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ラグビー部リレー日記
続けること
投稿日時:2021/01/11(月) 19:00
同期の川端から受け取りました前原です。
彼と私は同期の中で怪我の多いコンビでしたが、彼は最終学年になって試合に出ることができており、ともにリハビリを続けていた仲間としてとても嬉しかったです。また、彼の特徴ある言動は何度も引用させて頂き、本当にお世話になりました。
1/10、東大ラグビー部を引退しました。99年の伝統を持つ京大戦の中止というあっけない幕切れで私たちの4年間に終止符が打たれ、入学時には果てしなく長く感じた4年という歳月も終わってみればあっという間でした。私たちが入学したときの4年生の方々は本当に大きくて、強かった記憶があります。新歓の時先輩方の姿を見て、自分は大学では絶対に通用しないと感じるほどでした。4年生になったら松永さんのようになっているのかなと思っていましたが、その背中すら見えませんでした。自分が引退する時期になって先輩方の凄さを改めて痛感しています。
自分の大学ラグビー生活は怪我に悩まされ続けた4年間で、ラグビーでの良い思い出は殆どありません。怪我なくプレー出来ていたのは1年生の対抗戦の時期まででしょうか。3年生で足首を粉砕してからはプレーした記憶すら殆どありません。ラグビーで思い出すことと言えば同期や後輩が試合に出て活躍するのを外から応援し、たとえ試合に勝っても心の底からは喜んでいない自分の姿です。仲間達のラグビースキルが飛躍的に向上するのをサブグラウンドでリハビリをしながら眺めるだけの自分の姿です。スクラム練習のときにただスクラムマシンの上に乗って練習が終わるのを待つだけの自分の姿です。
何度も心が折れそうになったり、ラグビーを辞めようと思ったこともありましたが、なんとか4年間続けてこれたのは、他でもない同期メンバーの存在と、怪我で殆どプレー出来ていないにもかかわらず常に気にかけて下さった深津さん、こんな自分に期待して声をかけ続けて頂いたコーチやOBの方々、そして家族のおかげです。
本当に感謝してもしきれないくらいです。ありがとうございました。加えて、川端が自分の紹介の時に書いてくれたような、数少ない出場試合で活躍できた経験、3年生の最後に一橋戦でなんとか復帰できたときの感動、グラウンドでしか見えない景色の素晴らしさ。そんな一瞬一瞬の美しい記憶が私の気持ちを途切れさせること無くつなぎ止めてくれました。そして何よりもラグビーが好きだから高校大学の7年間も続けてこれたと思います。ラグビーというスポーツに出会えて本当に良かったです。
そんな私ですが、これを読んでくれた後輩達に伝えたいことは「辞めないでほしい」ということです。実際私も部活を辞めようとしたことは何度もあります。
1年生、20泊21日の夏合宿。本当にきつかった記憶しかありません。週6の朝練と授業、バイトに忙殺され他に何も出来ない毎日。
2年生、初めて手術を経験し長期離脱することになったとき。それで心を病んで不眠症になったとき。
3年生、その復帰戦で足首を粉々にして1ヶ月ちかく自分一人で何も出来ない日々が続いたとき。リハビリを続け、なんとか復帰するが毎練習後まともに歩いて帰れなかったとき。
4年生になり練習に参加するが足首がまともに動かず再手術が決定したとき。最後の対抗戦に間に合わせようと練習復帰するも神経障害になり足が痺れて禄に走れなくなってしまったとき。
何度も辞めたくなるときはありましたが、先ほど書いた方々の支えと、もし復帰したら絶対に活躍できるという自分の中の自信があって続けてこれました。辞めたくなったときも周りを冷静に見てみれば、何も出来ず無力だと思っていた自分に期待してくれている人の存在や、ここで失ってしまうにはあまりにも勿体ないくらいに素晴らしい同期の存在が見えてきます。そして今まで自分が積み重ねてきたものが必ず自分の自信に繋がり、部活を続けるモチベーションとなるはずです。
さらに、続けることでしか得られないものも有ると思います。悔しい思いをし続けるのは本当につらく大変なことです。しかしその状況から逃げていては、これからの人生で壁にぶつかる度にすぐに逃げてしまうような人間になってしまうのではないかという思いが自分の中にあり、辞めたくなったときもここでやめたら成長は無いと自分に言い聞かせてきました。終わってみればこのマインドはかなり正しかったと思います。
前回のリレー日記を担当した川端は、はじめの2年は私よりも怪我がちでしたが常に諦めず練習を続け4年生になって試合で活躍し、有終の美を飾りました。未経験で入部しすぐに鎖骨を骨折した松井は経験者だらけのBKの中で素晴らしい活躍をしました。彼らはもし私だったら辞めたくなってもおかしくない状況で、彼らなりに努力を続け結果を掴みました。自分も、プレーヤーとしての復帰が絶望的になってからはこれまで学んできたラグビーのスキルや戦術的知識を後輩に伝え、彼らが成長することに喜びを感じることが出来るようになりました。腐らずにスキル練習や知識のアップデートを継続したことでラグビー部との新しい関わりかたを見つけ、チームに貢献できたと思っています。そんな成長が出来たのも辞めずに続けてきたからです。
まだまだ足りないところもあるかもしれないけれど、東大ラグビー部は「いいチーム」だと思います。間違いなくこれまでの22年間で一番好きになった、入ってよかったと思える組織でした。そんな「いいチーム」に出会い、そして入れることは本当に貴重な経験です。このチームで自分なりに精一杯の努力できる道を見つけて、自分らしく成長していけると、大学生活はかけがえのないものになると思います。
本当にキツくて逃げ出したくなったときは、逃げても良いと思います。しかし、そこで「辞める」のではなく一旦「お休みする」という形をとってでも、最後まで続けてほしいのです。私たちの同期も何人か途中で辞めてしまいましたが、残される側は本当に辛いものです。未だに辞めていった彼等を含めた全員で最後までラグビーをしたかったという思いは消えません。本当に辛くて逃げ出したくなったときや部活から離れたくなったときにも、まず「続けること」を選択してそのあとに「どう向き合っていくか」「どうかかわっていくか」を自分なりに考えてほしいです。きっと最善の選択肢が見えてくると思います。これが、大学ラグビー生活が楽しいものばかりとは言えなかった私だから伝えられる率直な思いです。
かなりネガティブな内容になってしまった気がしますが、伝えたいことは非常にポジティブなことなのでそれを読み取って頂けると幸いです。4年間本当にありがとうございました。ありふれた表現ですが、引退のときに思い出すのは仲間達とふざけあって笑い合った思い出ばかりです。これまでで最高の日々でした。
次は明るい倉上に回します。
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