ブログ 野田 晋之助さんが書いた記事

幸運[ラグビー部リレー日記]

投稿日時:2021/03/07(日) 20:47

 純輝さんからバトンをいただきました、新三年の野田です。入部当初、純輝さんのことを話し方からチャラ男なのかと思っていましたが、別に普通の人でした。この場を借りて謝罪させていただきます。


 一年生の秋ごろに腰を怪我して、一年半ぶりにラグビーができるくらいに回復した。
はじめの半年は、立ったり座ったりしているだけで神経痛で悩まされ、日常生活もままならず、ラグビーはもうできないかなあ、と不安を抱えて毎日を過ごしていた。

 次の半年は、少しずつ痛みの出ない範囲のリハビリを続けたことで日常動作は痛みなくできるようになったものの、100mも全力疾走できないような身体で、張り切ってちょっとでも無理すると1週間くらい腰痛が続くような有様だったので、いつも無茶を止める役目のあきらや鈴音さんには大層迷惑をかけた。

 最後の半年間は、とても成長を自分でも感じられた期間だったと思う。
できることが増えて、全体練にも復帰できる!と思っていたが、大西コーチから「土台の身体がもろいから、そこを鍛えなあかん。そうしたら、戻った時にもっと強くなるし、ラグビーも楽しくなる。」と言われ、自主練のメニューまでくださったものの、はじめは不満は無い訳ではなかった。
しかし、大西コーチのメニューをこなすなかで、自分に足りないものがこんなにあったのか!と痛感した。
例えば、開脚をしながらヒット姿勢をつくって、そのまま姿勢を低くしていき、タックルダミーを押し込む練習。
ヒットは好きだし、元々自分のなかでは得意だったので、簡単にできると思っていたが、実際にやってみたら、身体のバランスを保ちながら力をぶつけることがいかに下手か、さらに怪我前のヒットは、ただ相手に寄りかかってるだけの弱い当たりだったのだと気付かされた。コンタクトの強さとは体重や筋力だけじゃなく、しなやかさも必要なのだと気付かされた。
いただいたメニューの一つ一つに沢山の発見や成長があったので、全体練前の個人練が楽しくてしょうがなかった。気がついたら、毎朝どれだけ早く部室に行けるか自分との勝負になり、気がつくと5時半には部室に着くのが当たり前になっていっていた。

 そんな一年半を経て、最近よく思うことがある。それは、自分が幸運だということである。
怪我なら、治せばまたラグビーができる。しかし、本人にはどうしようもならない事情のせいだったり、気持ちや情熱が続かなくてラグビーを離れていった人たちをたくさん見てきた。
だから、こうしてラグビーにまた戻ってこれた自分は、たまたま幸運だっただけだし、同時にそうした人たちに対して責任を背負っていると思う。
「ラグビー部にいるだけ」みたいな姿は、彼らに絶対見せてはいけないと思うし、去っていった人たちや託していった人たちのためにも、結果を残すことこそが使命だと感じる。
この一年半、悔しい思いも沢山してきたし、かなりの準備も積んできた。
「努力賞」も「負けて得られる成長」も、もういらない。
強い相手に死力を尽くして闘って、勝った先にある景色を見たい。心からそう思う。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次はロックパートのニューフェイス、岩下君にバトンを渡します。
チームでは、「岩下が2人いて紛らわしい」という意見もありますが、僕は同期の方の岩下は「イワシ」と呼ぶので、あんまり不便には感じないです。
岩下君はラグビー未経験ですが、かなり良い体格をしているので、個人的には今シーズンの躍進を期待しまくってます。

ぶち抜く[ラグビー部リレー日記]

投稿日時:2020/11/12(木) 15:44

 チーム最大派閥の桐光学園出身の今塩さんからバトンをいただきました、2年の野田です。
今塩さんのミスにビビらないアタックの思い切りの良さを見習いたいと常々思っています。

 腰の調子がある程度回復し、最近ようやくコンタクトプレーが本格的にできるようになった。
 ヒットが好きな自分にとっては、やっとラグビーらしいことができるようになり、かなりテンションが上がっている。
そうして自分の好きなプレーができるとなった時に、怪我していたときの積み重ねというのを感じた。

 焦りながらもやった地味な体幹トレやバランストレーニングのおかげで、当たる瞬間に姿勢が前より安定している。
 
 コロナ禍のなかで、ランニングの代わりにやりこんだバトルロープのおかげで、肩のパンチ力がついた。

 夏頃に大西コーチのご指導のもと、土台となる足腰の筋力を鍛えたり、強くて低い姿勢を練習したから、ヒットの時のインパクトが強くなった。
 

 怪我していた一年間もちゃんと前に進めている、そこに気づけてホッとした。だが秩父宮でプレーしているような選手をぶち抜くには、まだフィジカルも技術も足りてはいない。もう一度気を引き締め直して着実に一歩一歩進んでいきたい。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次は、去年の菅平合宿を一緒に帰って、その時に本人同士の知らないところで意外なつながりが発覚した健にバトンを渡します。
去年はお互いDL期間が長かったなか(僕は今もですが)、めげずにラグビー理解度、フィジカル、スキルをコツコツ真面目に鍛え抜いてきた彼ですが、自主練でコンタクト練に誘うと毎回フラれています。

 

Whatever it takes[ラグビー部リレー日記]

投稿日時:2020/10/16(金) 15:18

 メディカルとして仕事をテキパキとこなすかわはるからバトンをいただきました、2年の野田です。
今年に入って、かわはるはしっかりしてしまって、「え」とあわてふためく姿をあまり見かけなくなったのは、少し悲しい気もします。



 先日、青山先生にある質問をした。それは監督としてではなく、東大ラグビー部史上数少ない強豪・慶應に勝ったチームのキャプテン、そして同じポジションの選手として、どうしても聞きたいことがあったのだ。


 「どうやって、強いチームに勝てるようなモチベーションを維持していましたか?」


 大先輩の答えは、「充実感を目的にしない」ことだった。

 子供の時から「頑張る」とか「本当の敵は自分自身」みたいな言葉が好きではなかった自分にとっては、その言葉がかなりしっくりきた気がした。

 もちろん、ラグビーをするのは好きだけども、毎日練習したり筋トレしたりするのは、それ自体が楽しいからとか、終わった後の達成感が欲しいからじゃない。

 ただ純粋に、強い相手に勝って、秩父宮でラグビーをしたい。そのために毎日ラグビーに向き合う。
そのことに気付けたし、気持ちを引き締めるためにも、それを忘れないようにしようと思った。

そういうふうに心構えが変わって、見えてくるものも大分変わってきた気がする。
強くなる、上手くなる。そのためにできることは、グラウンドの中でも外でも、全てのことに考えて「こだわる」ことなのかな、と思った。

ただ目一杯「頑張る」で日々を過ごすんじゃなくて、自分の目標に対して、どういう形で達成するか考える。
その考えたことを意識して、ひとつひとつのプレーにこだわって取り組む。
グラウンドから出ても、良いパフォーマンスをするために上手い人の動きを見たり、自分の動きを確認する。
スピード、スタミナが足りないなら、人よりも試合をたくさん見て勉強して、ポジショニングの早さにこだわる。
怪我せず強い身体を作るために、使う筋肉を意識してトレーニングする。
リカバリーと身体づくりのために、食べるものの栄養にこだわる…。

こんなふうに、やろうと思えば24時間いつでもラグビーを上手くなる機会はある。
毎日、グラウンドにいる時間よりそれ以外の時間の方が長いからこそ、ちょっとした意識やこだわり、考え方を変えれば、選手としてもっと上に行ける気がする。

唯一、自分が強い選手たちに勝てる可能性があるとしたら、それは「勝つために考え続けること」、これしかない。

早く復帰して、長い怪我期間に考え続け温めていたプレーをぶつけたいです。

 次は、ロックパートに欠かせないムードメーカー永山さんにバトンを渡します。天性の恵まれた体格を持つ永山さんは、同じく大学からラグビーを始めた元日本代表・大野均選手を彷彿とさせます。

WHITE and NAVY[ラグビー部リレー日記]

投稿日時:2020/05/25(月) 18:40

 バックスとは思えないコンタクトの強さをもちながらも、物腰が柔らかく、笑顔のさわやかな吉村さんからバトンをいただきました、2年の野田です。
吉村さんの母校、灘といえば、僕が浪人生の頃に憧れていた石川さんの代のチームで、灘出身の選手が何人も活躍していたり、筑波大で対抗戦に出場していた中田都来さんが灘出身だったりと、ラグビーが上手い人が多い印象があります。


ふと、自粛期間に考えていたことがある。それは、自分はどこの人間か、ということである。
もちろん学生証を見れば、東京大学に在籍する学生ということになっている。だけども、大学に入ってもう一年以上になるのに、全く自分が東大生だという自覚が芽生えない。
というのも、去年一年間を振り返っても、部活の時間以外では、駒場キャンパスよりも、学習院高・大のある目白にいる時間の方が明らかに長かったり、東大の授業が全く意味不明で、週に1,2コマくらいしか授業をまともに受けないからではない。
はたまた、友達が学習院の方が多いからとかでもない。

問題は、自分の根ざすコミュニティはどこだ?ということだ。
とりあえずの答えは、「俺は学習院の人間で、それは多分これからも変わらない」、多分これだと思う。
理由は単に、自分は学習院が好きだから。
それに尽きる。
東大よりも、育ってきた環境や感性や価値観が自分と近い人が多いし、ラグビーのユニフォームだって今でも個人的には、白と紺の段縞こそ一番かっこいいと思う。

そんな僕に、よく投げつけられる質問がある。
「じゃあ、なんで東大来たの?」
これへの答えはさっきと違って、すごくクリアだ。

「格上相手に勝ちに行く楽しさを教えてくださった、東大ラグビー部OBの石見さんのように、スイカジャージを着て秩父宮でラグビーをしたいし、石川さんの代のチームと、浦山さんのプレーに憧れたから。」

その想いは今でも変わらない。
だけど、思いだけで強くなったり、勝てたりするほど、ラグビーは甘くない。
だからこの期間、自分がどんなラグビー選手になりたいのか、どうしたらもっと強くなれるか、考えるのが苦手なりに考えたが、自分一人ではすぐ行き詰まってしまった。
そんなときに、いろんな人からさまざまな手がかりをもらえたことで、おぼろげながらも、自分なりの答えを見つけることができたと思う。
そうして、自分なりにプレーヤーとして目指す姿が見えてからは、そこから逆算して、やらなきゃいけないことや出来なきゃいけないことも沢山見えてきて、自粛期間といえどすごい忙しいな、といい焦りが生まれてきている。
まだ自分は怪我人なので、自粛が明けてもプレー復帰はまだ先だが、今もうすでに、この期間で鍛えたこと、考えてたことを試したくてウズウズしている。
自粛期間があったからこそ、もっと強くなれた。後から振り返ってそう言えるように、毎日、前に進めるようがんばります。

そして、これを読んでくれている東大の新入生や高校生へ(おそらく少ない)。
雰囲気とか楽しいとか大学生活の充実とかは、はっきりいってどこのサークルや部活も掲げてますし、実際どこにいったって、それなりに楽しいと思います。それにラグビーは、やらなきゃ死ぬとかそういうものでもないです。
ただ、そういう本来やらなくても人生に影響は無いことを死ぬ気でやってみたり、全力を尽くして格上相手に勝ちに行くチャレンジに宿る"熱量"は、部活にしかないと思います。そして、東大ラグビー部はそういう"熱量"のあるチームです。
だから是非、東大ラグビー部を一度見にきてください。


まとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
次は、ズミさんこと魚住さんにバトンを渡します。
ズミさんはすごく話しやすい先輩で、3年生の中でも数少ない彼女持ちなのも納得、といった感じです。
また、3年生のFWの中だと、いわっちさんや吉田さんがウエイト強者という感じですが、ひっそりとズミさんもフィジカルエリートなのでは、と僕は思っています。

ブレイクスルー[ラグビー部リレー日記]

投稿日時:2019/10/15(火) 22:13

  クールビューティーなあやのさんからバトンをもらいました、一年の野田です。僕が髪型をイメチェンした時に周りからディスられるなか、「いいね」と言ってくれたあやのさんは優しさの塊です。
去年のこの時期、僕は迷っていた。浪人生ながら成績が思うように伸びなかったために、志望校を東大か他の大学にするか悩んでいたのだった。そんなとき、父の仕事の知り合いの東大ラグビー部OBの方から誘われて、東大対成城の試合を観に行くことになった。
  生で見た東大のラグビーは、本当にカッコよかった。個々の選手のスキルもさることながら、全員が走り回ってハードワークするという闘志がとても伝わってきて、気が付いたらOBの目もははがらず声を出して応援していた。そんな試合の中で、一番鮮明に覚えているプレイヤーがいる。背番号19、浦山裕矢さん(現Jr.コーチ)だ。突然、後ろから走りこんできてハーフからボールをもらうと、フォワードながら相手のディフェンスの隙間を走り抜け、さらに相手のタックルをぶち抜いて、トライ目前まで行くビックゲインを決めた。僕の中では攻撃では、フォワードはもっぱら相手にぶつかりにいって少しゲインをとったり、次のバックス展開の布石にするものだと思っていたので、そういう風に大学のフォワードがトライを狙いに行くなど想像すらしてなかった。これまでラグビーに抱いてたイメージをぶち抜かれた気分だった。「俺も東大で、こんな風にラグビーをしたい」、そう思うようになった。
 だが、ラグビーでも人生でも今まで積み上げられてきた伝統とか固定観念を"ぶち抜く"のはとても難しい。例えばラグビーでは、逆サイドに大きな隙があっても順目に攻撃してしまうことは往往にしてよく見る光景だし、日常では、日本で一番頭の良いとされる東大の中に居たって、毎日聞こえてくるのは「ノリ」や「普通」や「常識」だ。たしかに、常識や周りに沿って歩けば安心感があるのに対し、挑戦のその先には何もないかもしれないという不安が常につきまとう。だが、東大ラグビー部はそういう挑戦が安心してできる環境であると思っている。野村主将をはじめとして、意見を聞いてくださる先輩が多く、監督やコーチも常にチームに新しい気づきを与え続けてくださっている。このチームならいくらでも新しいことに挑戦できる、そう胸を張って言える。だから、そんなチームの為に僕は役に立てるよう、どんどん挑戦したい。さらには、僕が浦山さんのプレーに元気付けられたように、自分もそういう風に他人を元気付けられるプレーヤーになりたい。
  これを読んでいる(きっと少ない)受験生はあきらめずに東大ラグビー部を目指して欲しい。自分にはできない、だなんて思わないでほしい。これを書いてる僕は偏差値38からのスタートだった。そんな僕でも入れる大学なんだから、君も入れる。絶対に。モチベーションが下がったり、迷ったら是非、東大ラグビー部を、見に来てください。
 拙い文章ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。次は、僕が予備校時代からスカウトしていたささまたにバトンを渡します。
 

2025年7月

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