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ラグビー部リレー日記
4年生としてできること
投稿日時:2015/01/22(木) 23:48
同期の古橋よりバトンを受け取りました山本です。
「自分自身がどうしたら上手くなるのかということだけじゃなく、どうしたら周りもレベルアップするのかについて各々考えてほしい」
昨年12月に行われた新首脳(2015年の首脳陣)が主導する練習2日目、練習前に3年生(今の新4年生)のミーティングで言われたことだ。最上級生が雰囲気を作っていかないと東大は練習が成り立たなくなる。各々のことだけでなく、チーム全体の成長を考えないと勝利はあり得ない。ちょっと考えれば当たり前のことだが、僕自身はそれを聞いてちょっとした衝撃を受けてしまった。今まで自分自身がどうしたら成長できるかについては少しは考えたつもりではあるが、チームのレベルアップについて考えたことはあまりなかった。これが4年生になるということなんだなと初めて実感した気がする。
年が明けるとウエイト・パート練習の期間が始まった。例年と同じようにヒィヒィ言いながらバーベルを持ち上げているわけだが、ふとした瞬間に、もう1月何日という日を東大ラグビー部員として迎えることは無いんだ、ということに気付いた。ラグビー部員として迎える最後の日付。最上級生となれば当たり前のことなのだが、そのことが少し怖いと感じた。僕自身はこの3年間はそれ相応の長さがあったような気がするが、それでも1年後はこの部にいない、そんな当たり前のことが怖いと感じたし、そのことで自分が最上級生なんだということを改めて痛感した。そして同時に、4年生として僕がチームの成長に貢献できることは何なのか、改めて考えさせられた。
すこし話を前に戻す。1年生の秋、僕にとっては日々の練習が本当に辛かった。フィットネスでは大体の場合ほとんどの人に周回差をつけられ、プロップの仕事場であるスクラムでもボコボコにされ、全く光が見えてこなかった。特にスクラムはボコボコにされるだけでなく、何をどうやっても組み合う時に地面に墜落してしまい、もう恐怖でしかなかった。試合では未経験者で同期の古橋がBKのようなランをみせたり、松田が強烈なタックルをさく裂させたりしている中、僕は本当に何も出来ていなかった。
そんな中でも続けてこられたのは、同期や先輩が面白かったり、自分にとって今まで経験したことのない強い感動を覚える試合があったりと、理由は色々あったと思うが、その中でも当時4年生の持田さんの存在が大きかったように感じる。持田さんもラグビーは大学から始められたが、4年生の時にはこれぞ東大のタックルというようなタックルをもう数えきれないほど相手に浴びせ、不動のフランカーになっていた。当時の自分からすると、本当に憧れの的であったが、そんな自分に持田さんは良く声をかけてくださった。その中で当時抱えていた不安や愚痴を色々聞いてくださったと同時に、それは持田さん自身も下級生のときに同じように感じていたこと、3年生になってからラグビーを楽しいと思えるようになったことなどを聞かされ、励ましてもらった。高校未経験で小柄ながら対抗戦で活躍している持田さんからもらったその言葉は、僕にとって大きな力を持っていたし、信じてみようという気にさせるものだった。
今年のチームは部員全員に「考える」ことを求めている。確かに高校での経験値が少ない東大ラグビー部が他の大学に勝とうとした場合、漫然とやっていたのではその差が埋まるわけがない。ただその一方でそのことは、特に未経験で入ってきた人間にとっては一体何を考えればよいのか分からなかったりして、おそらく結構大変なことなのではないかと思う。考えるべき点が多すぎて何から手を付けて良いのかすら分からないような状況がきっとあるだろう。それは僕自身もそうであった。ただ、僕自身はそのとき、とにかくスクラムについてまず考えるようになった。いや、考えるということのほどでもなかったかもしれないが、とにかくマシンヒットを繰り返してみたりビデオをみたり先輩にアドバイスを求めたり、色々試してみた。その結果スクラムは人並み程度には組めるようになり、怪我人が出たという事情もあって、スイカの試合にも出してもらえた。スクラムで勝つことに拘った結果フィジカルがついてきて、フィールドプレーでも自信を持てるようになった気がする。そうしたちょっとした成功体験が重なっていくうちに、気が付けば持田さんに言われた通り、3年の途中から本当にラグビーが楽しいと思えるようになってきた。
自分なりに積んだ経験から得られた感覚を出来るだけ下級生に伝えること。そういったことを通して、悩んでいる下級生にステップアップするきっかけをつくること。月並みではあるが僕がチームの成長のためにできることなのかなと思う。首脳陣の考えをしっかり理解しそれを下級生と共有し、同時に悩んでいる人をバックアップできるような存在でありたい。横、すなわち同学年とのパックをしっかり取り、後ろ、すなわち下級生からの力をしっかり伝える。そういった意味でプレーの外でもプロップのような役割を果たすことが、自分が4年生としてできることなんだと思う。
僕自身は極めて運動神経が悪い。ただ、ラグビーは運動神経が悪くて他のスポーツでは表舞台に立てなかった人間でもヒーローになるチャンスのある競技なんだと思う。またあるOBに、東大ラグビー部は未経験者に勢いのある年にこそ結果が出せる、という話を聞いたことがある。この1年間で、そのことを自分で実証すべく、とにかく泥臭く努力を積んでいきたい。
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
今までのところ、なぜかずっと法学部の人間でバトンが回されているので、それにならって次は最後の法学徒、岡本捷太郎に回したいと思います。
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