ラグビー部リレー日記

レクレーショルなゲームの特質と伝統

投稿日時:2016/11/11(金) 21:35

フロントロー随一のフィットネスを誇る同期の文からバトンを受け取りました前川です。
 
今年の東大ラグビー部はすごくラグビーを楽しんでいると思う。
それは他ならぬ棚橋主将が一番ラグビーを楽しんでいるように見えるからでもあるが、部員全員がプレーについて意見を言いやすい空気がただよっているし、コーチの方々もラグビーについて考えることを楽しみにグランドまで足を運んでくださってるらだとも思う。こんなことを考えていると、純粋にラグビーを楽しむことって素晴らしいなと改めて思い、久々に回ってきたリレー日記にこの思いを連ねたい。
 
近年のラグビーは急速に商業化が進んでいる。
ワールドカップにおいて昨年の日本代表が結果を出せたのも、もちろん選手の多大なる努力の成果でもあるが、潤沢な資金による部分もかなり大きかった。世界のラグビー界を見てみると、ティア1の国の代表は勝つための強化資金を手に入れるために目の色を変えている。あの伝統あるオールブラックスの代表ジャージにAIGのロゴが入ったのは記憶に新しい。
こんな世界のラグビーの潮流にのって、日本もさらなる商業化への道のりを進んでいる。ワールドカップ後はテレビへの露出も増え、協会は失敗したとたたかれながらも、観客数を増加させた。私立大学は潤沢な資金を背景にラグビー部を強化し、施設を充実させ、宣伝効果を期待している。帝京大学などはその象徴ともいえると思う。社会的に地位の高いプレーヤーを尊重し労働者階級を排した側面もあったアマチュアリズムを排斥した、プロ化・商業化が世界的なラグビーの普及のためには必要不可欠であったことは間違いない。
しかし、いまだにワールドカップでは選手がスポーツメーカーのロゴのついたものを自由に着用することを厳しく規制するし、ルーマニアやナミビアなどアマチュアリズムが根強く残る国の試合にも多くの観客がつめかけ、彼らの活躍には敵味方なく称賛の言葉が贈られる。
なぜだろうか。
それは間違いなくラグビーの根本が紳士のスポーツであり、純粋に、ただ純粋に楽しまれるべきものであるからだ。行きすぎたプロ化はラグビーをラグビーでなくしてしまうだろう。
ラグビー憲章のおわりにはこんな一節がある。
 
ラグビーはプロフェッショナルの時代の到来を完全に受け入れるようになったが、リクレーショナルなゲームとしての特質と伝統は残っている。伝統的なスポーツの特質の多くが弱められ、あるいは疑われる時代にあって、高い水準のスポーツマンシップ、倫理的な行動、そしてフェアプレーを維持する能力をラグビーが有することを、ラグビーは真に誇りに思う。
 
ぼくは、日本においてこのレクレーショナルなゲームとしての特質と伝統を守るのが、国立大学でもっとも古くからラグビーを楽しむ東大ラグビー部でなければいけないと思う。しかし、残念ながら東大ラグビー部はトップリーグ発足の2003年の前年の2002年に対抗戦B降格、その後1度も上がっていない。(もちろんトップリーグは完全プロ化されているわけではないが、日本ラグビーのプロ化への第一歩であったことは間違いない。)これは、日本のアマチュアリズムが商業化への流れに対抗できなかったことの象徴であり、先人たちが育んできたラグビーの魅力の一片を損ねてしまっていることの証である。
 
このままでは2019年のワールドカップ、日本のラグビーはなめられる。世界のラグビーファン達は自国のワールドカップでの活躍だけでなく、その国のラグビーのカルチャーを楽しみにして来るのだ。だからこそアジア圏、ティア2の国で初めての開催ということは大きな意味を持つのだ。僕は世界のラグビーファン達にワールドカップだけでなく、日本ラグビーのアマチュアリズムの象徴である東大ラグビー部が対抗戦Aグループの私立強豪校に物怖じせず立ち向かっているところを見てもらいたい。そして日本ラグビーの素晴らしさを目に焼き付けさせて帰ってもらいたい。
そのためには僕たちが4年生のときまでで対抗戦Aグループに昇格する必要がある。純粋にラグビーを楽しみに日曜日にラグビー場へ集まるすべてのアマチュアラガーマンを代表して、日本ラグビーのレクレーショナルなゲームの特質と伝統を守るチームとして、東大ラグビー部は対抗戦Aグループで戦わなければならない。そのためにレフェリーという立場ながらも日々努力していきたいと思う。
 
長文最後までお読みいただきありがとうございました。次は、次期首脳陣と呼び声高い松永さんにバトンを渡したいと思います。

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