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Jr.コーチブログ (旧) 2012/11
応答セヨ!こちら○○
投稿日時:2012/11/05(月) 17:09
本日も試合観戦記をお送りいたします。
今回の観戦記はH2卒の川本さんにお書き頂きました。
―――――――――――――――――――――――――――――
後半27分。それまで簡単な場所からのキックも含めことごとく外していた成蹊のプレースキッカーがグラウンド左端からのゴールを大方の予想に反して決めて観客の歓声とため息が交差する。
これで9点差。「ひょっとしたら本当に勝てるかも」との中年OBの希望にも似た思いが遠のいた瞬間だった。
逆に言うとそれまでは「勝負」になっていた。
成蹊は東大が惨敗した武蔵、成城にそれぞれ59-0、81-0と圧勝している。でも今日の東大は武蔵戦(見に行けなかったが、見たOBの間では「大丈夫か?」とメール上で心配げな声が飛び交っていた)と成城戦(これは見に行きました)で見られた(聞いた)ディフェンスの綻びを見せなかった。幾次にも渡る成蹊のアタックで一線防御が一瞬綻んでもFBの江村くんをはじめとした二線防御が何とか食らいついた。
ディフェンス以外でもエリアマネジメントは堅調でがっぷり4つとはいかずとも4割くらいは敵陣でプレーできていたのではないか。そしてこれまでも武器の一つだったスクラムは今日も安心して見ていられた。たまに突っかけで姿勢が浮いても何とか抑え込んでいて、その安定ぶりはダイレクトフッキングやSHが出来るブラインドWTBの木下くんがNo.8に入る奇策が不要と思えるほど。
実際それまでは「よし!」「ナイス!」という歓声の多くは東大の観客から上がり、「わぁ~バカ~!」「ダメだ~」という声は基礎的なミスを連発していた成蹊側の観客から上がることが多かった。
そして試合自体は東大が開始早々PGで先制し、その後も敵陣に攻め込むなど一進一退の状況が続く。前半は結局東大がワントライ、成蹊は2トライを決めて8-10で折り返す。その後も双方に何回かチャンスは訪れたものの共に決め手に欠き冒頭の後半27分まではスコアは全く動かずジリジリとした時間が続くことになる。
でも勝てなかった。。。
ラインアウトのノットストレートが頻発したとか、カウンターでミスが多かったとか戦術面でも幾らでも原因らしきものはあげつらうことは出来るだろう。
でもそういうことは監督やコーチを含めた首脳陣の指導で修正してもらえればいいので敢えて一中年OBの視点で言わせてもらえば、グラウンドの15人全員が相手を、対面を1対1で上回る決意を持っていたかどうかを問いたい。
80分のラグビーのゲームは所詮1対1の勝負の積み重ね=局面(フェーズ)の総和である。
一人ひとりが常に相手よりも早く、強く、そして前へ出られれば当然ながら試合には勝てる。タックルの踏込み、ブレイクダウンの押し込み、コンタクトでの一歩、球際のスピード、スクラムやモールでのプッシュ。これらを相手より確実に強く、早くこなせただろうか?その結果相手より一歩でも前に進めただろうか?
残念ながら1対1での勝負で勝っていたとは言い難い。タックルしても一歩押し込まれ、ブレイクダウンでも10㎝ずつ後退した。当初は1対1でのマイナスを集散で補っていたものの接点で負ければ当然スタミナも奪われ、フォローする人数も徐々に減り、後半最後の綻びにつながっていったような印象だった。
中年OBはラグビーにおけるチーム対チームの戦いが戦略と組織の統制で決するとすれば、個人と個人の勝負は意地で決まると勝手に思っている(少なくとも対抗戦Bでは素質の差はほとんどないはずだ)。
意地があるなら今シーズンの残り少ない時間で自分が何をもって勝負するのか、勝つにはどうするのかをとことん突き詰めて欲しい。練習や練習試合を「こなす」のでなく課題意識や目標を持ってやって欲しい。川島くんのようにコンタクトの瞬間に相手のタックラーの推進力をいなして逆に前へ進むにはどうすればいいか?松木くんのように球際でスピードを落とさずに突進するにはどうすればいいか?ブレイクダウンで・・、タックルで・・一人ひとりが自分の課題を明確に持ってほしい。
試合の雌雄を決する前に1対1の勝負で勝つ。中年OBは残りの試合でそんな皆の「意地」を見たいと思っています。
川本一郎 H2卒
―――――――――――――――――――――――――――――
川本さんは今シーズンの対抗戦のほぼすべての試合に足を運ばれており、また、フロントパートを主催されているなど、「現役に近いOB」だと私は存じています(もちろん、現役2年の川本君のおじさんにあたる方であることは言うまでもなく)。
本当にお忙しい中書いて頂きありがとうございました。
(無理を言って試合後に書いて頂きました、すみません。。。)
最近、思うんです。
応援してくれる人の数だけ、人間は強くなれるんじゃないかって。
当たり前のことかもしれないけど。
別に、「OBに感謝しろ」とかいう辛気臭いことが言いたいわけではありません。
ただ単純に、相手の気持ちに対して120%で応えることが大事だと思うんです。
自分のために。
公園でバットを振っているのを見て、ある人が彼のために力になってあげようとピッチャーになって球を投げる。
そう声を掛けるのには勇気がいるけれど、彼のために。
そこで彼がバットをどう振るかで、その彼の未来は変わります。
もし、彼が全然やる気がなかったら。
ある人はいつか球を投げることをやめるでしょう。
自分が手伝っても彼の力にはなれないと見放すでしょう。
でも、彼が本気で向かってきたら、本気で気持ちに応えてきたら。
ある人はより彼が成長する術を考えます。それが、彼をバッティングセンターに連れて行くのか、より重いバットをプレゼントするのか、言葉で彼を救うのか、それはある人次第だけど。
相手の期待を超える、そのことで相手が期待するハードルが高くなる、そしてまたそのハードルを越えていく。
別に相手のためじゃない。あくまで自分のために。
今までの自分の100%が、いつの間にか90%になっていて、気づいたら80%になっている。
そうやって自分を押し上げていく。
期待してくれる人の数だけ、人は成長できる。
最近、チームの雰囲気が良くなってきている。
「もしかしたら」という期待を私は抱いている。
川本さんが「『意地』を見たい」という期待を抱いているのと同様に。
幸い、この部活はそういう期待に満ちている。
さあ、掴みかけている手応えを確信に。
今回の観戦記はH2卒の川本さんにお書き頂きました。
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後半27分。それまで簡単な場所からのキックも含めことごとく外していた成蹊のプレースキッカーがグラウンド左端からのゴールを大方の予想に反して決めて観客の歓声とため息が交差する。
これで9点差。「ひょっとしたら本当に勝てるかも」との中年OBの希望にも似た思いが遠のいた瞬間だった。
逆に言うとそれまでは「勝負」になっていた。
成蹊は東大が惨敗した武蔵、成城にそれぞれ59-0、81-0と圧勝している。でも今日の東大は武蔵戦(見に行けなかったが、見たOBの間では「大丈夫か?」とメール上で心配げな声が飛び交っていた)と成城戦(これは見に行きました)で見られた(聞いた)ディフェンスの綻びを見せなかった。幾次にも渡る成蹊のアタックで一線防御が一瞬綻んでもFBの江村くんをはじめとした二線防御が何とか食らいついた。
ディフェンス以外でもエリアマネジメントは堅調でがっぷり4つとはいかずとも4割くらいは敵陣でプレーできていたのではないか。そしてこれまでも武器の一つだったスクラムは今日も安心して見ていられた。たまに突っかけで姿勢が浮いても何とか抑え込んでいて、その安定ぶりはダイレクトフッキングやSHが出来るブラインドWTBの木下くんがNo.8に入る奇策が不要と思えるほど。
実際それまでは「よし!」「ナイス!」という歓声の多くは東大の観客から上がり、「わぁ~バカ~!」「ダメだ~」という声は基礎的なミスを連発していた成蹊側の観客から上がることが多かった。
そして試合自体は東大が開始早々PGで先制し、その後も敵陣に攻め込むなど一進一退の状況が続く。前半は結局東大がワントライ、成蹊は2トライを決めて8-10で折り返す。その後も双方に何回かチャンスは訪れたものの共に決め手に欠き冒頭の後半27分まではスコアは全く動かずジリジリとした時間が続くことになる。
でも勝てなかった。。。
ラインアウトのノットストレートが頻発したとか、カウンターでミスが多かったとか戦術面でも幾らでも原因らしきものはあげつらうことは出来るだろう。
でもそういうことは監督やコーチを含めた首脳陣の指導で修正してもらえればいいので敢えて一中年OBの視点で言わせてもらえば、グラウンドの15人全員が相手を、対面を1対1で上回る決意を持っていたかどうかを問いたい。
80分のラグビーのゲームは所詮1対1の勝負の積み重ね=局面(フェーズ)の総和である。
一人ひとりが常に相手よりも早く、強く、そして前へ出られれば当然ながら試合には勝てる。タックルの踏込み、ブレイクダウンの押し込み、コンタクトでの一歩、球際のスピード、スクラムやモールでのプッシュ。これらを相手より確実に強く、早くこなせただろうか?その結果相手より一歩でも前に進めただろうか?
残念ながら1対1での勝負で勝っていたとは言い難い。タックルしても一歩押し込まれ、ブレイクダウンでも10㎝ずつ後退した。当初は1対1でのマイナスを集散で補っていたものの接点で負ければ当然スタミナも奪われ、フォローする人数も徐々に減り、後半最後の綻びにつながっていったような印象だった。
中年OBはラグビーにおけるチーム対チームの戦いが戦略と組織の統制で決するとすれば、個人と個人の勝負は意地で決まると勝手に思っている(少なくとも対抗戦Bでは素質の差はほとんどないはずだ)。
意地があるなら今シーズンの残り少ない時間で自分が何をもって勝負するのか、勝つにはどうするのかをとことん突き詰めて欲しい。練習や練習試合を「こなす」のでなく課題意識や目標を持ってやって欲しい。川島くんのようにコンタクトの瞬間に相手のタックラーの推進力をいなして逆に前へ進むにはどうすればいいか?松木くんのように球際でスピードを落とさずに突進するにはどうすればいいか?ブレイクダウンで・・、タックルで・・一人ひとりが自分の課題を明確に持ってほしい。
試合の雌雄を決する前に1対1の勝負で勝つ。中年OBは残りの試合でそんな皆の「意地」を見たいと思っています。
川本一郎 H2卒
―――――――――――――――――――――――――――――
川本さんは今シーズンの対抗戦のほぼすべての試合に足を運ばれており、また、フロントパートを主催されているなど、「現役に近いOB」だと私は存じています(もちろん、現役2年の川本君のおじさんにあたる方であることは言うまでもなく)。
本当にお忙しい中書いて頂きありがとうございました。
(無理を言って試合後に書いて頂きました、すみません。。。)
最近、思うんです。
応援してくれる人の数だけ、人間は強くなれるんじゃないかって。
当たり前のことかもしれないけど。
別に、「OBに感謝しろ」とかいう辛気臭いことが言いたいわけではありません。
ただ単純に、相手の気持ちに対して120%で応えることが大事だと思うんです。
自分のために。
公園でバットを振っているのを見て、ある人が彼のために力になってあげようとピッチャーになって球を投げる。
そう声を掛けるのには勇気がいるけれど、彼のために。
そこで彼がバットをどう振るかで、その彼の未来は変わります。
もし、彼が全然やる気がなかったら。
ある人はいつか球を投げることをやめるでしょう。
自分が手伝っても彼の力にはなれないと見放すでしょう。
でも、彼が本気で向かってきたら、本気で気持ちに応えてきたら。
ある人はより彼が成長する術を考えます。それが、彼をバッティングセンターに連れて行くのか、より重いバットをプレゼントするのか、言葉で彼を救うのか、それはある人次第だけど。
相手の期待を超える、そのことで相手が期待するハードルが高くなる、そしてまたそのハードルを越えていく。
別に相手のためじゃない。あくまで自分のために。
今までの自分の100%が、いつの間にか90%になっていて、気づいたら80%になっている。
そうやって自分を押し上げていく。
期待してくれる人の数だけ、人は成長できる。
最近、チームの雰囲気が良くなってきている。
「もしかしたら」という期待を私は抱いている。
川本さんが「『意地』を見たい」という期待を抱いているのと同様に。
幸い、この部活はそういう期待に満ちている。
さあ、掴みかけている手応えを確信に。
2012年11月
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