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ラグビー部リレー日記
幸せな地獄
投稿日時:2022/12/19(月) 16:30
大親友の杉井からバトンを受け取りました、三方です。杉井とは高校も大学も一緒で部活もずっと一緒で、なぜか大学のクラスまで一緒でしたが、プライベートでもほぼ一緒にいた気がします。僕の青春を杉井の存在無しで語ることは出来ません。俺らの魂は一生続きます。
昨日名大戦を終え、引退まで一週間を切った。あと一週間でこの苦しみから解放されると思うと嬉しくて仕方ないが、高校から計7年間、色んなことを犠牲にして取り組んできたラグビーが終わると思うと複雑な気持ちだ。引退して時間が経ってもラグビーに捧げた7年間を忘れないよう、この場を借りて振り返らせて頂きたい。
高校に入学してラグビーを始めたのは単純な理由からだ。中学までやってきた野球を続けるのに限界を感じていたこと、そしてラグビー部が全国を目指せるほど強く、3年間を捧げるのに値していたこと。ラグビーがどれだけ辛いスポーツかも知らず、そしてなぜ全国を目指せるレベルを維持しているのかも知らず、軽い気持ちでラグビー部の門を叩いた。
すぐに自分がとんでもない選択をしたことに気づいた。ラグビーは辛く、痛く、目の前の一日を乗り切ることに必死だった。3年間はあっという間に過ぎ(当時は悠久の時間に感じていましたが)、引退して思ったのは、もうラグビーをやることは無いんだろうなということ。大した選手じゃないことは分かっていたし、ラグビーを楽しいと思ったことは一度も無かった。大学に入ったら当時から敬愛していたビートルズのコピーバンドサークルにでも入ろうと思っていた。
ただ、ラグビーを通じて出会った仲間は最高だった。ラグビーは楽しくないけど、ラグビーで身体をぶつけ合うことでしか得られない絆が好きだった。大学生になり、東大ラグビー部に初めて見学に行ったときも高校と同じような暖かい雰囲気を感じてしまった。学生主体で練習を運営していたとか、同じように大学ではラグビーを続けないとだろう思っていた高校同期の多くが大学でラグビーを続けたとか、色々理由はあれど、結局あれだけやりたくないと思っていたラグビーを続けたのは、東大ラグビー部の「人」に惹かれてしまったからだった。
そして予想通り、東大ラグビー部でも、高校の頃とはまた異なる特長を持った素晴らしい同期・先輩・後輩に恵まれた。自分の人生はつくづく人に恵まれていると思う。毎日ラグビー部の仲間に会うのが楽しみだという気持ちは今も変わらずにずっと持ち続けている。
でも、やはりラグビーというスポーツ自体を楽しいと思うことはずっと無かった。これが僕にとっては非常に問題だったと最近になって思う。自分の内的成長や楽しみのためにラグビーをするということが出来なかったのである。自分の行動原理は常にチームに貢献すること、いやそんな高尚なものじゃない。チームに迷惑を掛けないこと、自分が大好きなこの組織に居続けることを目的にラグビーをしていた。ウエイトするのもラグビーのためだけだし、体重を増やすのもそのためだけ。フッカーとして今年はセットプレーリーダーとして、スクラムやラインアウトなどのセットプレーはプライドと責任を持って研究して練習したし、全員がマスターしなくてはならないDFは時間を掛けて練習したけど、他の人に任せられるATやフィールドプレーは自分の役割ではないと決めつけてそこまで深めようとはしなかった。
またそれとは別の問題もあった。7年間を通じて気づいたのは、自分はそもそも勝負に向いていない人間だということだった。相手を蹴落としてまで勝負に勝ちたいとは思えないし、行動するよりも先に頭で考えちゃうし、目の前の一つの勝負にこだわれない。学年が上がるごとにそんな自分を痛感して嫌になることが増えていった。
最終学年になっても、この2種類の弱さは中々変えられなかった。春シーズン始めには早稲田や明治相手に一矢報いることもできず、終盤にはスタメンを外れた試合もあった。ただ、結果が出なかったら次戦のスタメン落ちを示唆された山中湖の慶應戦や、それと同等の覚悟を持って臨んだ立教戦を通して、段々と納得のいくプレーが出来るようになっていった。集中力を高めるために自分がどのような準備をすれば良いか分かってきた。大学やプロのトップ選手がどのような表情、覚悟で試合に臨んでいるか知りたくなり、また単純に自分のプレーの参考にしたいという思いから、個人的にラグビーの試合を見る回数も増えていった。次第に人だけでなく、ラグビーというスポーツ自体に魅力を感じるようになった。
対抗戦はあっという間だった。納得のいくプレーが出来た試合、相手の雰囲気に飲まれてしまった試合、魂が震えるような熱量を感じた試合、負けて絶望を味わった試合。どれもラグビーでないと経験できないような感情だった。苦しみをチーム皆で乗り越えた先に現れる、ラグビーというスポーツの真の魅力がそこにはあった。
弱い自分は変わってないし、やっぱりラグビーは楽しいと思えないし、今でも練習前は憂鬱だし時には吐き気も感じるし、もう一度大学に入学してラグビーを選ぶかは分からないけど、大学でもラグビーを続けて本当に良かった。
最後になりますが、青山監督、深津さん、大西さんを始め、僕に厳しくそして優しく指導して下さった皆様、本当にありがとうございました。そしてラグビーに最適な環境を用意し、熱量を持って応援し支えてくださったOB/OGの皆様、本当にありがとうございました。後輩のみんな、頼りない先輩でしたが仲良くしてくれてありがとう。そして同期のみんな、逸材が多く、皆自分にはない尊敬できる部分を持っていました。色々ありましたが、この学年以外に自分の居場所は考えられません。ありがとう。
大学生にもなって家に何の還元も持ってこない息子でしたが、文句を言いながらも支えてくれた家族へ一番感謝を伝えたいです。この恩は引退してからゆっくり返していきます。
ここで終われば(多分)格好良い日記ですが、対抗戦の最終戦で集中力を欠いたプレーをしてしまったことが原因で、現在自分はリザーブにいます。本当に情けないし、今はラグビーをやってよかったとか関係なく、悔しい思いで一杯です。京大は個人的にもチームとしても思い入れのある最後の試合、1分でも長くグラウンドに立ちたいです。この一週間、最高の準備をして試合に臨みます。
次は2年もの間、スタッフ長としてチームを支えてくれたあしゃにバトンを渡します。あしゃは常に笑顔で僕らに接してくれますが、僕らの見えない所では多忙な業務をこなしていたため、心の内では僕の想像し得ない苦しみや想いを抱えていたことでしょう。本当にお疲れ様です。最近は4月からの社会人生活を不安視している姿が目立ちますし、いつ爆発しないか心配です。引退したら少しは休んでね。
昨日名大戦を終え、引退まで一週間を切った。あと一週間でこの苦しみから解放されると思うと嬉しくて仕方ないが、高校から計7年間、色んなことを犠牲にして取り組んできたラグビーが終わると思うと複雑な気持ちだ。引退して時間が経ってもラグビーに捧げた7年間を忘れないよう、この場を借りて振り返らせて頂きたい。
高校に入学してラグビーを始めたのは単純な理由からだ。中学までやってきた野球を続けるのに限界を感じていたこと、そしてラグビー部が全国を目指せるほど強く、3年間を捧げるのに値していたこと。ラグビーがどれだけ辛いスポーツかも知らず、そしてなぜ全国を目指せるレベルを維持しているのかも知らず、軽い気持ちでラグビー部の門を叩いた。
すぐに自分がとんでもない選択をしたことに気づいた。ラグビーは辛く、痛く、目の前の一日を乗り切ることに必死だった。3年間はあっという間に過ぎ(当時は悠久の時間に感じていましたが)、引退して思ったのは、もうラグビーをやることは無いんだろうなということ。大した選手じゃないことは分かっていたし、ラグビーを楽しいと思ったことは一度も無かった。大学に入ったら当時から敬愛していたビートルズのコピーバンドサークルにでも入ろうと思っていた。
ただ、ラグビーを通じて出会った仲間は最高だった。ラグビーは楽しくないけど、ラグビーで身体をぶつけ合うことでしか得られない絆が好きだった。大学生になり、東大ラグビー部に初めて見学に行ったときも高校と同じような暖かい雰囲気を感じてしまった。学生主体で練習を運営していたとか、同じように大学ではラグビーを続けないとだろう思っていた高校同期の多くが大学でラグビーを続けたとか、色々理由はあれど、結局あれだけやりたくないと思っていたラグビーを続けたのは、東大ラグビー部の「人」に惹かれてしまったからだった。
そして予想通り、東大ラグビー部でも、高校の頃とはまた異なる特長を持った素晴らしい同期・先輩・後輩に恵まれた。自分の人生はつくづく人に恵まれていると思う。毎日ラグビー部の仲間に会うのが楽しみだという気持ちは今も変わらずにずっと持ち続けている。
でも、やはりラグビーというスポーツ自体を楽しいと思うことはずっと無かった。これが僕にとっては非常に問題だったと最近になって思う。自分の内的成長や楽しみのためにラグビーをするということが出来なかったのである。自分の行動原理は常にチームに貢献すること、いやそんな高尚なものじゃない。チームに迷惑を掛けないこと、自分が大好きなこの組織に居続けることを目的にラグビーをしていた。ウエイトするのもラグビーのためだけだし、体重を増やすのもそのためだけ。フッカーとして今年はセットプレーリーダーとして、スクラムやラインアウトなどのセットプレーはプライドと責任を持って研究して練習したし、全員がマスターしなくてはならないDFは時間を掛けて練習したけど、他の人に任せられるATやフィールドプレーは自分の役割ではないと決めつけてそこまで深めようとはしなかった。
またそれとは別の問題もあった。7年間を通じて気づいたのは、自分はそもそも勝負に向いていない人間だということだった。相手を蹴落としてまで勝負に勝ちたいとは思えないし、行動するよりも先に頭で考えちゃうし、目の前の一つの勝負にこだわれない。学年が上がるごとにそんな自分を痛感して嫌になることが増えていった。
最終学年になっても、この2種類の弱さは中々変えられなかった。春シーズン始めには早稲田や明治相手に一矢報いることもできず、終盤にはスタメンを外れた試合もあった。ただ、結果が出なかったら次戦のスタメン落ちを示唆された山中湖の慶應戦や、それと同等の覚悟を持って臨んだ立教戦を通して、段々と納得のいくプレーが出来るようになっていった。集中力を高めるために自分がどのような準備をすれば良いか分かってきた。大学やプロのトップ選手がどのような表情、覚悟で試合に臨んでいるか知りたくなり、また単純に自分のプレーの参考にしたいという思いから、個人的にラグビーの試合を見る回数も増えていった。次第に人だけでなく、ラグビーというスポーツ自体に魅力を感じるようになった。
対抗戦はあっという間だった。納得のいくプレーが出来た試合、相手の雰囲気に飲まれてしまった試合、魂が震えるような熱量を感じた試合、負けて絶望を味わった試合。どれもラグビーでないと経験できないような感情だった。苦しみをチーム皆で乗り越えた先に現れる、ラグビーというスポーツの真の魅力がそこにはあった。
弱い自分は変わってないし、やっぱりラグビーは楽しいと思えないし、今でも練習前は憂鬱だし時には吐き気も感じるし、もう一度大学に入学してラグビーを選ぶかは分からないけど、大学でもラグビーを続けて本当に良かった。
最後になりますが、青山監督、深津さん、大西さんを始め、僕に厳しくそして優しく指導して下さった皆様、本当にありがとうございました。そしてラグビーに最適な環境を用意し、熱量を持って応援し支えてくださったOB/OGの皆様、本当にありがとうございました。後輩のみんな、頼りない先輩でしたが仲良くしてくれてありがとう。そして同期のみんな、逸材が多く、皆自分にはない尊敬できる部分を持っていました。色々ありましたが、この学年以外に自分の居場所は考えられません。ありがとう。
大学生にもなって家に何の還元も持ってこない息子でしたが、文句を言いながらも支えてくれた家族へ一番感謝を伝えたいです。この恩は引退してからゆっくり返していきます。
ここで終われば(多分)格好良い日記ですが、対抗戦の最終戦で集中力を欠いたプレーをしてしまったことが原因で、現在自分はリザーブにいます。本当に情けないし、今はラグビーをやってよかったとか関係なく、悔しい思いで一杯です。京大は個人的にもチームとしても思い入れのある最後の試合、1分でも長くグラウンドに立ちたいです。この一週間、最高の準備をして試合に臨みます。
次は2年もの間、スタッフ長としてチームを支えてくれたあしゃにバトンを渡します。あしゃは常に笑顔で僕らに接してくれますが、僕らの見えない所では多忙な業務をこなしていたため、心の内では僕の想像し得ない苦しみや想いを抱えていたことでしょう。本当にお疲れ様です。最近は4月からの社会人生活を不安視している姿が目立ちますし、いつ爆発しないか心配です。引退したら少しは休んでね。
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