませんが)
 
FWに関してはウェイトトレーニングの数値でも成果を出してくれています。去年もスクワットなどの記録が向上しましたが、今年は夏の時点で平均10Kg上げてくれました。中にはスクワットで200kgを挙上する選手も出てきました。その理由としては、ウェイトトレーニングの時間が確保されているということもありますが、ストレッチなどの基本的なセルフコンディショニングを意識する選手が増えてきた事が関わっているのかなと考えています。
ストレッチなどを行うことで関節の運動範囲が広がったことでトレーニングの効果が高まったということが大きな理由かと思います。
 
このように成果が見えている部分もありますが、チーム全体の意識が高まったわけではありません。例をあげるとBKの平均に関しては夏の時点で大きな変化は見えませんでした。
食事に関しても全体が意識できているわけではありません。意識して頑張っている部員もいれば、意識が足りていない部員もいる。まだそういった面でチームが1つではないのかなと感じています。
ただ、上手くいっていない部分はありますが、スポーツ選手に必要な部分が確実に変わってきています。彼らの努力は決して批判されるようなものではないと思います。部員同士にも言えることですが、お互いに至らない部分をカバーしあい、批判せず、お互いに学びながら、これからも目標をただの目標で終わらせないように頑張って欲しい。自信を掴んでいってほしい。
 
部員数も増えてなかなか管理仕切れず、僕の要領の悪さで迷惑をかけていますが、選手の理解もあり、少しずつ安全でレベルの高いラグビーに近づけてると信じています。ウェイトに時間を費やすことは勇気がいることだったと思います。昨年、落合主将をはじめとした四年生が新たな流れを作ってくれたなと感謝しています。
今年の東大ラグビー部の皆様、今年も僕のような頭の悪い人間に付き合ってくれてありがとうございます。トレーナーの要望に付き合ってくれている部員を中心としたラグビー部には心から感謝しています。
 
残念ながら対抗戦の結果にはまだ結び付いていませんが、残りの上位校との対戦、足元をすくえるように頑張って下さい。
トレーナーという立場と、密かなファンという立場から応援しています。
 
だらだら長文になってしまいましたが、少しでもご理解頂けたら幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。
 
トレーナー
印牧

______________________________

印牧さんはトレーナーとしての普段のコンディショニング・トレーニングのサポートはさることながら、人間としての姿勢においても学ばせて頂くことが多いなと感じます。
OBを勝手ながら代表して、、、これからもサポートよろしくお願いします。

印牧さんをはじめとするトレーナーの方々のためにも、勝つことで報いてほしい。


 

渇きと餓えと

投稿日時:2012/10/22(月) 20:00

皆さんは上原ひろみという一人の日本人を知っているだろうか?
世界的に有名なジャズピアニストであり、世界の至る所でコンサートを行っている凄い方である。
もちろん、私が音楽に対して特別造詣が深いわけもなく、この人の音楽の素晴らしさがどこにあるのか、と聞かれても正直答えに困ってしまう。
しかし、私はこの人の音楽が好きだし、凄い人物だな、といつも刺激を受ける。
別に、皆さんに自分の趣味趣向を押しつけるつもりは全くないのだが、この方の書かれている文章があるのでこちらを読んで頂きたい。

http://www.hiromiuehara.com/message/2011/002121.html


初めて去年この文章を読んだ時、「現状で満足しない」、「自分から何かを変える」、「環境のせいにしない」ことの大切さについてハッとさせられた記憶がある。そしてたぶん、ボクはこの文章を読んでからこの人の一ファンとなった。

人間の心が動かされる瞬間というのは、相手の心が自分に何かを訴えかけ揺さぶる瞬間だと考えている。
辞書の定義で言えば、感動とは「ある物事に深い感銘を受け強く心を動かされる」ことである。

事の大小に関わらず、物事の決断には心の動きが伴っている。
誰もが、心を揺さぶられて人生を生きている。
例えば、ラグビーをやるという選択だって「かっこいいな」と心を揺さぶられたはずだ。
東大に入るのだって、何かきっかけがあって心が揺さぶられたはずだ。

ある脳科学者は著書の中でこう書いている。
「理性が感情を抑えつけているだけでなく、感情は理性を支えている」のだと。

人が何かを成し遂げるには意思が必要だ。
何かを成し遂げたいという餓えが必要だ。
見たいのは形式的な取り組みなんかじゃない。
人に感動を与えるのは行動の奥深くにある意思、そのもっと奥にある餓えだ。

言いたいことはただ、それだけ。


正直言って、こんな暑苦しいことばっかり毎回書きたくない。(そして音楽の趣味は黙っておきたかった)
だけど、私にはこのチームが変わってほしいという餓えがある。
変えたいという餓えがある。
だからこそ書いている。

チームに今、餓えはありますか?
あなたにに今、餓えはありますか?
ラグビーを何のためにやってますか?
成蹊に本気で勝てると思ってますか?

タフガイ

投稿日時:2012/10/11(木) 21:19

負け。
今シーズン対抗戦初の、負け。
負けると今までの全てが否定されたような気持ちになる。悔しさと無力感がこみ上げてくる。
何が悪かったのか、何がダメだったのか。まずはそこを突き詰めて考える。

今回も「OBの声」をお送り致します。
本日は、八重樫真樹さんと伊藤健さんに執筆を依頼させて頂きました。
ご紹介させていただきます。
----------------------------------------
S53年卒 八重樫真樹さん

 武蔵大学戦は前後半それぞれ3トライ、合計6トライを奪われ、東大は終了間際に1トライを返すのがやっとという完敗だった。
 ほぼ相手ペースの中で、バックスの待ち気味のタックルや、キックチェイスの遅さ、FWのポイントへの集散の遅れ、といった欠点が露呈し、大差につながったと思われる。
 特に前半は一度も敵陣22m以内に入りこめず、得点機はまったくなかった。これほど一方的な相手ペースにさせてしまった理由はこちらが得たボールをあまりに多く失ったことにある。
 ・PKで敵陣ラインアウトにすべきキックがノータッチ
 ・マイボールスクラムをコントロールできず回されて相手ボールに
 ・ラインアウトのノットストレート、キャッチミス
 ・バックスの被タックル後のノット・リリース・ザ・ボールやターンオーバー
 ・ラックでの無理目なオーバーによるペナルティ
 ・バックスリーにフリーキャッチされるキック
 ・展開した局面でのノッコン
 思い出せるだけでこれだけある。これではゲームの組み立てはできない。保持したボールをしっかりキープできていれば敵陣へ入って過去2戦で見せたFWによる粘りのある攻撃などで東大ペースに持ち込める可能性もあったのではないかと思う。また、上記の事象の多くが、グランド中央、両方の10mラインの間あたりのゾーンで起こっていることも大事なポイントだ。ここでのボールの得失は自陣に押し込まれるか敵陣に進入できるかの分岐となるので非常に重要だ。このゾーンで反則を犯さず、ターンオーバーを許さないことがゲームコントロールのカギとなる。
 次の成城戦ではポゼッションの継続を意識して東大ペースで試合をしてほしい。と、これを書きながら先週の他校の試合結果を確認したら一橋が成蹊に15対34と善戦している。恐らく自分たちのペースに持ち込めたのだろう。これからの上位校の対戦、東大にもチャンスはあるのではないか。もちろん冒頭に述べた欠点を解消しないままでは、相手ペースになった場合、試合が崩壊する恐れもあるのでしっかり練習してほしい。

---------------------------------------

H21年卒 伊藤健さん

この結果に対して、当然現役のみなさんは非常に悔しい思いをし、敗因を分析していると思いますし、既に監督、コーチ陣からは適切な指摘をいただいていると思います。
そんな中私が述べられる事なんてあまりないのですが、折角なので少しの間おつきあいください。

本題に入る前に、この文章をご覧いただいているOBの皆様方に武蔵大学についての解説を致しますと、武蔵大は2007年頃から「ムービング・ザ・ボール」をスローガンに、あまり蹴らずに徹底して展開するラグビーを目指しています。
もっともこれまではボールを前に運べるランナーが不在だったので、展開すればするほど後ろに下がるという悪循環に陥っていたのですが、今年のチームは人に強くて前に出られるランナーを複数揃えており、彼らが幾度に渡って東大のDFを突破しました。
さらに、スクラムの強化にも成功しており、定評のあった(であろう)東大スクラムも前半2回ホイールされるなど大分揺さぶられております。(相手の3番が交代した後半はある程度安定しましたが。)

現役向けの話に戻ります。
現役の皆様は 当然武蔵大学が「ムービング・ザ・ボール」を標榜に掲げてBKに自信を持っているであろうということは事前に分析してわかっていたと思いますが、こないだの試合の進め方を見る限りでは、相手BKに対してちゃんとした対策を練っていたか疑問に思えました。
 例えば、武蔵大のように展開することを信条とするチーム相手ならば、展開される前に止めることが定石のはずですが、特にSO、CTB周辺で激しくプレッシャーをかけることなく外にボールが回っている気がしました。また、外にあれだけ強いWTBがおり、今年の東大のDF力を考慮するならば確実に二人以上でマークしてとめるべきだったと思いますが、特別マークしているようにも見えませんでした。

もし分析を怠っていたならば、本気で反省してください。
己を知り彼を知れば百選危うからず。相手に好きなことをやらせる横綱相撲じゃ東大は勝てません。
わかっていても対応できなかったならば、もっと練習で落とし込んでください。
上位チーム相手じゃ中途半端な対策では通用しません。

と、ここまで苦言を書いてきましたが、まだ一勝一敗一分で四位と、残り4戦全勝すれば入替え戦出場の可能性は充分にありますので、変に気を落とさないでください。
諦めたらそこで対抗戦終了です。
下級生の皆さん、自分の在学時の経験から言って、負けると上級生が落ち込んで部全体の雰囲気も暗くなりがちですが、そんな時こそ皆さんが下から突き上げてください。
4年生の皆さん、このままこのチームは終わるのか、それともここから奮起するのか。
全ては皆さん次第ですが、ここで奮起し、12月23日に満足して引退試合を終えることが出来たならば、元Jrコーチとしてはうれしい限りです。

---------------------------------------
現役の試合やトップリーグの試合を普段からたくさん間近でご覧になられている八重樫さんと、現役時代からデータのイトケンと評され、その分析力に定評のある伊藤さんの「OBの声」をお送りいたしました。
全体として、やはり辛口だなあと思ってしまう反面、的確だなと納得してしまうのもまた確かでした。さすが。
お忙しい中にも関わらず、ご協力いただき本当にありがとうございました。

序盤3試合を終えて1勝1敗1分。
まだ先はある。まだまだいくらだって変われる。
でも、残念ながら制限時間は限られている。出来ることは限られている。
何を信じて、何をやるのか。
最後に、自分たちのやってきたことを信じられるか。
信じて、確固たるチームというものを作り上げられるか。
負けを経験した今だからこそ、次に向かってそれを跳ねのけるだけのタフネスさが試される。
4年だけじゃない。チーム全員のタフネスさが試される、と思う。
気持ちの持ちかた一つで、ピンチにもチャンスにもなる。

下を向いている暇はない。
次は勝ってほしい。

 

«前へ次へ»

ブログ最新記事