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ラグビー部リレー日記
team2014
投稿日時:2014/12/22(月) 10:00
長かった4年が終わる。
今年主将を務めた僕は,ラグビー部の顔として他の運動部の幹部から他所の部活事情を耳にする事がよくあった。何処の部活も様々な苦労がある様だが,中には成績が振るわず春シーズンで4年生が引退した部や4年生ではなく3年生が主将になった部もあった。
今となっては「何処も大変なんだな」の一言で片づけられるが, 去年の12月の時点では明日は我が身の必死の状態だった様に思う。
去年の12月,スーパースター川島さんをはじめ何人もの主力が引退されると同時に,来て頂いたコーチ陣も退任された。ここ数年東大は戦術のすべてを川島さんと安井さんに頼り切っており,その2人が抜けてゼロからラグビーを構築せざるを得なかった。
そんな状況にも関わらずチームには,お世辞にも上手とは言えない4年生と右も左も分からない下級生,そして「川島さんをもってしても目標に届かないのか」という無力感だけが残った。
いざ練習してみると,FWは危なっかしくてスクラムが組めない。BKは4人でのパス回しでさえミスを連発し,パスの練習なのかセービングの練習なのか分からなくなる程であった。
目標は「入れ替え戦出場」ではあったが,目標達成を夢見るワクワク感よりも対抗戦全敗が現実に起こり得る切迫感の方がはるかに大きかった。
方針を誤れば夏を待たずしてチームは分裂すると感じていた。
しかし,その 一方で希望もあった。
東大の部員は,他のどのチームよりも真面目でひたむきだ。受験勉強を経たからなのか,とにかく努力する事への抵抗感が無い。メニューが与えられれば真面目に一生懸命やる。タックルが大事だと言われれば,必ずタックルに入る。
一方で,「正しい」とれる考え方を無批判に受け入れてしまう危うさもあった。
だからこそ, 上に立つ自分が勝つ為の道筋を明確に示し,部員のひたむきさを正しい方向に向ける事が出来れば,このチームは必ず飛躍できると信じていた。
不安と信念が交錯しながら,去年の12月から文字通り必死だった。格好だの自尊心だのを気にしている場合ではなかった。
主将として圧倒的な知識不足を痛感し,資料やビデオを漁りがむしゃらに勉強した。文字を追うだけで得られる知識に限界を感じ, 有名なラグビー指導者にSNSでアポを取り見学の為に京都まで足を運んだ。
チーム内でも借りられる力は誰からでも借りた。4年の鉄本やボブのみならず下級生の木下や立山,津川も集めて, 部室2階でああでもないこうでもないと何度もラグビーの話をした。
それでも練習が上手くいかない時に理屈を超えた部分で主将を信じてついてきてくれる様に, グラウンドでは必死でプレーした。
そんなトライ&エラーを何度も繰り返す内に,少しずつ状況は変わり始める。
怪我ばかりだった松田や藤堂,平松の洛南勢がチームで活躍し始めた。
宇野がFWを自在に操った。華奢だった棚橋が相手を薙ぎ倒した。大川がスクラムを押しまくった。ボブは物凄いタックルを連発するばかりか,ATでも突破役になった。ガリガリだった翔太はFWサイドを積極的に突破し,空中戦でも自信を持って体をぶつけにいった。難波はグラウンドを駆け回った。上田はトライを取りまくった。皆の上達はここには書き切れない。
シーズン初めの「何やっても上手くいかないんじゃないか」という閉塞感は, 「やれば出来る」という確かな実感へと変わり始めた。
ついには十数年ぶりの金星を挙げた。
「入れ替え戦出場」は夢から目標に変わった。
長かった4年が終わる。
対抗戦は4勝3敗。結局シンデレラストーリーは描けなかった。
対抗戦全体のスコアを見ると, 一橋戦と成蹊戦に「たられば」を付けて,歓喜に沸いた今年のチームの姿を思わずにはいられない。悔しかった。チームの進歩を何としても結果で示したかった。
だが。
今年のチームは始めの頃と比較にならない程上手くなった。多くの後輩から力を借りたおかげで,今年のノウハウや経験も引き継がれていくだろう。勝利の喜びも,負けた悔しさも存分に味わった。そうやって経験を積み力をつけた後輩が,今度は必然のものとしてサクセスストーリーを描いてくれる事を信じている。
長かった4年が、明日終わる。
この日記の最後に, 同期と後輩への感謝を述べようと思ったが書いてみてやっぱり辞めた。センチメンタルな言葉はコンパや納会の時に語ればよく, 今は明日の京大戦の事だけを考えよう。
「勝って歴史を作る為」「「勝って恩に報いる為」
この1年間主将としてチームを鼓舞する為に様々な言葉を発してきたが, スポーツマンは結局の所「勝ちたいから勝ちたい」のであって厳密にはそこに理屈はないのだと思う。
遠回りをしたが,ようやく今年のラグビースタイルが確立され機能し始めている。
今年のラグビーを見せつけたい。勝って有終の美を飾りたい。このチームの到達点が見たい。
その為にも一人のラグビー選手として, 闘争本能に忠実に,勝利への渇望を前面に押し出して京大戦を戦います。
長文失礼致しました。
松木
今年主将を務めた僕は,ラグビー部の顔として他の運動部の幹部から他所の部活事情を耳にする事がよくあった。何処の部活も様々な苦労がある様だが,中には成績が振るわず春シーズンで4年生が引退した部や4年生ではなく3年生が主将になった部もあった。
今となっては「何処も大変なんだな」の一言で片づけられるが, 去年の12月の時点では明日は我が身の必死の状態だった様に思う。
去年の12月,スーパースター川島さんをはじめ何人もの主力が引退されると同時に,来て頂いたコーチ陣も退任された。ここ数年東大は戦術のすべてを川島さんと安井さんに頼り切っており,その2人が抜けてゼロからラグビーを構築せざるを得なかった。
そんな状況にも関わらずチームには,お世辞にも上手とは言えない4年生と右も左も分からない下級生,そして「川島さんをもってしても目標に届かないのか」という無力感だけが残った。
いざ練習してみると,FWは危なっかしくてスクラムが組めない。BKは4人でのパス回しでさえミスを連発し,パスの練習なのかセービングの練習なのか分からなくなる程であった。
目標は「入れ替え戦出場」ではあったが,目標達成を夢見るワクワク感よりも対抗戦全敗が現実に起こり得る切迫感の方がはるかに大きかった。
方針を誤れば夏を待たずしてチームは分裂すると感じていた。
しかし,その 一方で希望もあった。
東大の部員は,他のどのチームよりも真面目でひたむきだ。受験勉強を経たからなのか,とにかく努力する事への抵抗感が無い。メニューが与えられれば真面目に一生懸命やる。タックルが大事だと言われれば,必ずタックルに入る。
一方で,「正しい」とれる考え方を無批判に受け入れてしまう危うさもあった。
だからこそ, 上に立つ自分が勝つ為の道筋を明確に示し,部員のひたむきさを正しい方向に向ける事が出来れば,このチームは必ず飛躍できると信じていた。
不安と信念が交錯しながら,去年の12月から文字通り必死だった。格好だの自尊心だのを気にしている場合ではなかった。
主将として圧倒的な知識不足を痛感し,資料やビデオを漁りがむしゃらに勉強した。文字を追うだけで得られる知識に限界を感じ, 有名なラグビー指導者にSNSでアポを取り見学の為に京都まで足を運んだ。
チーム内でも借りられる力は誰からでも借りた。4年の鉄本やボブのみならず下級生の木下や立山,津川も集めて, 部室2階でああでもないこうでもないと何度もラグビーの話をした。
それでも練習が上手くいかない時に理屈を超えた部分で主将を信じてついてきてくれる様に, グラウンドでは必死でプレーした。
そんなトライ&エラーを何度も繰り返す内に,少しずつ状況は変わり始める。
怪我ばかりだった松田や藤堂,平松の洛南勢がチームで活躍し始めた。
宇野がFWを自在に操った。華奢だった棚橋が相手を薙ぎ倒した。大川がスクラムを押しまくった。ボブは物凄いタックルを連発するばかりか,ATでも突破役になった。ガリガリだった翔太はFWサイドを積極的に突破し,空中戦でも自信を持って体をぶつけにいった。難波はグラウンドを駆け回った。上田はトライを取りまくった。皆の上達はここには書き切れない。
シーズン初めの「何やっても上手くいかないんじゃないか」という閉塞感は, 「やれば出来る」という確かな実感へと変わり始めた。
ついには十数年ぶりの金星を挙げた。
「入れ替え戦出場」は夢から目標に変わった。
長かった4年が終わる。
対抗戦は4勝3敗。結局シンデレラストーリーは描けなかった。
対抗戦全体のスコアを見ると, 一橋戦と成蹊戦に「たられば」を付けて,歓喜に沸いた今年のチームの姿を思わずにはいられない。悔しかった。チームの進歩を何としても結果で示したかった。
だが。
今年のチームは始めの頃と比較にならない程上手くなった。多くの後輩から力を借りたおかげで,今年のノウハウや経験も引き継がれていくだろう。勝利の喜びも,負けた悔しさも存分に味わった。そうやって経験を積み力をつけた後輩が,今度は必然のものとしてサクセスストーリーを描いてくれる事を信じている。
長かった4年が、明日終わる。
この日記の最後に, 同期と後輩への感謝を述べようと思ったが書いてみてやっぱり辞めた。センチメンタルな言葉はコンパや納会の時に語ればよく, 今は明日の京大戦の事だけを考えよう。
「勝って歴史を作る為」「「勝って恩に報いる為」
この1年間主将としてチームを鼓舞する為に様々な言葉を発してきたが, スポーツマンは結局の所「勝ちたいから勝ちたい」のであって厳密にはそこに理屈はないのだと思う。
遠回りをしたが,ようやく今年のラグビースタイルが確立され機能し始めている。
今年のラグビーを見せつけたい。勝って有終の美を飾りたい。このチームの到達点が見たい。
その為にも一人のラグビー選手として, 闘争本能に忠実に,勝利への渇望を前面に押し出して京大戦を戦います。
長文失礼致しました。
松木
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