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ラグビー部リレー日記
少年は戦士になる
投稿日時:2022/12/15(木) 12:30
ゲームメイカー原くんからバトンを受け取りました岩下です。原くんと部活前にするラグビートークは色んな情報を教えてもらえて楽しかったし、レフリーって大変なんだなーって常々思ってました。トゥイッケナムで吹く原くんの姿を見るのが楽しみです。いつだったかのアウトレットでのTシャツの借りはいつか返します。
後輩に向けて書くのも恥ずかしいし追いコンで話せばいいし、とりあえず自分の13年間のラグビー人生を振り返る。お酒飲んだらモードに入ってしまったため、締め切りのだいぶ前(現在学習院戦翌朝)に書き始めてます。長くなりそうです。
小3の春休み、母に東芝のグラウンドへ連れていかれ楕円球と出会った。作られたコミュニティに入るのが苦手だった僕はとにかく辞めたくて仕方なかった。ラグビー自体も痛いしキツいし楽しくなかったし。変に気い使いな僕は親に辞めたいって伝え切れなくて、気づけば中学生になっていた。
中学も本当に嫌で嫌で仕方なかった。当時体が大きかった僕はそこそこ試合で動けてたけど、圧倒的なラグビーセンス、運動神経の差を感じてた。選抜でも全然活躍できなくて、置物のように扱われた。なのに3年でキャプテンに選ばれた。チームを引っ張るとか得意じゃないし、ラグビーも上手くないし、何で僕がキャプテンに選ばれたのかよく分からなかった。センスある子たちが割と揃ってたのに勝てなかった。勝たせることができなかった。選抜も結局骨折して最後のセレクションを受けられず(受けても受かんなかったと思うけど)、微妙な感じで中学ラグビーが終わった。相変わらずラグビーするのは嫌だったけど、ラグビーという競技の素晴らしさに気づき始めていたから、高校で続けることにした。
高校はなんか色々と辛かった。ストレスで白髪もめちゃくちゃ増えた。何度も部活をやめようと思ったし、実際に退部届を出したことも数回あった。高3の春に肩を脱臼し、大学でもラグビーを続けたかったから手術をした。気付けば僕のポジションで他のやつが活躍していて、勉強も成績がなかなか上がらず、一人で沢山抱え込んでしまった。僕のいないチームが数年ぶりに市大会で優勝したことで、僕を繋ぎ止めていた糸が完全に切れ、最後の夏合宿前に退部した。その後悔はずっと消えなくて、僕を引き留めてくれた同期が今でも夢に出てきたりする。プレーするのは楽しいと思えなかったけど競技自体は好きだったから、大学ではラグビーをしようと決めた。
大学の4年間もやっぱり辛かった。はじめの3年間も自分やチームのことで思うことがあって勝手に一人で悩んでたけど、今年が4年間で一番堪える一年だった。
去年の京大戦後コーチに呼び出され、プロップへのポジション変更の打診(という名の宣告)をされた。まあ身長高い人がロックやるのがいいだろうと感じてたし、新シーズン頑張ろうと思った。オフシーズンは他大学のプロップと会ったときにコツとか聞いたり、疲労骨折で鈍った下半身の強化に取り組んだ。
あれはいつだったか、慶応合同練の前な気がするし2月の終わりぐらいか。松元に、「後輩が育つまではロックやってもらうけど、対抗戦はプロップの控えで行くから」みたいなことを言われた。衝撃的すぎてなんと言われたか飛んでしまった。シーズン本格化前に対抗戦リザーブが決定。結局4年間ずっと同じ立ち位置、一回も対抗戦でスタメン入ることなかったな。どんなに練習してアピールしても結果が決まっていると思うと、急にモチベーションがなくなった。真面目だからBBCも筋トレもなんとかやってたけど、部の雰囲気の気持ち悪さとか就活のストレスとか色々あって3月の終わりに数年ぶりに体調崩して、4年間で初めて部活を休んだ。高校と同じ後悔をするのが嫌って気持ちだけで続けてたけど、トレーニングしたって意味ないしなってあの時期は正直思ってた。
転機は京王線沿い某強豪大学との練習試合。色々あってその日はスタートのロックで出場した。本当にダメダメで、これで僕のロック人生終わりそうだなと思いながら帰った。しかし翌練習のミーティング、コーチから珍しく褒められた。その試合から導入されたGPSのデータが良かったらしい。いつも通りのプレーだったのに急に評価が変わり、なんで今まで評価してくれなかったんだよとは思ったけど、一筋の光が見えたような気がして嬉しかった。
そこからは安定して試合に出るようになったが、チームは勝てなかった。山梨合宿で自信をつけて東京に戻ったが、直後の明大戦は1トライもできずに大敗、早稲田戦でも敵陣入ってもトライ取り切れずに結局惨敗。FWからビッグプレーが生まれなくて、いかに今まで松元に頼りきってたかを痛感した。僕がその状況を変えることはできず、自分がチームにとってプラスにならないことに焦りや不甲斐なさを感じた。コロナで国公立大会を棄権した時には、このまま春シーズン勝てないんじゃないか、暗いシーズンを送ってしまうんじゃないかと考えて怖かった。だから防衛に勝った時は本当に嬉しかったし、そこからしっかりと勝ち続けてチームの雰囲気も悪くならなくてホッと一安心だった。
夏オフが明けてからは不安との戦いだった。チームとしても個人としても不安要素は挙げればキリがないほど出てきた。一次合宿の合同練習は割といいイメージがあったけど慶應戦でFWの力不足体力不足が露呈。二次合宿は合同練習でも結構やられるシーンが目立ち、立教との試合もスクラムとモールが崩壊して何もできなかった。残りの合宿期間で修正したかったが一週間ほどの日程を残して合宿は中断。東京に戻ってからの練習は何だか気が抜けてて、自分もパフォーマンスが上がらなかった。自分の4年間の価値が決まると思うと、本当に怖くて、上智戦前は気持ち悪くて仕方なかった。
迎えた対抗戦。一橋に負けた。ターゲットにしていた成蹊戦、明学戦も勝てなかった。あっという間に3ヶ月が過ぎていき、学習院に締まらない試合をして最後の対抗戦が終わった。4勝3敗。東大ラグビー部の新たな歴史を作ることはできなかった。僕たちがプレーに集中できるようスタッフや首脳陣のみんなは動いてて、彼彼女らに申し訳ないし、これだけお膳立てされても結果を残せなかった自分が情けない。
大学の4年間でラグビー楽しくなるかなと思ってたけど、結局最後まで(あと2試合残っているが)楽しんでラグビーやることはできなかった。試合中に考えるのは、自分のミスに対する怖さとか試合の結果に対する怖さとかネガティブなことばかりで、目の前の勝負に対するワクワクとか強い相手に挑める高揚感とかそういったことは微塵も感じられなかった。自分が一番活躍してやる!みたいなことも一度も思ったことがない。モールとかスクラムで押してFWみんなで抱き合う時とか、ジャッカルが決まって部員の声が聞こえる時とか、試合中に喜びを感じられる瞬間はあった。でもそれは自分の恐怖が少し消えるから嬉しいだけであって、心の奥底からワクワクして楽しんだ試合はこの4年間で一度もなかった。
人生のどの局面も勝利をもたらすのは、遺伝的要素よりも闘争心と戦う能力であることの方が大きい。戦う能力を備え持つものもいれば、後に手に入るものもいる。そのスポーツを愛してやまなければいずれ必要なものは整うのである。
春合宿のMTGで大西さんが言った言葉だが、この言葉がずっと頭から離れない。
生来の戦士でない僕は、なんとかして戦士にならないとダメだった。逃げ癖や頑張りきれないという自分の性格は高校ラグビーや受験を通して分かっていたし、一つ一つの勝負に熱くなれないことにもラグビー部で過ごす中で気がついた。そんな自分の弱さを4年間で変えることは出来なかった。もちろんこの4年間は真剣にラグビーと向き合ったと思う。高校までとは比べものにならないくらい体づくりにこだわり、戦術的なこともしっかりと勉強するようになった。だけど、もっと根本の部分、戦う人間としての気持ちを変えることができなかった。だから最後まで目の前の勝負に対するワクワクを感じられなかったし、この程度のラグビー選手で終わってしまったんだろう。結局ラグビーは「気持ち」のスポーツだった。
僕は弱いラガーマンだったし、そもそも弱い人間なんだと思う。幸いなことにラグビー人生はまだ2試合残っている。最後くらいは自分の弱さと向き合い、自分に勝ってラグビー人生に一区切りつけたい。
23人の同期のみんな。あんま普段言えないけど、本当に大好きです。みんなと一緒にラグビーできたこと、ラグビー部で過ごした4年間は一生の宝物です。4年間ありがとう。
僕と同じチームになった全ての方々。一緒にラグビーができて楽しかったです。体をぶつけ楕円球を追った日々は大切な思い出です。
ここまでの13年間で僕を指導してくださった全ての皆様。本当にありがとうございました。この4年間だけでも青山監督、深津さん、大西さんをはじめ、本当に多くの監督・コーチに出会いました。ラグビーで学んだこと、みなさんからかけていただいた言葉を胸にこの先の人生を歩んでいきたいと思います。
ママが支えてくれなかったらここまでラグビーだけに集中した4年間、13年間は過ごせなかったです。本当にありがとう。パパもいつも試合の結果を気にしてくれて嬉しかったです。いつか僕のプレーを見せれる日が来たら嬉しいです。
13年間の中で僕のことを支えてくださった全ての人に感謝申し上げます。結果で恩返しできなくて本当に申し訳ないです。
追記 2022/12/14
高校までの僕はとにかく自分が嫌いで幸せなんて感じられないやつだった。大学の4年間も弱い自分を変えることができず後悔ばかりが残る。だけど、そんな自分をほんの少しだけど受け入れられるようになって、出来ないことだけじゃなく自分が出来ることにも目を向けられるようになった。色んな人とと出会い過ごしたこの4年間、ほとんど結果を残せなかったけど少しはチームに貢献できたこの4年間、負けて泣いて勝って抱き合ったこの4年間、本当に幸せな時間だった。幸せを知らず自分のことが嫌いだった僕が少しだけど変われたっていうだけで、ラグビー部での4年間は僕にとっては大きな意味を持つんだと思う。東大ラグビー部に入って良かったです。
13年間を振り返ると辛いことがほとんどだったし後悔ばかりの日々だった。楽しんでラグビーするなんて一回もできなかった。だけどラグビーというスポーツに出会えて本当に良かったと心から思える。これから先の人生、少しずつラグビーに恩返しをしていきたい。
次はマネジメント方面で部を支えてくれたゆきちゃんにバトンを回します。ゆきちゃんとは会報委員やインターンで一緒に作業することが多く、彼女の優秀さを間近に感じていました。日本を変えてくださるとのことなので、楽しみに待ってます。
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