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ラグビー部リレー日記
僕のラグビー人生
投稿日時:2021/12/16(木) 11:51
1年生の時に二人で浅草や上野をデートした石田からバトンを受け取りました、4年の吉田です。石田くんは昔、僕が車椅子生活をしているときに病院まで連れて行ってくれたり、大学内の移動教室を助けてくれたり、学食でトレーを運んだりしてくれました。本当に助かりました。ありがとう。大好きです。
今年度の東大硬式野球部の副将を務めた高校同期の水越くんが書いた「僕の野球人生」に感銘を受けたので、僕も「僕のラグビー人生」というタイトルで最後のリレー日記を書かせてもらおうと思います。
僕がラグビーに出会ったのは高校合格時、その高校で一番全国大会に近いと聞いていたラグビー部に興味を持ったことがきっかけで、入学前の合格者登校日にラグビー部の先輩が生き生きと新歓している姿に惹かれ、その場で「ラグビー部に入ります!」と宣言したのが始まりだった。高校生の頃は、監督に厳しくご指導いただいたり怪我をたくさんしてしまったりしながらも、純粋にラグビーが好きだという気持ちを根底に持ち続け、楽しく充実した3年間を過ごすことができた。そして高校ラグビーが終わってすぐ、もう既に大学でのラグビーに期待を抱いた。
しかし、どこでラグビーをするかということには少し悩むことがあった。歴代の先輩からみて自分の実力に大した自信を持てなかったこと、その上で大学でラグビーを続けるには膝と肩を手術しなければならず一年目は他の同期に差をつけられてしまうということがネックになり、せっかく誘っていただき先生にも熱心に勧めていただいた大学は全く受けることもせず、高校で浪人含め10人弱しか受からない東京大学を受けるというはたからみたら意味のわからない選択をした。
ここまで書いているうちに、なぜ自分が東大ラグビー部に入りたいと思ったのかについてそういえば大学一年生の最初のリレー日記で書かせてもらったと思い出したので読み返してみた( http://www.turfc.com/blog_detail/id=1329 )。これを読むと本当に心が苦しくなってしまった。今の自分は、大学一年生の自分が思い描いた3年後の姿から大きくかけ離れてしまっているからだ。もう少し良いカッコで自分のラグビー人生について書こうと思って書き始めたが、今の後輩たち、特に「対抗戦Aで勝つ」という目標を掲げる1年生の良い反面教師にしてもらいたいと思い、ここから方向転換でこうなってしまった自分の正直な思いを書かせてもらいたい。
まず一年生の時、3度手術をし高校時代の怪我の精算をしていたためプレーした記憶はあまりないが、とにかく楽しく期待に胸を膨らませ充実した日々を送っていた。自分たちが歴史を作る代だと信じて疑わず、杉浦と帰り道や家の近くの牛丼屋で自分たちの将来について話したのがとても楽しく記憶されている。
2年生になり復帰できると、その年はとても苦しいシーズンで自分が実際に試合に出てプレーをする中でやはり「対抗戦A昇格」という目標がどんなに難しいものかと嫌でも実感させられた。段々と目標から遠ざかっているような感触もあり、立教戦に大敗した帰りのバスではやっぱり無理なのかな、と悔しさよりも絶望感で涙が出そうなのをずっと堪え続けていた記憶がある。それでも、自分自身にあと2年あるし諦めるのはまだ早いと言い聞かせながら必死にラグビーに向き合い、これから戦う奴の誰よりも真剣に練習し誰よりもトレーニングしてやろうともがき続けた。
そのような中で3年生になると大きな希望が見えた。高校時代にお世話になったコーチの大西さんが東大でもコーチをしてくださることになった。まず第一に、大西さんが東大のポテンシャルを認めてくださったことがとても嬉しく、諦めそうになって苦しんでいた目標が全く諦める必要がない目標だったんだと客観的に裏付けされたように感じた。
この一年で絶対に入替戦出場を果たさなければならないと意気込んで始まった3年生のシーズンは、コロナ禍で練習ができなくなるという大ハプニングに遭った。しかし、このコロナ禍は東大にとって逆に大チャンスだと感じた。練習ができないのはどのチームも同じ中、東大は学生主体で動くことができるというアドバンテージがあると考えたからである。ここで実力を大きく伸ばせばもしかしたら今シーズン中にも対抗戦A昇格を果たせるチャンスがあるのではないかとまで考えた。コロナ禍では、目標実現のために自分ができることを120%でやろうと思い、高校時代から怪我がちだったのが一番の弱点と考え、ずっと試合に出続けられる体を作ろうと自分で工夫して集中的にトレーニングに励んだ。新歓や広報、100周年事業など自分が担当させてもらっている部の仕事も全力でやり、また主体的に動いてくださっていた当時の4年生への感謝のメッセージ動画を3年生以下で作って、練習が再開できた時に目標達成のため一直線で向かえるような準備を積み重ねた。
しかし、練習が再開できて2日目の練習で自分自身が怪我をしてしまった。コロナ禍にたくさん怪我対策をしてきたのに、と思いながらもその対策のおかげで軽症に済んで良かったと思い当初は楽観的だった。ちょっと痛かったが練習しても問題ないだろうと久しぶりのラグビーを早く楽しみたいという甘い気持ちで練習にも参加してしまっていた。しかし、後々ちゃんと検査すると思ったよりも事態は重く、対抗戦本番が近づくと焦りが増し、怪我で自分の思うようなラグビーができないことに強い苛立ちを覚え、さらにギリギリで復帰できたと思ったらその次の練習でまた違う部位を怪我し、初戦にして天王山の明治学院戦に出られなくなってしまった。
その試合直前に、自分の代わりに出るメンバーが「練習だる」と部室で大きな声で話していたのを聞いてしまい、とてもショックを受けたのと同時に、それでも自分よりもそいつの方がよっぽど目標達成に向けてチームに貢献していると思うとやるせない気持ちになった。その明治学院戦は、7-57の大敗であった。チームが負けるのを外から眺めることしかできず、負けると全身から気が抜けるのを感じた。次の試合では無理を言って出させてもらいチームも勝利を収めることができたが、全く嬉しい気持ちが湧いてこなかった。明学に、僅差で負けたならまだしも、勝利できる可能性を微塵も感じることができなかったことが衝撃的で、ああやっぱり無理なんだな、と高校生の時から抱いていた目標を完全に諦めてしまった瞬間だった。その後のシーズンのことはどのような感情で過ごしていたか記憶が曖昧だが、何にもやる気が湧かずYoutubeで動画を見ることすらできず、ひどい日にはトイレに行くのも体が動かずしんどくなってしまうこともあった(汚い話ですが)。
正直なところ一番書きたくない話だが、後輩に反面教師にしてもらいたい点はこの時からの僕の行動である。ラグビー部を一度やめ、復帰した後も正直入替戦出場の実現は難しいだろうと心の中で思ってきた。目標を追うよりも、その時のラグビーを楽しめればいいと思ってきた。応援してくださる方、サポートしてくださる方、まだ目標を追っていたチームメイトには申し訳ないと思いながらも、もう一度スイッチをつけて目標を追いまた辛い気持ちを味わうことが恐かった。卒部する直前になってこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、結果、諦めてしまったシーズンが自分にとって4年間で一番つまらないシーズンになってしまった。目標実現に向け諦めずに頑張っている杉浦をはじめ他のチームメイトへの後ろめたさを感じ、その時楽しめれば良いと思っていたラグビーも実際にはあまり楽しめなくなり、自分への情けなさがこのリレー日記を書きながら今になって溢れてきている。やはり4年生でこんなに情けない気持ちを持った人がいること自体が良くないので、ラグビー部に戻ってはいけなかったのではないかと感じている。
こんな4年生が唯一後輩たちに言うことができるメッセージとしては、たった4年間だけのことなんだから絶対に諦めないで欲しいということである。辛くても、一度スイッチを切るともう簡単には元には戻れない。掲げている目標は簡単ではないけれども、それを追っている時が後から考えると一番価値のある時間だったと感じる時が来ると思う。こんなことを偉そうに言うのは憚られますが、こんだけ後悔しながらバッドエンドで卒部していく先輩もなかなかいないと思うので、ぜひ他人事ではなく自分ごととして聞いてもらえるとありがたいです。
そういえば「僕のラグビー人生」というタイトルで書き始めたのを忘れ、話は脱線し情けない先輩から未来ある後輩へのメッセージになってしまった。最後にちょっとだけ決意を込めて今後のラグビー人生について書きたい。こんな思いで大学ラグビーを終えてしまうことになったが、卒業後もありがたいことにラグビーを続けさせていただける道を残していただいた。大学では大きな後悔を残すことになったので、次のステージでは諦めずにラグビーを本当の意味で楽しめるよう日々全力で挑んでいきたい。東大で学んだことを決して無駄にしてはいけないと感じている。
最後になってしまいましたが、これまで僕がラグビーを続けてきた中で思い返すと本当に多くの方々の顔が浮かびます。読んでくださっているかどうかわからないような場所で感謝の気持ちを述べるのは失礼に当たると感じたので、直接お会いした際に一人一人にきちんとお礼を述べさせていただきたいと思います。ですが、確実にこのリレー日記を読んでくれているだろう両親には、直接恥ずかしくて言えないこともあるのでこの場を借りて、感謝を述べさせてもらいます。
高校でラグビーを始めてからたくさん心配をかけ、医療費や食費などお金も弟より多く使ったと思います。それでも、これまでずっと応援し続けてくれて、一度もラグビーすることに反対せず、普通の人なら社会に出て働いている歳までラグビーをさせてもらってありがとう。これから少しずつ親孝行ができればと思います。
次は、二人で三浦半島一周ドライブをしたり鎌倉に2回も一緒に行ったりした垣内にバトンを回します。垣内の紹介は困るので順番を変えて欲しいって言ったのに変えてもらえなかったので困っています。紹介することがないので、2年生のヘタコンの時に垣内が僕の胸の中で大号泣していたことをここで暴露させていただきます。あの時もすごく困りました。
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