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ラグビー部リレー日記
女詐欺師=名将
投稿日時:2017/04/04(火) 19:39
***
進学選択を終えた新三年生は1月末に進学先の学部のテストを初めて受けた。これは、そのテストにまつわる話である。
その女はよく勉強した。周りの者から見ると異常なまでに。多くの部員が冬オフを謳歌するなか、まだテストまで何週間もあるというのに、「やばーい、やばーい」と漏らしながら一日中図書館にこもってひたすら勉強していた。
テストが近づき、私も図書館で勉強するようになった。昼食時にその女に話を聞くと、睡眠時間を削って勉強しているのに何一つさっぱり分からないとのこと。
嘘だろうと思い基礎的な事項を尋ねてみたが、本当に全く分かっていないようだった。
私はさすがに同情した。彼女は高い志を持ち文科三類から経済学部に進み、出席のない授業にも全て出席して板書を取り続け、長きにわたって自分を追い込んでテスト勉強をしているというのにこれはさすがに哀れだ…
そして迎えたテスト1日目。1つめの科目はミクロ経済学。例年より難化しており私は動揺したが、それなりに解けたので単位は来たと確信できる出来だった。
教室を出ると彼女に会った。
「どうだった?」と聞かれたので、
「そこそこ出来た」と答え、彼女の出来栄えを聞き返すと、
「全く出来なかった…。わからなすぎて答案をほとんど書いてないから単位が来るわけないわ…。」と青い顔。しまいには涙を浮かべる始末。
その後も多くの科目で失敗したという彼女。最低でも3科目は落としたとへこんでいたので、ふざけて「3科目落としてなかったら焼肉おごって」と言うと、「絶対落としてるからいいよ」と返した。これほど言うということは本当に出来なかったのだろうと思い、またしても同情してしまった。
1ヶ月後、成績発表。結局私はパッとしない成績だった。まあ、最初のテストだし、こんなところか。
一方、彼女。90点以上の「優上」を連発、涙を流したミクロ経済学も80点以上の「優」であり、同期の経済学部の中でぶっちぎりに優秀な成績であった。
私は呆然としてしまった。全く出来なかったなんて大ウソだったのだ。騙された。東大の女の人ってのはこわいなあと思った。それから、彼女とはしばらく距離を置くことにした。
***
最近笑顔が弾ける後輩マネージャーのあや夏ちゃんからバトンを受け取りました、3年ロックの宮原健です。
上記の事件に話を戻します。結果「優」を取ったのだから、「全く出来なかった」という彼女の発言は大ウソだったのだと、当時の私は思いました。
しかし、最近、彼女は本当に「全く出来なかった」と感じたのではないかと思うようになりました。
つまり、血のにじむ努力を重ねて万全の準備をしたにもかかわらず、本番では悔し涙を流すような「全く出来なかった」手応えに終わった。
それでも、準備がとても良かったので「優」を取ることができたのです。
このように思考を転換させた時、とある名将の言葉が思い出されました。ヤマハ発動機ジュビロの監督の清宮克幸氏の言葉です。
昨年、ヤマハはサントリーと優勝争いをしていました。直接対決に際し、清宮氏は「我々の80%の力が出せればサントリーに勝てるように準備した」と言っていました。
ラグビーは人間がするものですから、常に100%が出せるとは限りません。様々な条件により充分に力を発揮できないということは誰もが味わったことのある経験です。
しかし、80%の力が出せれば OKという準備をしていれば、少しくらいうまくいかなくても大丈夫です。例の彼女と同じですね。
例年、この部で「100%の力を出せれば勝てる」といった言葉をよく聞きますが、これは「100%の力が出せなければ負ける」ということでしょう。
女詐欺師と名将のように、少しくらいうまくいかなくてもしっかり結果を残せる準備をするというスタンスが大事だと思います。
さて、ラグビー好きな方なら気付いているかと思いますが、ヤマハはサントリーとの直接対決に敗れ、優勝を逃しました。清宮氏は、60%の力しか出せなかったと言っていました。
やはり、勝負は難しいものですね。
駄文を長々と失礼しました。次は、銀座に入り浸る文剛英に回します。
進学選択を終えた新三年生は1月末に進学先の学部のテストを初めて受けた。これは、そのテストにまつわる話である。
その女はよく勉強した。周りの者から見ると異常なまでに。多くの部員が冬オフを謳歌するなか、まだテストまで何週間もあるというのに、「やばーい、やばーい」と漏らしながら一日中図書館にこもってひたすら勉強していた。
テストが近づき、私も図書館で勉強するようになった。昼食時にその女に話を聞くと、睡眠時間を削って勉強しているのに何一つさっぱり分からないとのこと。
嘘だろうと思い基礎的な事項を尋ねてみたが、本当に全く分かっていないようだった。
私はさすがに同情した。彼女は高い志を持ち文科三類から経済学部に進み、出席のない授業にも全て出席して板書を取り続け、長きにわたって自分を追い込んでテスト勉強をしているというのにこれはさすがに哀れだ…
そして迎えたテスト1日目。1つめの科目はミクロ経済学。例年より難化しており私は動揺したが、それなりに解けたので単位は来たと確信できる出来だった。
教室を出ると彼女に会った。
「どうだった?」と聞かれたので、
「そこそこ出来た」と答え、彼女の出来栄えを聞き返すと、
「全く出来なかった…。わからなすぎて答案をほとんど書いてないから単位が来るわけないわ…。」と青い顔。しまいには涙を浮かべる始末。
その後も多くの科目で失敗したという彼女。最低でも3科目は落としたとへこんでいたので、ふざけて「3科目落としてなかったら焼肉おごって」と言うと、「絶対落としてるからいいよ」と返した。これほど言うということは本当に出来なかったのだろうと思い、またしても同情してしまった。
1ヶ月後、成績発表。結局私はパッとしない成績だった。まあ、最初のテストだし、こんなところか。
一方、彼女。90点以上の「優上」を連発、涙を流したミクロ経済学も80点以上の「優」であり、同期の経済学部の中でぶっちぎりに優秀な成績であった。
私は呆然としてしまった。全く出来なかったなんて大ウソだったのだ。騙された。東大の女の人ってのはこわいなあと思った。それから、彼女とはしばらく距離を置くことにした。
***
最近笑顔が弾ける後輩マネージャーのあや夏ちゃんからバトンを受け取りました、3年ロックの宮原健です。
上記の事件に話を戻します。結果「優」を取ったのだから、「全く出来なかった」という彼女の発言は大ウソだったのだと、当時の私は思いました。
しかし、最近、彼女は本当に「全く出来なかった」と感じたのではないかと思うようになりました。
つまり、血のにじむ努力を重ねて万全の準備をしたにもかかわらず、本番では悔し涙を流すような「全く出来なかった」手応えに終わった。
それでも、準備がとても良かったので「優」を取ることができたのです。
このように思考を転換させた時、とある名将の言葉が思い出されました。ヤマハ発動機ジュビロの監督の清宮克幸氏の言葉です。
昨年、ヤマハはサントリーと優勝争いをしていました。直接対決に際し、清宮氏は「我々の80%の力が出せればサントリーに勝てるように準備した」と言っていました。
ラグビーは人間がするものですから、常に100%が出せるとは限りません。様々な条件により充分に力を発揮できないということは誰もが味わったことのある経験です。
しかし、80%の力が出せれば OKという準備をしていれば、少しくらいうまくいかなくても大丈夫です。例の彼女と同じですね。
例年、この部で「100%の力を出せれば勝てる」といった言葉をよく聞きますが、これは「100%の力が出せなければ負ける」ということでしょう。
女詐欺師と名将のように、少しくらいうまくいかなくてもしっかり結果を残せる準備をするというスタンスが大事だと思います。
さて、ラグビー好きな方なら気付いているかと思いますが、ヤマハはサントリーとの直接対決に敗れ、優勝を逃しました。清宮氏は、60%の力しか出せなかったと言っていました。
やはり、勝負は難しいものですね。
駄文を長々と失礼しました。次は、銀座に入り浸る文剛英に回します。
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