ラグビー部リレー日記 2022/3

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Tinbergen's four questions

 written by 森田 明日香 投稿日時:2022/03/31(木) 18:52

同期の小野からバトンをもらいました、2年の森田です。小野は入部から怪我が多い中でずっとひたむきに努力しているので、早く復帰して元気にプレーできることを心から願っています。私もたくさん勉強してメンターとしてお役に立てるように頑張ります。そしてご飯も行きましょう!



リレー日記はまだ2回目なのですが、締め切り2時間前の今もまだテーマが浮かばず困っています。一度くらい先輩たちのような内容の濃いものを書いてみたいものですが、今回も到底書けそうにないので普段から興味を持っていただけることの多い私の髪色について書くことにします。


私は、多くのみなさんと同じように高校卒業後にはじめて髪を染めました。このときはまだ落ち着いた茶色だったのですが、何を思ったか夏頃に金髪にし、それ以来明るい色を維持しつつ飽きてきたらグレーや紫、ピンクなどを入れて楽しんできました。ただ社会的な印象が良くないことは重々承知しているので、もうすぐ暗いまともな色に戻す予定です。このリレー日記が公開される頃にちょうど派手髪を卒業することになりそうです。

私は夏から1ヶ月おきくらいに髪色を変えていたのですが、その直後の部活に行くと毎回先輩からも同期からもたくさん話しかけてもらえてとてもうれしかったです。みなさんいつもお付き合いありがとうございました。褒めてくれる人もいれば、派手すぎて引いているんだろうなという人もいましたが…

さて、はじめの頃は、「なんで髪染めたの?」と聞かれることがよくありました。これが意外と難しい質問で、前から染めたかったから、金髪の方が似合うと言われるから、髪色が明るいと自分の気分も明るくなる気がするから、などいろいろ浮かぶのですが結局なぜなのか自分でもよく分かりません。

私が金髪に染めたことのように、ある種の衝動に基づいた行動に理由を見出すのは結構難しくてモヤモヤしていたところ、先学期に取っていた進化学という授業の中でこのモヤモヤにしっくりくる説明を見つけたのでここで紹介したいと思います。(以下は授業スライドを参考にしました)

みなさんは、「ティンバーゲンの4つのなぜ」というものをご存知でしょうか?
これは、動物行動学者のニコ・ティンバーゲンが1963年の論文で提唱した、動物の行動の研究の目的となる4つの要因、言い換えると「ある生物現象がなぜみられるのか」という問いに対しての4種類のアプローチのことです。

この4種類というのは、「生き物をめぐる4つのなぜ」(著・長谷川真理子)によると

物理的要因(至近要因)…直接の要因、メカニズム

発生的要因…個体の一生の間にどのような発達をたどったのか

歴史的要因…祖先からどのような進化の過程を辿ったのか

適応的要因(究極要因)…どのような機能があるから進化したのか

と表現されます。

例えば「シジュウカラという鳥はなぜ春になると歌うのか?」という問いに対しては、

物理的要因(至近要因):季節変化を感知しホルモンが変化するから

発生的要因:幼鳥が成鳥の歌声を聞いて学習していくから

歴史的要因:上手く歌わない祖先から上手く歌う祖先が分岐したから

適応的要因(究極要因):歌うオスの方が繁殖成功率が高かったから

と答えられます。

この理論はもともと生物の行動に対して提唱されたものですが、日常生活のさまざまな疑問にも適用できると思います。そして私たちは「なんで〇〇したのか」「なぜ〇〇なのか」という種々の問いに対して、多様なアプローチの中からおそらく無意識のうちに求められている最適な答え方を選択することができています。

ここで話を戻して、「なぜ私は金髪なのか」という質問に対して上の理論を当てはめると、多少強引ですが、

物理的要因(至近要因):美容院に行ってブリーチをしたから

発生的要因:染めるのを我慢していた中高6年間の反動で染めたくなったから

歴史的要因:髪を染めるという文化が日本に成立しているから

適応的要因(究極要因):明るい気持ちになれて評判もいいから

という感じになります。

おそらく「なんで髪染めたの?」と話しかけてくれる方々への最適な回答は、他の多くの日常的な疑問がそうであるように、発生的要因か適応的要因だと思います。今まで「え~、なんでですかね~!」とか適当に答えていてごめんなさい。


ここまでいろいろ書きましたが、ブリーチはお金も時間もかかるし頭皮にもよくないのであまりおすすめできません。私は将来はげる気がして今からとても心配です。

それはともかくとして、ある質問に対してアプローチの違う答えを4つ考えてみるというのはなかなか良い暇つぶしになると思います。今は新歓期真っ只中ということで、「なんでラグビー部に入ったのか」という質問への答えをちょっと考えてみたのですが、特に適応的要因は人それぞれ違って興味深い気がします。これを読んでいる新入生の方がいたらぜひグラウンドで答えを聞きにきてください!



次は、3年の前川さんにバトンを渡します。普段はクールですが内に秘めた闘志はとっても熱そうです!

冬休み

 written by 小野 光毅 投稿日時:2022/03/26(土) 10:06

めちゃくちゃ仕事のできる4年スタッフの榎園さんからバトンを受け取りました、新2年の小野です。部内有数の文才を誇り、美しい文章をお書きになるエノキさんの後で恐縮ですが、僕は中学生の作文レベルの文章しか書けないのでご了承ください。新歓期に、自分がラグビー部に入部するか迷っていた時、エノキさんは親身に相談に乗ってくれたことを思い出します。おかげで今の僕があります。ありがとうございます。いつになるかわからないですが、スモブラ飯行きましょう!

前回の僕のリレー日記は内容が薄すぎたので、今回はもう少し内容を考えて、遅ればせながら今シーズンの意気込みを書こうと思います。怪我人あるあるの暗くてイタイ文章になってしまったらごめんなさい。


右肩の怪我から復帰したばかりの去年の冬に、今度は左肩を怪我した。MRIを撮ると、骨が削れているということでまた手術することが決まった。自分としては、驚いたというより、やっぱりか、という感じだった。自らのプレーを振り返ると小学校から高校まで、考えてプレーするよりも本能でプレーしているようなことが多く、コンタクトプレーもいい意味でも悪い意味でも躊躇なく行ってしまう感じだった。後先考えず逆ヘッドでタックルに入ることもあったし、トンガ人に突っ込んで痛い思いしたこともあった。これまでのそういった衝動的なプレーの蓄積として、ガタが来ているのが右肩だけなはずないだろうと内心薄々気がついていた。


だだ下がるモチベーションをあげるために、12月の京大戦をひとつの目標にした。手術は即座に行うこともできたが、日程は京大戦の後にずらしてもらった。昨年の京大戦は東大の100周年記念ということで、特例的に秩父宮ラグビー場でプレーできることが決まっていた。秩父宮という素晴らしい舞台でいいプレーができれば、その後に待っている辛いリハビリ生活が乗り切れるような気がして、練習に励んだ。


京大戦当日、いざグラウンドに足を踏み入れると、いつも自分がテレビで見ている秩父宮の土の上に自分が立っていることを実感して身震いがした。それと同時に、トップリーグの選手や強豪大学の選手たちが見せるような華麗なプレーがこのグラウンドで自分にもきっとできると信じてもいた。


結果は散々だった。京大C相手に一得点もできず、個人としても全く納得のいくプレーができなかった。何本もトライを取られ、とぼとぼインゴールとハーフェーを往復している自分が情けなかった。試合中何度も自分が勝負できるサインを出してくれた仲間や、病院の先生、トレーナーさん、DLの同期と先輩、そして治療費や食費などで様々な迷惑をかけたのに自分のプレーを楽しみに観に来てくれた親に申し訳ないと思った。

そこからまたDLに戻り、手術、入院、退院までは一瞬だった。気がつくと自分はまた半年前と同じ、片腕を吊った無力な怪我人になっていた。体重も7キロほど落ちていた。自宅療養期間はあえてラグビーからは一歩おいた生活をしていた。youtubeで好きな選手の動画を見るのも、大学ラグビーを見るのもやめた。ラグビーのことを考えたとき、自分の京大戦での不甲斐ないプレーがまざまざと想起されるようになってしまっていた。自分の現状と、目標の選手や大学選手権で一年生ながら活躍する旧友たちとの埋めがたい差を直視するのが嫌だった。

そんな憂鬱な思いを心の隅に抱えたまま生活していた頃、膝も怪我していることがわかり、怪我ばかりの自分に本当に嫌気がさした。膝も手術するとしたら、自分のモチベーションがどこまで持つか自信がなかったから、大好きな東大ラグビー部に残れるかどうか本当に不安になった。幸い、トレーナーさんやお医者さんと話して手術はしないことになったが、代償として膝の痛みと向き合いながらプレーを継続しなくてはならなくなった。

ケガの方針が決まり、自分勝手に休養をいただいていた部活に久々に戻ると、いろんな人が声をかけてくれた。「手術お疲れ様」とか「早く復帰しろよ」とか、言ってくれた本人は覚えてないかもしれないが、自分としては嬉しかったし、みんなと一緒にプレーするために頑張ろうという気になれた。コーチには、自分の中で封印していた京大戦のプレーをなぜか褒めてもらえて、そのおかげもあって今となっては試合のビデオを見ることができるようになった。新歓期から東大ラグビー部にはいい人しかいないなあと思っていたが、その人たちに救われたような気がした。


ケガの方針が固まり、復帰目処もついた今やるべきことは、また京大戦のような思いをしないために、すべきことは全てやり、完璧な状態で復帰することである。その決心がついたのは最近だが、少しでも理想の選手に近づくために全力で頑張りたい。


自分の中に溜まっていたものを吐き出したようなまとまりのない文章になってしまいましたが、一種の決意表明だと思ってください。

次は同期のマネージャーもりぞーこと森田さんです。もりぞーはすぐ髪の色がかわる(しかも派手な色)ことで有名ですが、この前久々に部活に来たら今度はピンクになっていてびっくりしました。確かもりぞーとはまだご飯に行ったことがないと思うので、今度いきましょう。

この目に見えないものを

投稿日時:2022/03/25(金) 21:00

リレー日記大好き仲間である同期の三方からバトンを受け取りました、4年スタッフの榎園琴音です。ナイスリレー日記でした。三方と喋っていると、この人頭良いなとか、頼りになるなと思うことが多いです。4年生になってから、FWリーダーとしてアフターのユニット練を仕切る様子を頼もしく思いながら日々ビデオを撮っていますが、先日はモールから飛び出してきた三方に轢かれそうになってしまいました。

今回のリレー日記は、1つの文章を一ヶ月以上かけて書くわたしにしては珍しく、直前になっても書くことが決まらず本当に困ってしまいました。そこで、2020年から毎年書こうとしては下書きの段階で挫折してきたテーマを引っ張り出してきて、きちんと向き合ってみる事にしました。お付き合いいただけると嬉しいです。

先日、とある後輩と話していて仰天しました。彼が、スタッフの練習開始前の仕事はテーピングとアイシング用の氷作りのみだと思っていたからです。実際は他にも色々と仕事は存在しており、ドリンク作り、ビデオ・脚立・薬箱といった用具の準備、ジャージチェックなどを日々行っています。水道の水でプロテインを溶かすプレイヤーと並んでドリンクを作るなど、彼らの視界に入りやすいところで仕事をしている部分も多くあるので、そうかそれほどわたしたちの動きは目に入っていないのか、と純粋な驚きを感じました。

最初は「それやばいよ」などと言って彼を平謝りさせていたのですが、実はこうしたことはわたしにも思いあたる節がいくつもあり、そしてその事実に後から気づいたため、過去2年分の没リレー日記をPCから掘り起こすに至りました。以下はその引用です。

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2020年5月 2年生
先日、ともかさんが「ベンチコートは今度クリーニングに出すから~」といったようなことをおっしゃっていました。1年使い続け異臭を放ち始めた部のベンチコートもようやく綺麗になるのか、よかったよかったと思っていたのですが、数日後に「ということはスタッフの誰かがベンチコートを部室からクリーニング屋に持って行かないといけないのか」ということに気づきました。その仕事の存在がわたしには見えていませんでした。
思えば入部してからそんなことを繰り返してきました。
確かにそこに存在していたのにも関わらず、「それ」を知らずに生きてきたことを知ると、今までの自分は何を見ていたんだろうと、毎度毎度、己がすごく間抜けな存在のように思えます。

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2021年6月 3年生
先日、諸事情でラグビー部主務専用メールアドレスのアカウントにログインさせていただきました。このメールアドレスを使って、ラグビー部主務(今年度は津田さんです)はOBさんや他大学の主務と連絡をとっているのですが、次々と届くメールの量に目が飛び出し、腰を抜かしそうになりました。主務が大変で忙しいというのは昨シーズン主務の太田さんを横目で見ながら十分わかっているつもりでいたけれど、本当は実態など何もわかっていませんでした。もちろん主務の仕事はメールのやり取りのみではないですし、この業務をプレーと両立している津田さんは本当にすごいです。いつもありがとうございます。

他にも、同じ同期スタッフであっても違うセクションに所属している人の具体的な仕事内容を全て把握することはできていないし、あの人はめちゃくちゃ忙しそうに見えるけれど実際いつ何をどんな風にやっているのかしら?と思うこともあります。スタッフ組織外のことになるとそれは尚更で、今プレイヤーが苦しみながらも毎度頑張っているCCの雰囲気や実態もよくわかっていないです。

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自分の視野の狭さには、入部してから随分と悩まされました。複数のことに気を配るのはもともと苦手です。一つの作業に集中しすぎてしまう。練習中に起きた怪我などのイレギュラーなことに気づけない。手が空いた時に何をすればいいのかわからなくなってしまう。などなど。1年生の時には、毎練習自己嫌悪に陥っていました。

とは言っても、こうしたもともとのわたしの性質は、時間の経過とその中でのトライアンドエラーがある程度解決してくれる部分もあって、入部から3年経った今では、少なくとも入部直後の自分と比べると色々なことが見えているように思います。

一方で、自分のことだけで手一杯で余裕がなかった1年生の時に比べると色々なことを考えるようになり、そこでまた新たな戸惑いや反省が生まれていきました。今引用した没リレー日記がまさにその例です。

2年生のわたしは、自分以外の何かに思いを馳せることができるようになったという点で進歩を遂げています。そして、「他のスタッフの仕事が見えていなかったこと」というか、作業自体は知っていたのにそこに他者の労力を見出すことができなかったことにショックを受けています。

3年生のときには、スタッフだけではなく、学年が上がるにつれて関わりが生まれた主務について今までよく知らなかったこと、そして現在進行形でプレイヤーの状況をしっかりと理解できていないことに課題感を感じています。

毎年いろんな気づきがあり、その度に視野が広がった気がしてきました。

ラグビー部に入るまで、「視野が広がる」というのは、例えば今まで30度しかなかった視界が、60度、90度と幅を広げていくことなのだと思っていました。
けれど、そこに確かに存在するのに今まではぼやけてよく見えなかったものが、だんだんと色や形を現し始め、わたしの目がそれを捉えられるようになっていく。それもまた、「視野が広がる」ではないかと思います。

最高学年になった現在のわたしの視界はどうでしょうか。まだまだピントが合っていないようです。

私が広報セクションリーダーになってからそろそろ1年が経ちます。そして12月の卒部までも、やはり広報セクションリーダーでいるつもりです。

広報セクションは、スタッフがリーダーを務めながらその構成員の多くがプレイヤーであるという、少し珍しい構成を取っています。厳密には体づくりのS&Cセクションも同じような構造を持ち、同期スタッフの彬くんが大量の”野郎”(S&Cに所属するプレイヤーのことです)を率いているのですが、S&Cと広報には決定的な違いがあるというのがわたしの意見です。

乱暴な言い方であることをわかった上で言うと、プレイヤーにとってS&Cは「自分ごと」で、広報は「他人ごと」です。

ウエイトをする、良い食事を摂る、睡眠時間を確保する。S&Cがアプローチする要素の一つ一つがラグビーでの勝利に直接つながっています。ならば、そこを強化するための方策にプレイヤーが関与するのも、非常に自然なことというか、自分のことなのである意味当然のようにも思えます。

対して広報は、「組織力の向上」や「応援してくださる方への還元」などを目的として動いている組織です。広報で行ったことは回り回ってチームのため、ひいてはプレイヤーのためになっているのだけれど、じゃあそれを実感しながら日々の仕事を行えるかと言われると、それはまた別の話だと思います。

もちろんわたしは広報なくしてチームは成り立たないと思っていますし、そこにプレイヤーの視点が入るということにも大きな意義があると信じています。かといって、広報への参画がプレイヤーのラグビーを阻害してしまっては本末転倒というか、元も子もありません。プレイヤーはプレイヤーである前に一部員だ、という論理の存在は知っているしそれは実際本当に正しいのだけれど、その綺麗事が通用しないほどタフ(にわたしからは見えている)なのがラグビーというスポーツで、スタッフというサポートの立場が部に存在する以上、組織力の向上とラグビーの上達とでは、大きな力を割くべきはやはり後者なはずです。それがラグビー部という組織の本質ですし、広報する対象が脆弱では、せっかくの広報の意味も無くなってしまいます。

その中で、どこまでプレイヤーに負担をかけていいのかがわたしには「見えない」んだよな、というのが、近頃考えていることです。今シーズン登場した練習メニュー、BBCのつらさが「見えない」。練習の合間に詰め込むパンの苦しさが「見えない」。(厳密には苦しんでいる姿を目にしてはいるのだけれど、その苦しみの度合いを心底理解してあげることはできないという意味です。)練習の疲労度の高さが「見えない」。家に帰ったら襲ってくる睡魔が「見えない」。そんなスタッフのわたしが、セクションリーダーのわたしでも大変だと思うことが多々ある作業をプレイヤーにあれこれお願いしてしまっていいのか。それはそこまでしてやる意味があることなのか。プレイヤーは大丈夫と言ってくれるのだけれど、そもそもこの構造自体が歪んでいはしないか。考え出すとぐるぐるぐるぐる、きりがありません。

これまでの、気づきによってどんどん視野が広がっていく経験とは異なり、わからないものがわからないままになっている宙ぶらりんな状態が今のわたしです。そして、本件に関して明確な答えは見つからないのだろうとも思っています。そうした中での最近の気づきが何かあるとしたら、ラグビー部という組織、そしてその構成員について全てを正しく理解するのは「絶っっっっ対に無理」と思うようになったということです。以前は、努力と気づきを重ねればいつかは部の全貌が見えるのだと心のどこかで信じていました。1人の人間が全てを把握できるほど、この部は単純ではありません。4年生だからといって全能になれるわけではないのです。

そのことに気づいたにもかかわらず、冒頭のエピソードのように後輩をネチネチ責め立ててしまったというのもやはり、依然として狭いわたしの視野によるものなのかもしれません。ごめんね池田くん。

この目に全ては見えません。だからと言って、開き直って漫然と過ごしてもいられません。

卒部まで視野を広げ続けるにはどうすればいいのでしょうか。

答えは、東大ラグビー部の「多様性」にどのように向き合うか、というところにあるのだと思います。

ラグビー部の魅力を聞かれて多くの人は「雰囲気」と答えますが、次に多い答えが「多様性」です。ラグビー部には本当に色々な人がいます。出身もラグビー経験も性別も性格も価値観も様々です。そして、先ほどから述べてきたことからもわかるように、部の中で果たす役割もそれぞれが大きく異なっています。「スタッフ・プレイヤー」の二項対立はもちろんのこと、スタッフ一人一人の仕事も大きく異なっていますし、プレイヤーも本業のラグビーに加えて各々が各々のフィールドで部に貢献しています。

いろんな人がいて、楽しい。いろんな関わり方があって、皆が輝ける。

でもそれだけではダメなのです。

多様性をただ楽しみたいのだとしたら、例えば集まりたい時に集まり好きな場所に遊びに行くようなサークルに所属すればいいのだと思います。そうした団体のことをこの目で見てよく知っているわけではないけれど、所属人数もラグビー部よりずっと多くて、顔を出すたびに新たな出会いがあるのではないかと想像します。

対してわたしたちは、特段の理由がなければ欠席が許されない週5、6回の練習で日々同じメンバーと顔を突き合わせ、特段の理由がなければ去ることのないこのラグビー部という運動会組織を全員の手で作り上げていかなくてはいけません。

そして、多様なバックグラウンドを持ち、部に対して多様な関わり方をしつつも、チームで掲げた「入替戦出場」という目標だけは、全員が一様に目指し続けなくてはなりません。

そんなわたしたちに必要なのは、他者への徹底的な思いやりなのではないかと思います。

他者が自分とは違う存在であることを認識する。それゆえ、他者の立場や考え方が自分とは異なっていること、それぞれに得意なこと・不得意なことが存在することを受け入れる。何かの功績の上には何かの犠牲があったことを知っておく。自分の価値観を相手に押し付けない。自分だけが何かを抱え、背負っていると思わない。他者の努力や貢献が目に止まったらそれを認め、声に出してその感謝を伝える。

そして、そうした誠実な在り方を通してもなお、自分の目に見えていないものが確かにあることを自覚する。

本当に魅力的な「多様性」とは、ただ違っているということではなく、そこに属する人たちがその多様性を理解し、尊重する姿勢を見せている状態なのではないでしょうか。

人の努力であれ、痛みであれ、優しさであれ、世界にはまだまだわたしが見つけられていないもの、見えていないものが存在します。誰かをきちんと理解してあげられなかったこと、そのせいでうまく向き合えなかったこともたくさんあります。未熟です。

けれど、薄もやのようにわたしの周りに広がっている世界に目を凝らし、それらを一つ一つ見つめていくことでわたしももう少し優しくなり、人として高みに行けるような気がします。他者が考えていること、抱いているものに常に思いを馳せる。卒部までの9ヶ月間、そういった東大ラグビー部員でありたいし、そうあらなくてはならないのだと思います。

そんな決意表明のようなものをもって、例によって読む人のことを全く思いやらない長さのわたしのリレー日記を締め括らせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次は、おっとりとした雰囲気を身にまとった2年生の小野にバトンを渡します。本人にその認識があるかわかりませんが、わたしは新歓期に小野のリクルーターを務めており、ラグビー部に入部するにあたって肩の怪我とどう向きあっていくか悩む様子を少しだけ知っていたということもあり、今も怪我がちな小野のことをこっそり心配しています。復帰楽しみにしています、色々落ち着いたら去年のスモブラでもつ鍋食べに行きましょう!

[広報宣伝]
このリレー日記で書いたわたしのちょっとした葛藤と、広報セクションメンバーの多大なる貢献を経て現在完成を間近に迎えているのが、「東大ラグビー部100周年記念ドキュメンタリービデオ」です。動画編集未経験の下級生、就活で忙しい同期、卒部を迎え本来は部の仕事から解放されて然るべきであった5年生など、さまざまな立場のプレイヤー・スタッフ混合メンバーにご尽力いただき、半年がかりでやっと完成の目処がたちました。東大ラグビー部の100年の歴史や、100周年の代である杉浦組の1年を追った1時間ほどの映像作品です。
近日公開しますので、ぜひご覧ください。

※3/31(木)追記
ついに公開しました。下記URLからご覧ください。
https://youtu.be/l5PMbnyBWEk



 

あゝ春休み

投稿日時:2022/03/22(火) 22:20

S&Cセクションの長としての風格漂う彬からバトンを受け取りました、新4年の三方です。彬はよく僕の座っている姿を褒めてくれるので大好きです。僕の足が長くならない限り難しいですが、いずれ立ち姿も褒めてもらえるよう頑張ります。

時が経つのは早いもので、僕も遂に大学4年生になります。他の同期も皆言っていましたが、リレー日記を執筆するのもこれを含めてあと3回しかありません。ラグビー部に所属する中で思ったことを書き残していきたいと思います。今日はその一つ、このリレー日記についてです。

リレー日記については同期の杉井やエノキがかつて書いていたと思いますが、僕は高校同期の数人が他大学のラグビー部に所属していることもあり、東大以外の大学のリレー日記を読むことが他の人に比べて多い気がします。その中で思った東大ラグビー部の日記の特徴を何点か述べたいと思います。

①真面目
東大ラグビー部のリレー日記はめちゃくちゃ真面目です。他大学の日記を見る限り、ほんの二、三行で終わる文章も散見されますが、東大では皆構成の練られた素晴らしい文章を完成させています。良い意味で、もはや日記ではありません。
一方、皆真面目に文章を作るので、「笑える」文章が少ないのも事実です。僕が愛読している京大ラグビー部のブログでは、アイドルの握手会のレポートを書いたり、ネット上の定型文に乗せて世の中への違和感を表現したりと、何とも自由で笑える文章が多いです。というのも京大ラグビー部では「ブログがしょーもないと人権が剝奪される」そうで、面白い文章を書く文化が根付いているのでしょう。僕はこれを見習い、毎回面白い文章を書こうと意気込んで執筆に臨んでいるのですが、結局諦めてしまいます。是非東大ラグビー部の皆にも京大ラグビー部のブログを読んで欲しいです。(余談ですが、東大ラグビー部だと2018年度主将の石川さんの文章が群を抜いて面白いです。)

②自分の考え・意見をしっかりと文章にする人が多い
東大ラグビー部には、自分の悩み・考えていることをしっかりとした形で文章に落とし込める人が多い気がします。特に4年生が引退前に執筆するラストリレー日記の読み応えは半端ないです。通常の日記でもそれぞれのテーマに沿った思い思いの文章を出してくれます。僕はそれを見る度に自分の考えの至らなさを猛省したり、明日への活力にしたりしています。他大学の高校同期からも「○○君(僕ではない部員)の日記良かったね」などと言われることもあります。大学受験において、否が応でも国語の長文記述問題に取り組んできた影響が出ているのでしょうか、文章力の高い部員も多く見受けられます。

③更新頻度がマメ
個人的にここが東大ラグビー部リレー日記の一番凄い所だと思います。少なくとも週2回は更新され、1週間更新されないことは滅多にありません。リレー日記に対する意識の高さが伺えます。また最近ではSEセクションの皆様の頑張りのおかげで、HPのプロフィール欄からその人が書いた日記を簡単に検索できるようになっています。このシステム更新はリレー日記愛好家にとっては非常に助かるのではないでしょうか。少なくとも僕にとっては非常にありがたいです。

大学3年間をこのラグビー部で過ごして思ったのは、意外とこのリレー日記を読んでいる人は多いということです。部員や保護者の方々、OB・OGの方々はもちろんのこと、高校や大学の友人にも「リレー日記読んだよ~」などと声を掛けられることもあります。僕が他大学の日記を愛読しているように、他大学で東大のリレー日記を愛好している人も少なくないでしょう。練習や私生活で忙しいかもしれませんが、この文化はこれからも繋げていきたい、繋げていってほしいです。
またラグビー部の部員にも他大学のリレー日記を読むことをオススメします。定期戦や対抗戦で試合する際の一つの楽しみになります。「○○君のリレー日記読んでました!」とアフターマッチファンクションなどで伝えれば、仲良くなれるかもしれません。何事も情報は力です、常にアンテナを張っておきましょう。

冒頭で大風呂敷を広げて置きながら内容は薄いかもしれませんが、この辺で締めとさせて頂きます。因みに最近のリレー日記の状況としては、練習が厳しいこともあり、特にプレーヤーに関しては文章が短い傾向にあります。このようにチームの状況が如実に表れる所もリレー日記の面白さですね。

次はリレー日記を含めた広報全般を統括する同期のエノキにバトンを回します。エノキは文章力に優れた部員の中でも抜群の才能を誇り、会報の寄稿などでよくお世話になっています。今回の日記でもどんな文章を書いてくれるのか、非常に楽しみです。

泣く子も黙るインドア派

投稿日時:2022/03/21(月) 19:00

修蔵からバトンを受け取りました、4年スタッフの佐藤です。修蔵とは、レンタルカートに行く約束をしているのですが、なかなか予定が合わず行けてないのが残念です。サーキットでは一般道で速度超過することとは違った面白さや難しさがあるので、一緒に練習したいです。


財布を変えたからだろうか、最近、金運がない。高校生のときから使っていた財布は、ボタンが取れる、表面がボロボロになるなど、なかなかみすぼらしい見た目になってしまったので、買い替えた。それ以来、高額な出費が重なる、カードが不正利用されるなどあり、預金残高がみるみるうちに少なくなってしまった。先代の財布に入っていた金運お守りも、どこかへいってしまった。自炊の割合を増やして出費を抑えよう。いっそのこと株でも始めようか。

最近趣味らしい趣味ができた。インテリア選びとD I Y。もともとは片付けとか掃除ができない自分が、無駄な作業を減らすために部屋づくりを始めたのがきっかけだったと思う。鍵やマスクは外出時しか使わないから玄関に近いところに置く。置くための収納スペースを作る。床が見えないような家具があると掃除をするとき移動が面倒だから、床の設置面積が少ない家具を選ぶ。服は畳むのが面倒だから、全部ハンガーに吊るす。クローゼットにしまえるだけの服だけ残す。必要なものだけを残して必要なところにしまう。なるべく簡単に片付けられるようにしたいが、かっこよくなければ片付ける動機がない。機能性とデザイン性が両立できるもの選ぶ。
こだわっていいものを選ぶと、以前からあるものが安っぽく見えてしまう。このテレビ台変えたい。ネットという大海に出る。まずはアマゾンで相場を調べるが、どれも高い。金欠って言ってるでしょうが。困った。YouTubeに聞いてみる。サムネにはおしゃれなテレビ台。どうせ高いんだろうなと思いながら動画を開いてみると、「このテレビ台、自分で作ったんですよ。意外と安く作れました。」作れば安いのか。こうしてD IYをやってみることになった。まだ趣味というには経験不足、技術不足だし、肝心のテレビ台はまだできていないが、先日練習を兼ねて1作目の棚を作った。去年の誕生日プレゼントとしてもらったサボテンを飾る場所として作ったものだ。サボテンだけだと周りが寂しいし、他の観葉植物でも買ってみるか。再び大航海、「観葉植物 初心者」で調べてみる。

「初心者にもおすすめの観葉植物12選!育て方がウンタラカンタラ
(観葉植物っていいですよね的な前置き)、
それでは初心者にも育てやすいおすすめの観葉植物11種を紹介します!」

まとめサイトらしいオープニングだ。12もの選択肢を何もわからない初心者に要求するとは、想定する読者レベルが高い。しかも知らないうちに1種減っている。不安だ。時間もないし、適当に読み流そう。まずは一つ目からか。

「ガジュマル・・・ガジュマルは別名多幸の木とも呼ばれています。風水では全体の運気UPだけでなく、金運に効果があるなどで縁起の良いホニャホニャ」


僕に必要なのは、自炊とかによる節約術とか、投資のための知識とかではなく、ガジュマルだった。



次は三方にバトンを渡します。彼は座っている姿がかっこいいだけでなく、プレゼンが上手で羨ましいです。先日もFWに向けて今年の方針などを説明していましたが、資料と口頭での説明のバランスとテンポがよく、たまたま聞いていた僕も聞き入ってしまいました。
 
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Tinbergen's four questions
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冬休み
2022/03/25(金) 21:00
この目に見えないものを
2022/03/22(火) 22:20
あゝ春休み
2022/03/21(月) 19:00
泣く子も黙るインドア派
2022/03/19(土) 00:30
名前
2022/03/11(金) 07:00
自炊生活
2022/03/10(木) 06:54
サイコロ
2022/03/06(日) 23:52
くるみ
2022/03/03(木) 18:00
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